渋谷と君とコイゴコロ

ゆん

エピソード1(脚本)

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〇駅のホーム
ミナ「はあ・・・」
  私は悩んでいた。
ミナ(ユウヤに告白したいけど)
ミナ(振られるのが怖すぎる)
ミナ(今日も2人で遊ぶ約束してるけど、脈あるのかな・・・)

〇広い改札
ミナ「どうしよ・・・」
???「恋のお悩みですかー?」
ミナ「だれ!?」
ミナ「てか、なんで恋の悩みってわかったの!?」
???「恋の天使ですから〜」
ミナ「天使??」
シブテン「渋谷の恋の天使、略してシブテンって呼ばれてます〜」
ミナ(名前、ダサ・・・)
シブテン「今、名前ダサいなって思いましたね?」
ミナ「え!心読めるの? それも天使の力?」
シブテン「いや、よく言われるので・・・」
ミナ「あ、なんかゴメン・・・」
シブテン「とにかく!! シブテンは恋に悩む乙女の味方です!!」
シブテン「私に任せなさい!」
  突然、背中に衝撃が走った。
ミナ「ギャーーー!!」
  私は駅の階段を転げ落ちていった。

〇渋谷駅前
ミナ「うーん・・・」
シブテン「やーっと気が付きましたか」
  痛む頭を撫でると、シブテンに突き落とされたことを思い出した。
ミナ「なんで突き落としたの!? 痛かったんだけど!?」
シブテン「恋を成就させるためです」
ミナ「はあ!?」
シブテン「そんなことより、なんだか可愛らしい見た目になってますが良いんですか?」
  シブテンに言われ、慌てて身体を確認する。
ミナ「え!?私小さくなってる!?」
シブテン「なってます〜」
シブテン「階段から落ちたショックでミナっちの「恋心」が体の外に出てしまったのですよ」
シブテン「体が縮んだのもその影響ですね」
ミナ「なにそれ・・・」
シブテン「街に散らばった恋心のかけらを集めないと、恋心も体も元に戻りません」
ミナ「やばっ!!」
シブテン「体の外に出た恋心は1時間で消滅するので」
シブテン「急いだ方がいいかもです☆」
ミナ「嘘でしょ・・・」
  タイムリミットまで1時間。
  元の身体も、ユウヤへの気持ちも絶対に取り戻したい。
シブテン「恋心は思い出に引き寄せられるので、思い出の場所に行ってみては?」
ミナ「わかった!!」

〇テーブル席
シブテン「まずはカフェですか」
ミナ「初めてユウヤと一緒に入ったカフェだよ」
ミナ「私が飲めないのに間違えてブラックコーヒー頼んじゃって」
ミナ「ユウヤがココアと交換してくれたんだ」
シブテン「間違えてブラック頼むって、ドジですねー」
ミナ「うるさいな!!」
ミナ「──あとから知ったんだけど、ユウヤってブラック飲めないの」
ミナ「私のために我慢して飲んでくれてたんだ」
  思い出すと、切ない気持ちが胸にあふれた。
ミナ「あれ、なんだろ・・・ なんか胸のあたりがあったかい」
  気づくと、足元に綺麗な石のようなものが落ちていた。
シブテン「あ!恋心のかけらです!」
ミナ「やった!まずは一個目!」
シブテン「この調子!」

〇ゲームセンター
シブテン「お次はゲーセンですか?」
ミナ「うん!」
ミナ「前にくだらないことで喧嘩しちゃった時に」
ミナ「ゲームでぬいぐるみを取って私にくれたんだ」
ミナ「「これで仲直り」って」
シブテン「ぬいぐるみで機嫌直るなんてお子様ですねー」
ミナ「ちょこちょこ喧嘩売ってくるのやめてくれない!?」
ミナ「あ、あの時と同じキャラのぬいぐるみ!」
  思わず駆け寄ると、足に何かぶつかった。
ミナ「恋心だ!2個目ゲットー!」
シブテン「いぇーい!」

