読切(脚本)
〇黒
〇荒野の城壁
わたしは・・
〇荒野の城壁
さびしい・・
〇荒野の城壁
ひとみしり・・
〇空
私は、人見知りだ
できれば、
いろんな人と仲良くしたいけど、
なんか、傷つきたくなくて・・
〇城壁
いつも、
自分で壁を作ってしまう
そう・・
私は、いつも壁に囲まれていた
〇黒
これは、
そんな私の
ほんの小さな物語
〇黒
〇本屋
3月下旬
春の訪れを感じる
暖かな日。
私は、書店でのバイトを終え
アパートへと帰った
〇女の子の一人部屋
〇女の子の一人部屋
富田麻里「ふぁ~~!」
富田麻里「疲れたぁ」
富田麻里「眠い・・」
富田麻里「でも、頑張らなきゃ!」
富田麻里「コンテストの締め切りまで、あと少し!」
私には、夢がある!
それは!
〇水玉2
絵本作家になること!
子供たちが喜んでくれる
『おはなし』を作りたい!
〇女の子の一人部屋
でも・・
成功への道のりは
〇荒野
険しい・・
〇女の子の一人部屋
富田麻里「はぁ・・」
富田麻里「ん? メール・・」
あの人からのメッセージ!
私の胸は高鳴った!
けど・・
〇黒
イマカラ
アナタニ
シカエシ
シタイカラ
アノ コウエン デ
マッテマス
〇女の子の一人部屋
富田麻里「え・・」
富田麻里「・・なんで?」
富田麻里「どういう事?」
〇魔物の巣窟
富田麻里「私・・」
富田麻里「何かしたっけ!?」
富田麻里「・・・」
〇二階建てアパート
少し、不安もあったけど・・
私は着替えて
部屋を出た
あの人に会いたい
本当に、
本当に、そう思った
〇桜並木
あの人は
バイト先のお客さんで
私と同じくらい、シャイな人だった
でも、
〇黒
あの人が探してた本を
私が見つけたのをキッカケに
〇本屋
書店で会うたび
少しずつ
少しずつ
距離が縮まった
〇幻想
いつも、
恥ずかしそうだけど
さりげない
優しさを感じさせる人なんだ
〇空き地
最後に会ったのは
2月半ばの、とても寒い日だった
〇本屋
私は、その時
自分の想いを〝手渡した〟
けれど・・
あの人は
しばらく遠くに行く
そう私に告げた・・
〇黒
最後かと思った
〇黒
でも
〇川沿いの公園
また会える!
1度だけ
2人で、この公園に来た
シャイな2人だから
デートって
感じじゃなかった・・
〇空
けど、それは
イヤな緊張感
とかじゃなくて
なんて言うか・・
なんて言うのか・・
富田麻里「こんばんは!」
富田麻里「アランさん」
アラン「コンバンハ、麻里サン」
アラン「アノ・・」
アラン「ワタシ、」
アラン「父、母ト、話シマシタ」
富田麻里「・・はい」
アラン「ワタシ・・」
アラン「日本デ、クラシマス!」
富田麻里「えっ!!」
富田麻里「そうなんですね!」
富田麻里「良かったぁ!」
アラン「ハイ!」
アラン「・・コレカラ」
アラン「日本語、モット勉強シマス!」
富田麻里「はい! 頑張ってください!」
アラン「アノ、麻里サン・・」
アラン「・・コレ」
富田麻里「えっ?」
富田麻里「・・あ、あの」
富田麻里「これ・・何ですか?」
アラン「麻里サン」
アラン「オクレマシタ」
アラン「ホワイトデー、デス」
富田麻里「・・え?」
富田麻里「・・・」
富田麻里「・・・」
富田麻里「あ! そうか!」
富田麻里「シカエシ!!」
富田麻里「ふふふ・・」
富田麻里「あははは」
富田麻里「『シカエシ』じゃなくて」
富田麻里「『お返し』ですよ!」
アラン「!? Ugh, how ・・」
アラン「ア・・アァ!」
アラン「・・ゴ、ゴメンナサイ、麻里サン」
アラン「ドウモ、スミマセン!」
富田麻里「ふふふ」
富田麻里「いえいえ!」
富田麻里「どうも、ありがとう!」
私・・
この人の前では、
自然体でいられる
〇黒
だから
〇城壁
さびしい、わたし
とんでいった!
〇星
〇空
〇空
〇桜並木
〇川沿いの公園
〇二階建てアパート
〇城壁
〇城壁
〇城壁
〇黒
〇ゆめかわ
まるで、
春風
みたいな人なんだ・・
おしまい!
素敵なお話でした😭😭😭
アランさんからのメールで、『シカエシ』と来た時はびっくりしましたが、『お返し』の間違いだったんですね…😥
一瞬、焦りました…😅
例の"あの人"とは誰か気になりますが…🤔
絵本作家、目指して頑張ってください😁