星売りのメテオシスター

オカリ

17.後の祭り(脚本)

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オカリ

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〇ボロい倉庫の中
隕石ハンター「さて」
隕石ハンター「キミの妹だが・・ここは寒いのでね」
隕石ハンター「後ろのコンテナ寝かせているよ」
長岡茉莉「はぁっ!?コンテナ──!?」

〇黒背景
  ハナビ!! ハナビッ!!!
長岡花陽「うぅ・・・・・・」
長岡花陽「ね゛ぇちゃ──・・?」

〇ボロい倉庫の中
長岡茉莉「ハナビッッ!!」
長岡花陽「ねぇ、ちゃ」
長岡花陽「ご、め──」
長岡茉莉「大丈夫だよ!ねえちゃ来たからね!!」
長岡茉莉「一緒に帰ろうね、ハナビ!!」

〇ボロい倉庫の中
粟島研究員(ハナビちゃんは無事か! まずは良かった)
粟島研究員(しかし、あの“隕石ハンター”・・)
  物々交換なんて言ってたわりに
  すぐハナビちゃんを解放したな・・
  あ、物々交換って言ってたのは
  こっちだったか?
粟島研究員(なにか渡した? あれは・・カメラ?)
粟島研究員(気になるが・・今は!)
粟島研究員「・・アンタら、分かってるのか?」
粟島研究員「未成年拉致、しかも重病人をだ! これはもう殺人未遂だぞ!?」
粟島研究員「その上、脅迫に・・後は・・ 他にもたくさん該当して・・」
粟島研究員「ええと・・」
粟島研究員「と、とにかく重犯罪人だ!!」
隕石ハンター「そうだね 警察に通報するかい?」
粟島研究員「その間もなくゴスロリが来たんだよ! 半ば無理やり車に乗せられてな!!」
隕石ハンター「ゴスロリ・・? 聞いたことがない言葉だ」
運び屋ちゃん「・・・・・・・・・・・・ゴシック&ロリータ」
隕石ハンター「なるほど略称か!」
隕石ハンター「「中世欧州の少女的な服装」の意かな?」
運び屋ちゃん「・・・・・・・・・・・・モア ダーク」
隕石ハンター「ニュアンスが違ったらしい 後で調べてみるか」
隕石ハンター「すまない、脱線したね」
隕石ハンター「通報未遂で良かったよ 公権力への根回しは面倒なんだ」
隕石ハンター「それに、持って来てくれたんだろう?」
隕石ハンター「─────例の隕石を」
粟島研究員「・・・・・・参考までに」
粟島研究員「もし「渡さない」と言ったらどうする?」
隕石ハンター「さて、質問の答えだが・・」
隕石ハンター「「考えてはいる」とだけ答えておこう」
粟島研究員「・・・・・・」
粟島研究員(時間は稼げてない でもほぼアドリブの交渉だ)
粟島研究員(もっと「出し惜しみ」を演出・・ いや、これ以上はキツいか)
粟島研究員「マツリさん、辛いだろうが──・・」
長岡茉莉「わかってます もう、渡すしか・・」
長岡花陽「ねぇ、ちゃ──?」
粟島研究員「わかった オマエらが欲しい石は──・・」
粟島研究員「これだろッ!?」
隕石ハンター「・・・意外だったな」
粟島研究員「な、何がだッ!?」
隕石ハンター「隕石をキミが管理していたことだよ」
隕石ハンター「長岡茉莉にとってキミは・・ それほど信頼できる人物なのかい?」
粟島研究員「あっ・・」
粟島研究員「あたぼーよ!!」
隕石ハンター(あたぼーよ?)
運び屋ちゃん(・・・・・・・・・・・・アタボーヨ?)
(あたぼーヨ?)
長岡茉莉(だっ──・・)
長岡茉莉(大根役者ッ!!!!)
長岡花陽「お、おじ──ちゃん、は──」
長岡花陽「オジちゃん、は・・ お星の、センセー、だから」
長岡花陽「ねえちゃの、お星も、調べて・・」
隕石ハンター「あぁ、隕石解析で預かっていたのか」
隕石ハンター「確かに専門家による管理が合理的だね 補足をありがとう」
粟島研究員「ハナビちゃんの言った通りだ 隕石解析の為に僕が預かっていた」
粟島研究員「本物だと証明できなければ オークション企画は通らなかったからな」
粟島研究員(・・これは嘘じゃない 実際、編成会議にも乱入したし)

