先輩 後輩 映画行く(脚本)
〇開けた交差点
なほ「お待たせしました」
先輩「あぁ、待ったよ」
なほ「先輩!そこは『今来たばかりだよ』でしょ!」
先輩「・・・・・・。 いや、30分待ったんだよ!? 来たばかりじゃないんだよ!」
なほ「・・・・・・ごめんなさい」
先輩「いや・・・・・・別にいいんだけどな」
なほ「そうですか!? じゃあ、行きましょう!」
先輩「絶対反省してないよ、この子!」
〇映画館の入場口
先輩「えーっと、この映画だっけ?」
なほ「はい。面白いらしいですよ!」
先輩「そうなのか。 それは楽しみだな」
なほ「はい! では先輩、チケットを買ってきてください!」
先輩「奢りじゃないからね!?」
なほ「そう言いつつも・・・・・・」
先輩「奢っちゃう!・・・・・・じゃないよ!!」
なほ「先輩、今日は調子いいですね!」
先輩「どういう意味でよ!?」
なほ「あ、ちなみにこの映画にホラー要素はないですよ?」
先輩「あぁ、そうなの」
なほ「だから怖い場面で抱きつかれようと思ってても駄目ですよ」
先輩「思ってないから安心していいよ!」
なほ「抱きつこうとしてた側でしたね!」
先輩「誰がだよ!? 人をビビリみたいに言うんじゃないよ!」
なほ「じゃあ、ビビリじゃないんですね?」
先輩「は・・・・・・い」
なほ「ヘタレめ!!」
先輩「大きな声で言うんじゃないよ! 周りが見てるよ!!」
なほ「先輩・・・・・・私、恥ずかしいです」
先輩「俺の方が恥ずかしいよ!?」
〇開けた交差点
なほ「映画面白かったですね!」
先輩「そうだな。面白かったな」
なほ「特に主人公が嫌な先輩に殴りかかっていく場面は胸が熱くなりましたね!」
先輩「無かったよ!? そんな場面無かったよ!!」
なほ「すいません。 それは私がやりたい事でした」
先輩「やるなよ!やるなよ!絶対やるなよ! というか嫌な奴だと思ってたのか俺の事!?」
なほ「冗談に決まってるじゃないですか! 本気にしないでくださいよ」
先輩「相手が君だからねぇ・・・・・・」
なほ「酷いです、先輩!」
先輩「日頃の態度がねぇ・・・・・・」
なほ「何だと!?」
先輩「殴りかかって来た!? やめろって言ったよね!?」
なほ「ハグしようとしただけです」
先輩「絶対違うよね!? 手がグーになってたよ!?」
なほ「手が・・・・・・グー??」
先輩「とぼけるの下手か!!」
なほ「何だと!?」
先輩「はい!来たね!今間違いなく殴りかかって来たね!!」
なほ「先輩のネクタイを直そうとしただけです」
先輩「してないよネクタイ!! やっぱりとぼけるの下手だな!?」