Xヒーロー

語り部

第88話 灰色の景色に鸞鳥が一匹(脚本)

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〇水族館・トンネル型水槽(魚なし)
  2021年 イリノイ州 ピオリア郡 ピオリア市 水族館内
  斎王達はマリア達が暗号解読が終わるまでの間街を散策し、休息の時間を取っていた
エンチャント魔導法士「やはり癒されるな···水族館は普段見れない『別世界』に来たような気分になれる」
エンチャント魔導法士「ああやって泳いでる魚も泳ぎ方に個性があって見ていて飽きないな···」
フェード「だな··· ··· ···展示の前にたまにある説明も見ていて面白いしな」
フェード「はぁ··· ··· ···こういう所で告白されてみたいな···」
エンチャント魔導法士「俺前からフェードの事気になってたんだよね···ねぇ、俺と付き合ってくれる?(精一杯のイケボ)」
フェード「我拒绝这个请求主要是因为内容在生理上是不可接受的。(主に中身が生理的受け付けないのでお断りします)」
エンチャント魔導法士「多分だが悪口言ってないか?ワシ何となくわかったんだが···」
フェード「生理的に無理だって中国語で言ったぞ?」
エンチャント魔導法士「なんだ全く···こっちが気を利かせて若返ってやったのに···」
フェード「気を使わせてすまなかったな。所でキング達は何処にいる?」
エンチャント魔導法士「確か地下だったな、地下はー···お、サメエリアだな」
フェード「いかにもな場所にいるな···斎王と鸞は逆方向だったな?サメエリアの逆方向はー···」
フェード「深海魚エリアか。なら私はそっちに···」
  そう言って歩を進めようとするフェードを止めると、エンチャントは『あの3人に合流する方が先だ』と言い
  地下のサメエリアに2人は向かった

〇大水槽の前
  深海魚エリア
  斎王と鸞は2人でひとつの水槽を見ていた。しかし二人の間に言葉は無く、客の声と館内BGMだけが耳に入ってきた
  その静寂を最初に破ったのは斎王だった。
斎王幽羅「ねぇ鸞···あの大きい鳥になる術ってどうやって編み出したの?」
鸞「さぁな··· ··· ···まぁ、過ぎたことだし気にするな。次行くぞ」
  その場を離れようとする鸞の腕を斎王は掴む。鸞が振り返ると斎王は続けた
斎王幽羅「下にいた時フェードに中国神話の鸞の事聞いたんだけどさ···あの技もしかしてだけど」
斎王幽羅「『死にかけないと出来なかったりしない?』」
  鸞はそれに対して『そんなことは無い』と返すも、斎王の目は疑いの色に染まっていた
斎王幽羅「本当に···?俺の目視て言える?」
鸞「あぁ··· ··· ···諱忍術『鸞』はお前が思ってる技じゃない」
  そう言うと斎王は少しの間鸞を見つめた後、ため息をつきながら鸞を指さす
  斎王が鸞の右脇腹を押すと、鸞は苦痛に歪んだ表情で脇腹を抑えその場に座り込む
斎王幽羅「皆は気づいてないけど、俺は帰ってきた時すぐわかったよ···鸞、なんで俺達を頼ってくれないの?」
鸞「大した···傷じゃないからだ···」
  斎王はそんな彼女の服を捲し上げる。そこに広がっていたのはやけど跡の様な腹部に大きな切創、右脇腹に銃創があった
斎王幽羅「こんなになってもまだ俺達を頼ってくれないの?鸞···俺達仲間じゃないの?」
  鸞は目を逸らしながら斎王に弱々しい声で返した
鸞「お前達には未来がある、帰る場所がある、待ってる人達がいる」
鸞「だが俺にはない···幸せな未来も、帰る場所も、待ってくれてる人達も···」
鸞「俺が···俺が犠牲になる。『それしかない』んだ斎王···俺ができるお前に対しての···『奉仕』だ」
  すると斎王は鸞の手を繋ぎ、鸞に言葉を投げた
斎王幽羅「『俺が待つよ』。鸞の帰りを待つ待ち人に俺がなる。だから···犠牲になるとか言わないで欲しいな···」
斎王幽羅「幸せな未来も一緒に築こうよ!帰る場所はXヒーローがあるし、俺いつでも鸞を待って居られるよ」
斎王幽羅「だからお願い···次は『自己犠牲』で解決しようとしないで···」
  すると鸞はクスクス笑い出す。斎王は真面目に話していると言うと鸞は返した
鸞「お前今『女の服無理やり脱がせようとしながら告白してる』って気づいてないのか?」
斎王幽羅「え?あ、ご···ごめん!別にそういう意味じゃ···!」
  そう言うと鸞は斎王のジャケットを引っ張り、互いの唇を交わらせた
斎王幽羅「え···あ···えぇ?お、俺今···」
鸞「一応さっきの言葉『告白』と受け取っておく。そして俺はお前に『キス』で返事をした」
鸞「どう受け取るかはお前次第だが···もう1回して欲しいならしてやるぞ?」
斎王幽羅「あばばばばば···わ···えと···も、もう1回···?もう1回してもらえるの!?」
鸞「するかバカ。サッサとどけ、エンチャント達が来たらどうする気だ」
  そう言って斎王が鸞から離れると鸞は立ち上がり、小悪魔的笑顔を斎王に見せる。斎王はボソッと『初めてが鸞か···』と言うと
  鸞は口パクで斎王にこう言った
鸞「お互い初キスだったな」
  斎王は驚く様子を見せながら鸞の後を追いかけた
  寄木を持たない鳥は群れを離れ羽ばたいた。それもそうだ
  鳥は今以上に大きな大きな『立派な寄木』を見つけたのだから
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第89話 人間性

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