〇大会議室

〇ボロい倉庫の中
粟島研究員(というか色々聞かれたらボロが出る! 劇団員じゃないんだぞ!!)
粟島研究員「こ、これで満足か!?」
隕石ハンター「いや、満足はしていない」
隕石ハンター「専門家の見立ても聞きたいな 解析結果はどうだった?」
隕石ハンター「天文台の情報、北米の反応 そして私の長年の勘から・・」
隕石ハンター「極めて価値の高い隕石だと確信していてね」
粟島研究員「・・・・」
粟島研究員「・・全部は分かってない 僕からひとつ言えることは」
粟島研究員「「100億年以上、宇宙空間にいた」 という結果が出ている」
粟島研究員「ただし、計測ミスの可能性も・・」
隕石ハンター「いや、あながちミスとも言えないぞ?」
隕石ハンター「折角だ キミにも見せてあげよう」
粟島研究員「これは?」
隕石ハンター「北米の天文台から抜いた情報だ」
隕石ハンター「まだ世間に公表されていないが・・」
隕石ハンター「地球から2000万キロ離れた宇宙を 巨大な恒星間天体が通過してね」
隕石ハンター「名称『U-1』、心当たりは?」
粟島研究員「ユーワン・・?」

〇舞台下の奈落
ピークスキル「外出OK?ソレは早計 そうは問屋が下ろさぬ滑稽」
ピークスキル「────U-1のカケラ、置いてきナ」
ピークスキル「Hah!!」

〇ボロい倉庫の中
粟島研究員(マッチョマンが言ってた単語か!)
隕石ハンター「『天体U-1に系外惑星の  文明が関与した可能性』」
隕石ハンター「そんな文言も北米では行き交っている」
隕石ハンター「そしてその隕石は」
隕石ハンター「U-1から分離した石である可能性が高い」
隕石ハンター「ここまで言えば分かるだろう?」
隕石ハンター「なぜ、こうまでして欲しがるか」
粟島研究員「・・なるほどな 1億ドルが安く感じてきた」
粟島研究員「地球外でのサンプルリターンは数十億・・ ヘタすりゃ百億ドル近くかかる」
粟島研究員「しかもあくまで太陽系内の話だ 太陽系外の天体を対象にした サンプル採取は実現できていない」
粟島研究員「そもそも火星すらまだ、だしな」
粟島研究員「ところが、そんな研究対象が 宙の果てからやってきた」
粟島研究員「ご丁寧に、不自然な“落とし物”までして」
隕石ハンター「さすが専門家、理解が早くて助かるよ」
粟島研究員(しかも、俺の場合は──・・)
粟島研究員(あの腕を見ている! 隕石落下地点にあった、異常な腕を!!)
粟島研究員(なら、隕石衝突直下にいた・・)
  マツリさんは──・・
長岡茉莉(つまりどういうこと?)
長岡茉莉(ぜんぜんわかんないんだけど・・)
長岡花陽「す・・すごい、よ! ね、えちゃっ!!」
長岡茉莉「ハナビ、あまり無理しないで・・」
長岡花陽「あの、おほし、は、 うちゅーじんの、プレゼント、かも」
長岡花陽「それか、いきもの、とか! うちゅうの、くさ、とか、た、ね──」
長岡花陽「う、うー、うー・・・」
長岡茉莉「ハナビ!もう喋っちゃダメ!!」
長岡茉莉「ゆっくり深呼吸しよ! ねえちゃの息に合わせて、ね?」
隕石ハンター「・・立ち話が過ぎたな」
隕石ハンター「隕石を渡してくれるかな? それでこの取引は終わりだ」
粟島研究員「・・そうだな ハナビちゃんを早く病院に運ばないと」
隕石ハンター「うん、確かに」
隕石ハンター「なるほど、よくできている」
粟島研究員「隕石は渡した! 僕らはこれで帰らせて貰う!!」
粟島研究員「マツリさん、ハナビちゃんとこっちへ・・」
粟島研究員「僕がおぶろうか?」
長岡茉莉「いえ、大丈夫です」
長岡茉莉「────もう、離れたくないので」

