バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

桜海(おうみ)とあ

S2第5話(30)(脚本)

バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

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〇イルミネーションのある通り
王妃「リアリナ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「王妃様???」
王妃「リアリナではないのー! きゃーん会いたかったわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「王妃様・・・会って早々、飛びかからないでください」
王妃「あら、私としたことが!」
王妃「王宮にいるなんて、もしやスタンと逢引きですか?」
王妃「ついに! スタンもやる時はやる子なのね!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いえ、殿下は」
リアリナ・シャルルド・グレイ(あんまり余計なこと言うと、疑問を持たれそうね)
リアリナ・シャルルド・グレイ「まだ早いですわ。 王妃様。順番は守らねば」
王妃「それもそうね。孫の顔は、リアリナちゃんのウエディングドレス姿を拝んだ後よね」
王妃「あ、そうそう」
王妃「息子に招待状を届けさせたのだけど、ちゃんと渡ったかしら?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ、はい、頂戴いたしました。 生誕祭は明日でございますね」
王妃「そうなのよー。明日になったらまたひとつ歳を取るなんて、最悪!」
王妃「明日なんか来なければいいのに!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・」
王妃「でも、こうして歳をとったおかげで、」
王妃「リアリナちゃんの美しくなった姿を見ることができるのだもの」
王妃「ほんと。私好みのいい女になったわね!」
王妃「リアリナちゃんと我が息子の子供となれば、顔面最高の王太子が誕生するのよ!」
王妃「その子の成長が楽しみでならないわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そのことなのですが、王妃」
王妃「なんでも言って! リアリナちゃんの望むことなら、なんでも叶えてあげるわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(・・・このタイミングでは、頼みづらいわ)
王妃「なあに? 第一子はやっぱり男の子!?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええっと」
「リアリナ嬢、どうしてここにいるのだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「陛下!」
国王「明日の生誕祭までは誰も城に入れるなと、門兵にキツく言っておいたはずだが」
王妃「あら、私は、存じませんでしたわ」
国王「騎士団もリアリナ嬢の前では腑抜けであるか」
王妃「異国のお菓子があるの。 私の離宮へいらっしゃい」
国王「王妃! また勝手なことをするでない」
王妃「何よ。私のリアリナちゃんと、お茶するぐらい何がいけないというの?」
国王「最近、聖女派と呼ばれる異端教徒が増えていると耳にしている」
国王「王妃が可愛がりすぎると、グレイ家を狙う輩も湧くだろう」
王妃「そんなの、全員吊るせばいいじゃない」
国王「そう言うわけにもいかぬ。ただでさえ、聖女が登場し、国政が揺れておるのだ」
国王「不必要な噂は、互いの利益にならん」
国王「リアリナ嬢、今日のところはお引き取り願えるか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「承知いたしました。陛下」
リアリナ・シャルルド・グレイ「王妃、今日のところは失礼させていただきます」

〇巨大な城門
リアリナ・シャルルド・グレイ(せっかくのチャンスだったけど、今夜の襲撃はどうにかするしかないわね)
リアリナ・シャルルド・グレイ「ところで聖女派の異端教って、何なの?」

