星は夜に輝く(脚本)
〇黒
正体不明の新星。
100年に1人。
完全無欠。神アイドル。
──聞き飽きた
そんな子・・・
どこにもいないのに
〇SNSの画面
新曲、ビミョー。
センターの器じゃなくね?
スランプ?
デビュー当時はよかったのに──
〇黒
賞味期限切れ──
〇黒
私は・・・!
『Polarisのセナ』なんかじゃない・・・!
〇SHIBUYA109
〇電車の中
〇バスの中
『Polaris』センターのセナ、突如失踪?
電撃引退──?
あかり「・・・」
〇田舎のバス停
あかり「・・・」
???「あかりー!」
ひなた「おかえり」
あかり「ただいま、ヒナ」
〇田んぼ
結局、帰ってきちゃったな
〇商店街
ひなた「どう? 東京の学校」
あかり「あ・・・うん」
あかり「楽しくやってるよ」
ひなた「そっか」
マネージャー
ひなた「誰? 出なくていいの?」
あかり「うん・・・東京の友達 あとでかけ直すよ」
ひなた「え、向こうで友達出来たの!? あのあかりが!?」
嘘だ
東京の『学校』も、友達も
ひなた「そっか、もう2年も経つもんね」
ひなた「ウチもいろいろあったし・・・」
ひなた「話したいこといっぱい」
〇黒
全部打ち明けて、全部捨てたら・・・
もう楽になれるのかな
ひなた「あ!」
Polarisだ!
〇電気屋
〇コンサート会場
〇商店街
ひなた「セナ、辞めちゃうのかな・・・」
こんなところまで追ってくるんだね
〇黒
嘘で塗り固めた──
ニセモノの私
〇商店街
あかり「ヒナ、アイドルとか興味あったっけ?」
ひなた「え、まあ、えっと・・・」
ひなた「実はこのセナって子応援してて」
あかり「どうして・・・」
ひなた「何となくあかりに似てる気がしてさ」
あかり「・・・!」
ひなた「な〜んて!」
ひなた「いつもウチの後ろにくっついてたあかりとは 似ても似つかないけどね!」
〇コンサート会場
この子、かわいいだけじゃなくて
ダンスも歌も、MCまで完璧でさ
〇黒
きっと、こういう子を天才って言うんだろうね
〇黒
ちがう!
ちがう、ちがう!!
ヒナまでそんな言葉で私を呪うの?
ヒナなら・・・
本当の『セナ』を受け入れてくれるよね?
〇商店街
あかり「ヒナ、あのね・・・」
ひなた「ウチさ・・・」
ひなた「この子に救われたんだ」
あかり「え・・・」
〇田んぼ
〇葬儀場
〇火葬場
〇空
どんなにしんどくて
目の前が真っ暗になりそうなときでも
〇女の子の部屋
〇コンサート会場
画面に映るセナは変わらず
かわいくて、カッコよくて、強くて
〇田んぼ
変だよね
そんなときに、アイドルなんて
でも、そのとき思ったんだ
〇宇宙空間
夜にこそ、星は輝いて見えるんだって
〇商店街
ひなた「だから私も、明日からまた笑おうって」
ひなた「セナがウチのこと支えてくれたんだ」
支えられてたのは・・・
〇広い廊下
〇教室
一緒に帰ろ!
〇黒
支えられてたのは・・・
私の方だと思ってた
〇商店街
ひなた「ごめん、あかり さっき何か言いかけた?」
あかり「何でもないよ」
あかり「ヒナ、私もう東京戻らなくちゃ」
ひなた「え!?」
あかり「待ってる人たちがいるの!」
ひなた「あかり!?」
あかり「ごめん、またしばらく帰れない!」
ひなた「しょうがない子・・・」
ひなた「無理すんなよ〜!」
ごめん、いまは少しだけ無理させて
〇宇宙空間
ひなた「まったくもう・・・」
迷いそうになったら
ウチはいつでも、ここにいるから
〇コンサート会場
〇散らかった職員室
〇木造の一人部屋
〇美術室
〇コンサート会場
〇散らかった職員室
〇木造の一人部屋
〇美術室
〇土手
〇黒
〇宇宙空間
私は、誰かの夜を導く星であり続ける
たとえその輝きが
ニセモノであっても──
〇黒
文章なくても、映像の切り替えだけで出来事も気持ちも表現できちゃうんですね。さすがです。
何回か見ましたが、見れば見るほどそのすごさがわかります。「ニセモノであったとしても」の言葉がとても印象に残りました。
お久しぶりです🙌
歌が人を救っていく様子が丁寧に描かれていて素敵でした🙆♀️久しぶりに松田さんの話が見れて嬉しかったです
曲に合わせてあかりの世界がひらかれて、たくさんの人たちの夜に重なっていくシーンが本当によかったです。ヒナちゃん、もしかして全部わかってた…?最後の足音が、最初の足音と同じはずなのに力強く聞こえました!