〇SHIBUYA109
  その後も順調にかけらを集め、
  残るはあと一つ。
  その一つが、なかなか見つからなかった。
ミナ「残り時間あと5分」
ミナ「どうしよう。もう探すところ思いつかないよ」
  あてもなく歩き回っていると
  焦りと不安が込み上げてくる。

〇ハチ公前
ミナ「私、これからずっとこの姿のままなのかな」
ミナ「ユウヤへの気持ちも忘れちゃうのかな」
  うつむくと、涙がこぼれた。
「おーい!」
ミナ「え・・・?」
ユウヤ「どうした?」
ミナ「ユウヤ!? そっか、そろそろ待ち合わせの時間・・・」
ユウヤ「ミサちゃんだよね? 一人でうろついたら危ないぞー」
  どうやら、小さくなった私を妹のミサと勘違いしているようだった。
ミナ「信じてもらえないかもしれないけど、 私はミナなの」
ユウヤ「え?」
ミナ「渋谷にはユウヤとの思い出が沢山あるよ」
ミナ「私のブラックコーヒー飲んでくれたこと」
ミナ「ゲーセンでぬいぐるみをくれたこと」
ミナ「全部話してたらキリがないくらい沢山」
  ユウヤがハッと息を飲んだ。
ユウヤ「もしかして、本当にミナなの?」
ミナ「そうなの!! でもこのままじゃ・・・」
  タイムリミットまであと1分。
  最後まであきらめたくなかった。
ミナ「ねえ、ユウヤの思う、私との思い出の場所ってどこ?」
ユウヤ「思い出?」
  ユウヤは突然の質問に驚きつつも、真剣に考えてくれた。
ユウヤ「ここかな」
ミナ「え?ここって、ハチ公前?」
ユウヤ「うん。ミナは待ち合わせの時必ず先に着いてるでしょ」
ユウヤ「俺が駆け寄ると、いつも手を振って迎えてくれるミナの笑顔が大好きなんだ」
  突然の「大好き」に心が跳ねた。
  その瞬間・・・目の前が真っ暗になった。

〇ハチ公前
ミナ「うーん・・・」
ユウヤ「気が付いた?」
ユウヤ「急に気を失うからびっくりしたよ」
ミナ「あれ・・・?身体が戻ってる。なんで?」
ミナ「最後のかけら、見つけられなかったのに」
シブテン「ハチ公のところにありましたー」
ミナ「シブテンまだいたんだ!?」
ミナ「て、ハチ公?」
シブテン「ユウヤさんの語る思い出がかけらを引き寄せたんですねー」
シブテン「愛の力ですね〜 シブテンの目論見通りです!」
ミナ「ほんとかなあ・・・」
シブテン「ちなみに、シブテンはミナっち以外には見えないので」
シブテン「ユウヤさん怪訝な顔でこっち見てますよ」
ユウヤ「・・・ミナ、やっぱり具合悪い?」
ミナ「ううん!全然! 色々迷惑かけちゃってごめんね」
ユウヤ「これで元気出してくれない?」
ユウヤ「ミナに似合いそうだと思って買ったんだ」
ユウヤ「これを渡して告白するつもりだったんだけどなかなか勇気が出なくて・・・」
ユウヤ「今日の出来事でやっと決心がついた。 ・・・俺、ミナのことが好き」
  ユウヤの差し出したアクセサリーは、私の恋心の色にそっくりだった。
  初めからユウヤには、私の恋心が見えていたのかもしれない。

コメント

  • シブテン…名前は確かにダサいかもしれないけど大事な気持ちを思い出させてくれる可愛らしい天使ですね。
    久々に行く場所で、思い出を振り返るのも甘酸っぱくていいですよね!

  • 好きな人との過去の想い出を振り返ると、そのときの出来事やかけてくれた言葉を思い出して、より一層、その人のことが愛しくなりますね。両片思いが実ってよかったです。

  • 心がきゅんとなるストーリでした。二人の気持ちが一つになってよかったです、かけらがどうなるのか不安でしたがいい結果でよかったです。

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