〇コンテナヤード
粟島研究員「ええと、帰りは・・」
長岡茉莉「タクシー呼びますか?」
粟島研究員「そうだね、ここの場所は・・」
粟島研究員「ええと・・」
粟島研究員「運び屋、だっけ? またキミが送ってくれるのかい?」
運び屋ちゃん「・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・」
粟島研究員「えぇっと、なにか」
長岡茉莉「なにを──・・!?」
隕石ハンター「知ってたかい?」
隕石ハンター「電流は、身構えた相手に効きが悪い」
隕石ハンター「・・という冗談はさておき キミらにはしばらく寝て貰う」
隕石ハンター「安心しなよ 迎えの車は連絡しておこう」
隕石ハンター「ああ、それと・・」
隕石ハンター「キミが持っている方も回収しておこうか」
長岡茉莉「なんの──・・」
隕石ハンター「この車載カメラは少し特殊でね」
隕石ハンター「可視外光を拾って描画する設計だ サーモグラフィーに近いかな」
隕石ハンター「世の中、武器を隠し持って交渉を 優位に運ぼうとする奴が多い」
隕石ハンター「事前のボディチェックはいわば 名刺交換みたいなものだが・・」
隕石ハンター「最近は隠す側も巧妙でね 軽く触れた程度じゃ分からない」
隕石ハンター「そんな相手を服の中まで 丸裸にするシロモノだ」
隕石ハンター「一部、映りが悪いが・・」
隕石ハンター「まさか胸元にもうひとつ 隠し持っていたとはね」
隕石ハンター「ハッハッハ! まるで映画の女スパイじゃないか!」
運び屋ちゃん「・・・・・・・・・・・・・トウサツチカンヤロー」
隕石ハンター「撮影したのは運び屋ちゃんだぞ?」
隕石ハンター「まぁ、依頼したのは私だが・・」
隕石ハンター「しかし反応から察するに こっちが本物かな?」
長岡茉莉「────────」
隕石ハンター「結局、キミは誰も信じていない だから肌身離さず持ち歩く」
隕石ハンター「あるいは信じようとして 裏切られたことでもあったか」
隕石ハンター「しかし持って来たということは・・」
隕石ハンター「「もし偽物だとバレた場合」も 想定していたんじゃないのかい?」
隕石ハンター「『先ずその愛する所を奪わば即ち聴かん』」
隕石ハンター「愛する者は他の何にも代え難い 奪われたら要求通りに動くしかない」
隕石ハンター「さぁ、今がその時だ」
隕石ハンター「────隕石を渡しなさい」
長岡茉莉「ダメだ、完全にバレた!!」
長岡茉莉「でも本物は渡せないッ!! でないとハナビの治療費が・・」
長岡茉莉「・・走って逃げるか?」
  相手は作業着、ゴスロリ、作業着の3人と
  目の前のロン毛中年が1人
  ・・・粟島さんは気絶してるけど
  ハナビなら私の背中にいるし
  あの車を奪えば──・・
長岡茉莉「いや・・車を奪って逃走? ハナビをおぶった状態で?」
長岡茉莉「ダメだ、うまくいくとは思えない!!」
長岡茉莉「何か、何か他に手は────」
  ゴホッ、ゴホッ!!

