第2話☆この光が消えても~雪とイルミネーション物語①(脚本)
〇教室
「ねぇ、知ってる?」
「何?」
「駅前で今年もイルミネーション点灯したでしょ?」
「雪の期間やってるやつか。
もうそんな時期か・・・」
「円錐形のモニュメントイルミもあるでしょ?
人が入れる場所」
「あったかも」
「クリスマスの日、仲良しでいたい人と
点灯している時に一緒に入って
向かい合わせになって両手繋ぐと
ずっとずっと仲良くいられるらしいよ!」
「へぇ、そうなんだ。
でもそういうの信じないかな俺」
「へへ、言うと思った。
その話、今、私が考えたんだけどね!」
静まり返った放課後。
柑橘系の香りがしそうな夕空を背景に
当時高校2年生だった彼の教室で窓側の席に座りながらしていた会話。
〇繁華な通り
色とりどりな、ときめく街のイルミネーション通りをひとりで歩きながら
その時を思い出していた。
〇黒
これは私が高校1年生だった頃のお話。
〇冬
この光が消えても~雪とイルミネーション物語
〇黒
10年前❅ 𓈒◌°.。
2016年12月25日、クリスマスの日。
〇繁華な通り
私(ほのかに香る、雪独特のにおいが好き)
私(今日はその香りと 冷たい空気の相乗効果で)
私(吸い込むと)
私(スーっとした心地よいミントが 細胞に染み渡る感覚がする)
私(雪の降る前よりも)
私(積もった雪に囲まれた時の方が 気温が低いのに温かく感じる現象)
私(何か名前あるのかな)
私(クリスマスの日って思ったよりも街にいる人が少ないな)
私(お仕事だったり、お家で家族や友達と過ごしたりするのかな?)
両親は、夜遅くまで働いていた。
留守番が出来る年齢になってからは
毎年サンタさんのコスプレした芸人さんが出演しているテレビとかを見たりして
いつもより豪華なお惣菜を買ってひとりで過ごしていた。
〇綺麗なダイニング
暖かい場所で、テレビを見て笑いながら
私が作るよりも断然美味しい
お惣菜を食べて
満足していたけれど
ひとりは少し寂しかった。
〇繁華な通り
けどね、今年はふたりで
少しの時間だけど彼と過ごす予定。
今、待ち合わせ場所に向かっている。
「20時に駅前で会おうね」
そう約束をした。
向かう途中、ショーウィンドウのガラスの前に立ち
映っている自分の姿を確認しながら
マフラーをギュッと結び直して
自分の髪を手ぐしで整える。
1ミリでも多く可愛くみられたいから
〇イルミネーションのある通り
約束した時間の10分前についた。
彼は来ていなかった。
私(朝LINEでした会話をスマホで確認してみよ)
「今日クリスマスだね! 会えるの楽しみ」
「バイトで遅くなるかも」
「イルミネーション間に合えばいいよ!」
「間に合うかわからない」
「間に合わなければ別れちゃうからね笑」
既読マークはついたけれど返事は来なかった。
私(返事が来なくて、少し不安・・・)
私は言葉の最後に“ 笑 ”を面白くないのに
むしろそうなってしまったら悲しい事なのに
その文章を入れてしまった。
もし私がその言葉を受けとる立場だったら?
私(そんな軽いノリで言えちゃうの?ってなって、同じように返事をしないかもしれない・・・)
返事は来なかったけれど、待ち合わせ場所には時間通りに来てくれると思っていた。
暗くなったスマホの画面に映る自分の顔をみて、メイクが崩れてないか確認をする。
私(画面だけじゃ足りない)
薄いメイクだけど普段しないから見慣れない自分が映っている。
アイラインが崩れていないかチェックした。
私(彼は気づいてくれるかな・・・ 微妙な私の顔の変化に)
・・・
彼は約束した時間に
来なかった。