〇宇宙空間
　　世界は美しい
　　いつでも綺麗な星々

〇朝日
　　人々の笑顔も輝いて
　　そして君の笑顔も
　　あぁ、でも・・・

〇朝日
　　君は笑顔じゃなくても
　　それはそれは綺麗で

〇黒背景
翡翠（ひすい）「綺麗だね」
七星（ななせ）「変わらないね──」
翡翠（ひすい）「いつもと同じ日常が続く気はするんだ」
翡翠（ひすい）「今もそんな気が──」
七星（ななせ）「バイバイ、お姉ちゃん」
翡翠（ひすい）「さようなら」
翡翠（ひすい）「明星（あかり）」
　　その日
　　みんなが顔を知らない
　　歌姫が消えた

〇宇宙空間
　　世界は
　　変わらず輝いているのに

〇宇宙空間
　　こうまで色褪せて

〇整頓された部屋

〇玄関内
七星（ななせ）「久しぶりだな」
翡翠（ひすい）「七星さん!?」
七星（ななせ）「上がらせてもらうぞ」
七星（ななせ）「女ものナシ」

〇整頓された部屋
翡翠（ひすい）「一体どうしたのさ？」
七星（ななせ）「あっ──」
七星（ななせ）「おい、これはなんだ？」
翡翠（ひすい）「七夕明星（タナバタアカリ）」
翡翠（ひすい）「アイドルの写真だよ」
七星（ななせ）「間違ってない」
七星（ななせ）「間違ってないけども」
七星（ななせ）「なんで姉ちゃんの写真を 未だに飾ってんだぁあ!!」
翡翠（ひすい）「大事な物だからね」
七星（ななせ）「こんなのあったら他の女を呼べないだろ!!」
翡翠（ひすい）「うん、確かに」
七星（ななせ）「あのさぁ、いつまで引きずるつもり？」
翡翠（ひすい）「死ぬまでかな？」

〇整頓された部屋
七星（ななせ）「曲作りはどうだ？」
翡翠（ひすい）「歌い手がいないのに作っても虚しいだろ」
七星（ななせ）「他に居ないのか？」
翡翠（ひすい）「あぁ、僕が曲を提供するのは」
翡翠（ひすい）「七夕明星だけだ」

〇病室のベッド
七星（ななせ）「なに、お姉ちゃん？」
七星（ななせ）「ブッ飛ばせば良い？」
七星（ななせ）（嘘つき・・・）
七星（ななせ）（忘れて欲しくなんか、ないくせに）
七星（ななせ）（ずっとずっと憶えていて欲しんでしょ）
七星（ななせ）「ねえ、お姉ちゃん!!」
七星（ななせ）「二つ手紙を書いてくれ!!」
七星（ななせ）「一つは翡翠への願いを!!」
七星（ななせ）「もう一つは自分の願いを!!」
七星（ななせ）「思ってることをそのまま!!」
七星（ななせ）「どちらを叶えたいかアイツに選ばせる!!」

〇整頓された部屋
七星（ななせ）「それがこれだ」
七星（ななせ）「見せるのは一つだけだ」
翡翠（ひすい）「分かった・・・」
七星（ななせ）「どちらを選ぶ？」
翡翠（ひすい）「こっちだ」
七星（ななせ）「即答だな」
翡翠（ひすい）「悩む必要もないよ」
七星（ななせ）「良いのか？」
七星（ななせ）「翡翠に願ってたことを知れないぞ」
翡翠（ひすい）「彼女の願いが、僕の願いだ──」

〇宇宙空間

〇整頓された部屋

〇宇宙空間
翡翠（ひすい）「手紙は──」
翡翠（ひすい）「どちらも同じ物だったんだろうね」
七星（ななせ）「どうしてそう思う？」
翡翠（ひすい）「僕の願いも・・・」
翡翠（ひすい）「明星の願いも同じなんだ」
翡翠（ひすい）「同じ夢を見ていた」
七星（ななせ）「翡翠が曲を作り」
七星（ななせ）「七夕明星が歌う」
翡翠（ひすい）「七夕明星の歌をたくさんの人に届けたい」
翡翠（ひすい）「それが願いだった」
七星（ななせ）「願いは消えてないか？」
翡翠（ひすい）「ずっと燻ぶったままだ」
翡翠（ひすい）「消えずに、ずっと」
七星（ななせ）「だったらアタシも覚悟を決める」
七星（ななせ）「準備に１年かけた」
七星（ななせ）「ムダにはさせない」
翡翠（ひすい）「本気なのかい？」
七星（ななせ）「七夕明星はアタシが継ぐ」
七星（ななせ）「アタシも約束したんだ」
七星（ななせ）「お姉ちゃんの夢は消させやしない」
七星（ななせ）「お前の夢も──」
七星（ななせ）「ずっと七夕明星の為に曲を作り続けてくれ」
七星（ななせ）「お前の曲は七夕明星だけが歌う」
七星（ななせ）「今までも──」
七星（ななせ）「これからも」
翡翠（ひすい）「僕が曲を作れば明星は喜んでくれるかな？」
七星（ななせ）「知ってて聞くなよ」
翡翠（ひすい）「あぁ、そうだね──」
　　届けるぞ
　　星へ
　　Fin