〇空
  ハナビ────・・

〇コンテナヤード
長岡茉莉「・・分かりました」
隕石ハンター「よし、これで──」
隕石ハンター「・・・・・・・・・」
長岡茉莉「なに、この音・・・・・・ヘリコプター?」
長岡茉莉「なんか近づいてる気が・・?」
隕石ハンター「・・・・・・・・・・・・・・」
隕石ハンター「・・・・・・・・・・・参ったな」
隕石ハンター「警察に通報していない、と聞いたが」
隕石ハンター「よりにもよって・・」
隕石ハンター「もっと危ない奴らが来たな!」

〇空
ピークスキル「Hey!メテオガール!!!」

〇コンテナヤード
  Run!Run!Ruuuuun!!
隕石ハンター「おいおい」

〇港の倉庫
長岡茉莉「はぁっ、はぁっ──・・!」
長岡茉莉「い、言われるがまま逃げちゃったけど!」
長岡茉莉「ハ、ナビ背負った状態じゃ すぐ、息が、切れ──・・」
長岡茉莉「ヤバ、追いつかれ──」
長岡茉莉「いっ、今のって」

〇ヘリコプターの中
ウィラメット代理人「ハハハ、腕は覚えてるものですね」
糸魚川教授「いま、ううぅ撃ったのか!?」
糸魚川教授「に、日本だぞ!?日本なんだぞ!?」
ウィラメット代理人「喋ると危ないですね」
ウィラメット代理人「それ、もう一発!」

〇港の倉庫
隕石ハンター「おおっと!?」
隕石ハンター「おいおいおい! これだから銃国家の連中は!!」
隕石ハンター「運び屋ちゃん!!」

〇港の倉庫
隕石ハンター「カバー、頼んだ!!」
運び屋ちゃん「・・・・・・・・・・・・ヂーダオラ!」

〇体育館の屋上
ピークスキル「駆け抜けなメテオガール!!」
ピークスキル「回収ポイントまであと少しダ!」
ピークスキル「バッドバグはオールクリアしてやんゼ!!」

〇ヘリコプターの中
ウィラメット代理人「地上フォローも完璧ですね!」
ウィラメット代理人「さて、詰めますかね」

〇港の倉庫
隕石ハンター「マズイな、取り逃がす」
隕石ハンター「・・・・・・しかたがない」

〇古い倉庫
  はぁっ・・はぁっ・・・!!
  状況が!
  わかん、ないけどっ!!

〇港の倉庫
  あの、ひと、達は!
  銃撃戦に!手いっぱいで!
  追って、来れて、ない!!

〇古い倉庫
  これなら────ッ!!!!
  あつッ!?

〇古い本
  ああもう!コケた!!
  こんな時に!!
  ハ、ハナビ!!
  ハナビは大丈夫──・・
  は?
  なんか、赤──・・

〇古い倉庫
  ハ、ハナビッ!!?
  まさか、撃たれ───ッ!?
長岡花陽「んっ──」
長岡花陽「ねぇ、ちゃ」
  ハナビ!!
  け、怪我はッ!?
  どこも痛くない!?
  ・・・・・・・・・
  見たとこ大丈夫、そう?
  ごめんねハナビ!また走るよ!!
  さ、ねえちゃの背に・・
長岡花陽「ち、ちがう・・!」
長岡花陽「ケガ、してるのは、ねえちゃ!!!!」

〇古い倉庫
長岡茉莉「えっ──?」
長岡茉莉「あ、足・・」
長岡茉莉「道理で熱いと──・・」
長岡花陽「ね、ねぇ、ちゃ?」
長岡花陽「ねぇ──・・」
長岡花陽「なんで、ねぇちゃ、が、なんで?」
長岡花陽「だっ」

〇港の倉庫
隕石ハンター「“黒”は使いたくなかった」
隕石ハンター「だけどね、取り逃すよりは良い 今後の信頼にも関わる」
隕石ハンター「『切札は 使わなければ ただの札』」
隕石ハンター「・・・そう思わなきゃやってられんな」
隕石ハンター「ああ、これで予算オーバーだ」

〇黒
  第17話
  後の祭り

〇黒

〇黒

〇コンサートホールの全景

〇田舎の病院の病室

〇ビジネスホテル

〇源泉

〇源泉

〇平屋の一戸建て

〇葬儀場

〇葬儀場

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