第89話 人間性(脚本)
〇ファミリーレストランの店内
2021年 イリノイ州 ピオリア市 ピオリア郡 飲食店内
キング「クロノス、初めての水族館はどうだった?楽しめたか?」
クロノス「普通。でもクイーンと2人っきりのデートなら最高だったかも···ね?クイーン♡」
フェード「いちいち同意を求めるな、鬱陶しい···」
クロノス「わかった···じゃあ次からは同意無しでいいんだね?クイーンがオープンになってくれてボク嬉しいな♡」
フェード「すまん、やっぱり同意を挟んでくれ。なにか背筋が凍る感覚を覚えた」
キング「お前の勘は合ってるぜフェード。所で斎王水族館出てからずっと黙ってるがなんかあったか?」
斎王はそう聞かれるとあからさまに動揺しながら『何も無い』と言い、皆が一様に『鸞と何かあった』ことを察する
鸞はため息をつきながら皆に説明し始めた
鸞「こいつに色々心配されてな···鬱陶しかったから少しからかってやったらこうなったんだ。全く···」
キングはそれを聞くと『まだ若ェなお前!』と背中を叩きながら笑い、皆もそれに同調して笑っていた。
エンチャントは鸞に顔を近づけると、耳元で囁いた
エンチャント魔導法士「『迷いは晴れたか?』」
鸞「あぁ···少しだけ『誰かに頼って生きてみる』」
エンチャントはその言葉を聞くと『その調子だ』と返し、皆と談笑を始めた。
〇ファミリーレストランの店内
数時間後
キング「わかってねェなお前!いいか?女の子ってのは共感して欲しいもんなんだよ、だから相手の話を聞いて肯定してやるのが大事なんだ」
キング「お前は自分の気持ちばっかりでフェードを見てねェからフェードがウザがるんだよ、わかるか?」
クロノス「なるほど···ならクイーンに共感して、クイーンを認めてあげるのが大事と···」
凪園無頼「あと目線じゃねー?お前図体クソでけーからフェードいっつも見上げるじゃん?」
凪園無頼「相手からしたらそれもウゼーワケじゃん?だから話す時、目線合わせてやった方良くね?」
クロノス「確かに一理ある···普通に考えてボクの倍以上の背丈の奴と話すと考えるならそうした方がクイーンの負担は少ないな···」
エンチャント魔導法士「あとは···共感性だな。ある時期から意識が芽生えてフェードを認識し始めたんだろ?」
エンチャント魔導法士「ならフェードが何が好きか、何に興味があって、何を大事にしているかってのがわかるはずだ」
エンチャント魔導法士「それを共有できるようにしておけば、フェードはお前を認め始めるぞ?」
クロノス「ふむふむ···キングに···凪園に···エンチャント···アドバイスありがとう。ボク頑張ってみるよ···」
フェード「··· ··· ···本人の前で話すか?ああいうの···」
斎王幽羅「普通は話さないね···まぁでも、今まで名前も覚える気がなかったのに名前を覚え始めてるのって進歩じゃない?」
フェード「ま、まぁ···確かに···」
斎王幽羅「動機も不純···とも言いきれないけど、でもフェードに好かれるように努力してるし」
斎王幽羅「俺は変な光景ではないと思うよ?あ、マリ姉!どう?解析終わった?」
斎王がそう言って振り返るとマリアが斎王に一礼をし、結果を話し始める
マリア・イアハート「お楽しみ中失礼します幽羅様。結果のご報告の参りました」
マリア・イアハート「シャルルは現在『エルジン』におり、とある作戦失敗により幽羅様方を拠点に招き入れる余裕が無いそうで」
斎王幽羅「え···?何エルジンって···」
フェード「イリノイ州 ケーン郡の都市の名前だ。ピオリアからだとかなりの距離だったはず···」
マリア・イアハート「少し時間はかかります。ですがこちらでバスをご用意いたしますのでご安心ください」
斎王幽羅「ありがとう。というか···『作戦失敗』って何···?」
マリア・イアハート「私も詳しくは···恐らくボスなら知っているはずです」
斎王幽羅「うーん···まぁひとまず着いてからだね···バスはいつ出発?」
マリア・イアハート「明日の朝を予定しております」
斎王幽羅「ならまだ時間あるね···もう少しだけ俺らピオリアを見て回るよ。ありがとうね、マリ姉」
マリア・イアハート「いえいえ···我ら姫騎士達はコロンビアで潰える命を頼様に救っていただいた身」
マリア・イアハート「このご恩はどれだけ返しても足りません。今後も何かあれば我ら失楽園の天使達を頼ってください。何時でも力になります」
斎王幽羅「うん、ありがとう。でもマリ姉···もう少し『自分に正直に』生きてもいいんだよ?」
マリア・イアハート「私は···いつだって本心です。それでは失礼します」
マリアは一礼をし、その場を立ち去る。斎王は『頑固だなー』と漏らしながら再び皆で談笑を始めた
To Be Continued··· ··· ···