読切(脚本)
〇ツタの絡まった倉庫
〇城の客室
編集者「── では」
編集者「先生の『手、お前ノ、離さなイ』の 舞台版の主題歌をお聴き下さい」
とあるホラー小説家「は、はい」
とあるホラー小説家「‥‥‥‥‥」
編集者「いやぁ‥‥‥イントロからして 心つかまれますねぇ〜」
とあるホラー小説家「あのぉ‥‥‥」
編集者「はい?」
とあるホラー小説家「良すぎないですか?」
編集者「はいぃ?」
とあるホラー小説家「私の悪趣味バッドエンドホラー小説には 勿体なさすぎませんか?」
編集者「え? 逆に面白くないです? 想像してみて下さいよ」
〇林道
寄生された彼氏「ヲ前の、手‥‥‥ 二度ト 離サナイぃい!」
オージュ・ウォゲ「── いや、そこで流すの?!」
オージュ・ウォゲ「合わんだろ、おかしいだろ!」
編集者「そうですか?」
編集者「まぁ、いろいろ事情があるので もう変えられませんよ〜」
〇城の客室
とあるホラー小説家「それに、お声を聞く限り ずいぶん若い方では?」
とあるホラー小説家「こんな三流ホラー作品と絡んだ事が 後々 黒歴史になりはしませんか?」
とあるホラー小説家「この子の親御さんも 「自分の娘の歌が主題歌に!」と ワクワクしながら 舞台を見に来て‥‥‥」
とあるホラー小説家「『何コレ、怖い!(裏声)』」
とあるホラー小説家「とか なったら 可哀想ですよ」
編集者((作家様は 想像力豊かだなぁ))
とあるホラー小説家「‥‥‥この曲に合うように、脚本を手直し させてもらっても宜しいでしょうか?」
編集者「えっ、そんな面倒な事を?」
とあるホラー小説家「あまりにも可哀想でしょう。 こんなB級ホラーの主題歌なんて」
とあるホラー小説家「いっそ、ホラーやめますよ」
編集者「『書き下ろす』って事スか?!」
編集者「マジかよ スゲー!」
〇ツタの絡まった倉庫
〇林道
寄生された彼氏「ヲ前の手、二度ト 離サナイ‥‥‥」
〇モヤモヤ
〇屋敷の書斎
とあるホラー小説家「ちっがぁう!!️」
とあるホラー小説家「かじるな!」
〇林道
〇モヤモヤ
〇屋敷の書斎
とあるホラー小説家「急に誰だ お前はぁ!!️」
とあるホラー小説家「くっ‥‥‥ つい B級ホラーの流れになっちまう!」
とあるホラー小説家「化物なぞ出ず、誰も死なず、 お子さんでも見れるような健全作品‥‥‥」
とあるホラー小説家「ムズイ!!️」
とあるホラー小説家「これは1回、脳内整頓した方がいいな‥‥‥」
〇古書店
私の、脳内ホラー要素たちよ‥‥‥
『怖くない健全な作品』を書きたいから、
私の中から出てこないでくれ‥‥‥!
大丈夫。
そのまま帰ってこないなんて事はない‥‥‥
安心しろ。
これが終わったら、超絶怖い
ヌッタクソホラー(?)書くよ‥‥‥!
え?
「まずはキャラの見た目をマトモにしろって?」
「イケメンと美女 出せ」?
そうか、それもそうだな‥‥‥
ありがとう、脳内ホラーキャラ達よ!
〇屋敷の書斎
とあるホラー小説家((バツイチの独り暮らしが長いと ヤバイなぁ))
〇空
〇綺麗な港町
〇小劇場の舞台
〇黒背景
〇飛空戦艦
なんかイケメン「俺の手を、離すなよ?」
可愛いヒロイン「お、オゥドゥ様ぁ!」
なんかイケメン「せ、世話の焼ける女だぜ!」
〇映画館の座席
数少ない友人「アンタ、こんなベタ王道な話 書けたんすね」
とあるホラー小説家「自分でも 驚きだったよ」
とあるホラー小説家「超疲れた‥‥‥」
数少ない友人「原作改造、お疲れ様ッス‥‥‥」
数少ない友人「あんたの作品で 女子供が泣いてないなんて‥‥‥」
数少ない友人「こっちの路線に行けばぁ?」
とあるホラー小説家「このハートフルな舞台を見て、 原作小説に興味を持った人がさ」
とあるホラー小説家「小説版を読んだら、あまりのその落差に どんな絶望と恐怖を味わうだろうね‥‥‥!」
身の程をわきまえてる先生とか無理して健全王道を目指そうとする先生がwww
無理です、先生には普通の男女恋愛なんて書くの無理ですwww………と思っていたら、最後にはいい感じの書いててもうwwwwww
まさか自キャラと脳内会話できる程には自キャラの事が好きだとはで微笑ましかったです笑
……バツイチ?🥹