〇教会
  今まで我が国の宗教は、大神ニュクスを祀る大神殿を守る教皇派だけでした
  しかし、聖女がこの国で発見された後、別の宗派が生まれたのです
リアリナ・シャルルド・グレイ「別の宗派?」
テオフィル・ベフトン「聖女を祀る宗派です」
リアリナ・シャルルド・グレイ「聖女推しの派閥ってこと?」
テオフィル・ベフトン「正確には、パウデマル大司教が聖女の宗教上の父であるため」
テオフィル・ベフトン「パウデマル大司教の傘下である宗派ですね」
テオフィル・ベフトン「国王が牛耳る元老院が背後につく教皇派が、国の正式な宗派であるのに対し」
テオフィル・ベフトン「聖女派は、聖女を指導者へと推す貴族や民により構成されており」
テオフィル・ベフトン「現在では教皇派と二分する宗派として、信者の数を増やしております」
テオフィル・ベフトン「そのため聖女派は“異端教”と呼ばれております」
リアリナ・シャルルド・グレイ「新しい指導者だから異端教。この国が名づけそうな嫌味たっぷりなネーミングセンスね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「つまり、ピュアピュアなミレーユ推しか、渋みある教皇推しかってことね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「これは・・・、悩むわね」
テオフィル・ベフトン「変な方向に向かっておりますね」
テオフィル・ベフトン「その聖女派の異端教が、ここ最近になって急激に勢力を拡大しておりまして」
テオフィル・ベフトン「このまま数が増えれば、教皇派を圧倒しかねない勢いなのです」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それで陛下は異端教徒を脅威と言っていたのね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それにしてもミレーユがシンボルとして祀られるなんて、すっごいわね!」
テオフィル・ベフトン「聖女様の人気があるのは確かですが、原因は他にもあるかと」
リアリナ・シャルルド・グレイ「原因?」
テオフィル・ベフトン「終戦後、この国で作った生物兵器である“悪魔の果実”を食べた人々が世界中で増えたため」
テオフィル・ベフトン「その後始末のために、教皇は長いこと国へと戻られておりません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「なるほど長期の推し不在につき、推し活相手を乗り換えたってことね」
テオフィル・ベフトン「定期配信の大切さが身に染みます」
リアリナ・シャルルド・グレイ「うん、うん」
テオフィル・ベフトン「それに、教皇不在の今、悪魔の侵食を抑えるための聖水は、聖女派の独占状態ですし、」
テオフィル・ベフトン「悪魔を倒すための聖なる剣は、聖女様しか作れないものです」
テオフィル・ベフトン「悪魔が蔓延するようになり、聖女様の力がますます必要となり、信者が増加」
テオフィル・ベフトン「国王は聖女様を独占するパウデマル大司教に対して再三、聖女を私物化しないよう忠告しているようですが」
テオフィル・ベフトン「なにせお二人は、犬猿の仲でして」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それで国王があの態度なわけね」
リアリナ・シャルルド・グレイ(でもそれって聖女を王様サイドに引き込めば)
リアリナ・シャルルド・グレイ(生誕祭前日に城に堂々と入れるんじゃない?)

〇黒
リアリナ・シャルルド・グレイ「ウフフ、ふふふふ・・・」
テオフィル・ベフトン「え、こわっ」

〇レンガ造りの家
ミレーユ「いらっしゃい。って、リアリナ様?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「こんにちはミレーユ。 殿下はいるわよね」
ミレーユ「え? え? え? え?」

〇豪華な部屋
リアリナ・シャルルド・グレイ「お邪魔するわ!」

〇可愛らしいホテルの一室
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ? なぜここに?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「こ、これは違うんだ! たまたまソースがシャツについてだな!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「うわ! サレ妻のCMみたい!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スマホがあったら全国民に拡散できたのに残念だわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「説明は省くわ。 あまり時間がないの」
リアリナ・シャルルド・グレイ「一緒に来てちょうだい!」

〇西洋の街並み
スタンスラス・ブラン・エレオノール「どうして私が、こんな村へ??」
リアリナ・シャルルド・グレイ「文句を言える立場ですか? 殿下?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「う!!」
ギルバトル・フォルダンテ「ここに聖女がきた理由がわかるな?」
ヨハン村長「も、申し訳ございません! 私たちの罪をお許しください!」
ギルバトル・フォルダンテ「さすがは聖女様でございますね」
ギルバトル・フォルダンテ「この村の罪に気がつかれ、払拭するために我が公爵家へと助けを求めてくださるなど、この上ない幸せです」
ミレーユ「い、いえ。これはリアリナが!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「まあ! ミレーユったら、素晴らしいわ! 攫われた人々を、一滴の血も流さずに」
リアリナ・シャルルド・グレイ「救い出すなんて! これこそ聖女様の善行よね!」
ミレーユ「こほんっ」
ミレーユ「全ての攫われた人に、食事と新しい衣服を用意しましょう」

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