汚れた星のキレイな光(脚本)
〇黒
どうぞ
〇病院の診察室
エイジ「先生、そろそろなんだろ?」
医者「いいえ 貴方はまだまだお元気でいらっしゃいます」
エイジ「へへ、気遣いは無用 俺の命は、もってあと数日」
エイジ「図星だろ?」
医者「・・・」
エイジ「ここに担ぎ込まれて、もう半年になるか」
エイジ「思い返せば、俺も色々とバカやってきた」
〇古いアパートの部屋
最愛の女に先立たれ、心身共に疲れ果てちまった
だが、そんな俺にも小さな希望が残されていた
エイジ「アコ・・・」
エイジ「お前も母親と同じで、お星さまが好きなんだな」
エイジ「お前だけは、俺が必ず・・・」
〇病院の診察室
エイジ「守ると誓った娘を、ろくな目に合わせてこなかった」
医者「そのせいで、悪事に手を染めてでも金を稼ぐ必要があったと?」
エイジ「はは 言うねぇ、先生」
エイジ「だが、娘を言い訳にするつもりはねぇさ」
エイジ「全て、自分が蒔いた種だ」
医者「では、私ももう隠し事はよしましょう」
医者「ご家族、娘さんは今どこに?」
エイジ「娘は、小さい頃に体を病んでしまってな」
エイジ「後遺症を患い、妻の祖父母に親権とともに持っていかれちまった」
エイジ「だからよ、 俺の余命を誰かに告げる必要はねえぜ」
医者「そう・・・ですか」
エイジ「ただ・・・」
エイジ「ひとつだけ、頼まれちゃくれねぇか」
医者「なんでしょう?」
・・・
医者「そんな!」
エイジ「はは、汚れ切っちゃいるが、俺も人の子ってわけさ」
エイジ「頼んだぜ、先生」
医者「・・・」
エイジ「世話になったな」
エイジ「さて、 俺の命日、星がキレイだといいなぁ」
〇黒
〇手術室
〇黒
医者「・・・」
〇田舎の病院の病室
医者「今夜は星がキレイですよ」
医者「術後の経過はいかがです?」
アコ「ええ、今日はとてもいい気分です」
医者「それは良かった」
アコ「ところで、先生」
医者「はい?」
アコ「私のドナーになってくださった方はどなたなんですか?」
アコ「もう諦めかけていたのに、急に「見つかった」だなんて」
医者「あいにく、それは教えられない規則なんです」
アコ「そう・・・ですよね」
アコ「なんとなく、私の知っている人のような気がして」
医者「・・・」
〇病院の診察室
医者「娘さんにあなたの目を!?」
エイジ「ああ、頼むよ」
医者「し、しかし・・・」
エイジ「あいつの目が見えなくなっちまったのも俺の責任だからな」
エイジ「ああ、それともう一つ」
医者「?」
エイジ「当然、ドナーが俺だってことは内緒だ」
エイジ「せっかく治った目で、わざわざ汚いものを見せたくはない」
医者「エイジさん」
医者「整形を行う外科医には、人の本当の姿が見えます」
医者「貴方の心根はキレイだ」
エイジ「よせよせ」
エイジ「ただ、娘は、ああ見えて鋭いからな」
エイジ「「どんな人だ?」なんて言い出した時は、そうだな・・・」
エイジ「「キレイなおねえちゃんだった」とでも言ってごまかしてくれ」
〇田舎の病院の病室
医者「ドナーは、女性の方ですよ」
アコ「女性・・・ですか」
医者「ええ」
アコ「キレイな人でしたか?」
医者「え!? そ、そうですねぇ」
アコ「・・・」
医者「アコちゃん、君・・・」
医者「いや・・・、ええ、そうですね」
医者「まるで、夜空のお星さまのようでした」
アコ「え!?」
医者「これは、君にあげます」
医者「少し汚れていますが でもね・・・」
〇宇宙空間
その星の持ち主はね
それはそれは、キレイな方でしたよ
素敵な話で素晴らしいですね!!
曲にもぴったりだと思います。
夜空に沢山の星が瞬いているのは、
彼のような心が照らしているからでしょう✨
エイジがアコの為にドナーになるとは……。😭
涙腺崩壊でございます。💧
嗚呼、これは凄い。なんて美しい…… こんな素晴らしい解釈…… ちょっと言葉を失う衝撃でした。