1 高嶺の花(脚本)
〇教室
響タケル「くぅ!負けたぁ!!」
相馬ハヤテ「どうだったの?」
響タケル「あぁ、惨敗だ・・・空手は普段からやってるから自信あったんだけどよぉ、良い様に負けちまった・・・」
相馬ハヤテ「ま、マジか・・・まぁ俺もこの前サッカーのPK対決やったけど、1点も決められなかったからな・・・」
椎名直人「皆さんまたその話題ですか?」
響タケル「何だよ委員長?お前は勝てた事あるのかよ?」
椎名直人「否定したい所ですが、僕も学力テストで彼女に勝った事はありません・・・」
朝比奈春樹「・・・・・・」
俺の名前は朝比奈春樹。高校1年。今年俺らが入学した際、入学試験を全問正解で受かった女子生徒の話を近くで
盗み聞きしていた。その女子は文武両道、容姿端麗、才色兼備と言う言葉がとても似合っており、その女子に惚れる男子は
数知れず、彼女に色んな分野で勝負していたが、誰一人として勝った者がいなかった。
朝比奈春樹「そんなに大した話題なのかね・・・」
夜神浩一「朝比奈おっはー!」
朝比奈春樹「おう!夜神か!」
夜神浩一「また盛り上がってる見たいだな・・・今日も男子の誰かが負けたって?」
朝比奈春樹「今回は響だって・・・」
夜神浩一「マジか・・・武術まで出来るとは、もう勝てる奴いないんじゃ無いか?」
朝比奈春樹「どうだろう・・・もしそうなら、それこそ前世は神様か何かって話だよな・・・」
夜神浩一「全知全能の神様か・・・それはそれで拝んで見たいぜ・・・それはそうと・・・」
夜神浩一「前に頼まれた奴の実況やったぜ!結果は上々だった!」
朝比奈春樹「え!マジか!?」
夜神浩一「あぁ!やっぱ朝比奈が作ったからな!ストーリーも凝っててバトルシステムも文句無しだったからな!」
夜神浩一「運営も喜んでたぜ!」
朝比奈春樹「やった!今作ってる奴も時期に出来上がるから、また頼むな!」
夜神浩一「おう!任せとけ!」
諸星陽菜「・・・・・・」
朝比奈春樹「あ、も、諸星さん、お早う・・・」
朝比奈春樹「(あれ?今日も無視された?まぁ、いつもの事だけどさ・・・)」
夜神浩一「お前も災難だよな・・・寄りに寄って我らが諸星陽菜さんの隣の席だなんて・・・」
朝比奈春樹「あぁ、叶うなら席替えしてくれないかと思う今日この頃だ・・・」
諸星陽菜。彼女が俺達の世代の中でトップクラスの成績を収めた首席入学生だ。本当に何でも出来るとあって、
男子の中で勝てた者は1人もいないのだった。
〇教室
昼休み。
椎名直人「皆さん、本日はお集まり頂きありがとうございます・・・今日の議題は明白です・・・諸星陽菜さんの件です・・・」
響タケル「お前らも分かってる通り、あの女が男と付き合う条件は何でも良いからあいつに勝つ事だ・・・でもどの分野に置いても」
響タケル「諸星に勝てた奴は1人もいねぇ・・・誰か良い案ある奴はいねぇか?」
高木芳樹「せな事言われてものぉ・・・陽菜はんに勝てる言うても、ホンマ勝てる奴おるん?ワイもこの前短距離走挑んだんやけど、」
高木芳樹「手も足も出ぇへんかったわ・・・」
椎名直人「まぁ、難しいですよね・・・」
響タケル「あぁ、やっぱ負けっぱなしじゃいられねぇよ!いっその事数で押すか?」
椎名直人「あぁ駄目!暴力とかは厳禁ですよ!」
朝比奈春樹「一体何の話してるんだ?」
夜神浩一「諸星さんに勝てる何かを探してるんだとよ・・・俺もあの人に勝った事無いし、気持ちは分かるなぁ・・・」
夜神浩一「もしこれで勝てたら、そいつは俺らの英雄だとよ・・・」
朝比奈春樹「へぇ、何か御苦労なこって・・・」
高木芳樹「なぁ、君らの意見聞かせてくれへん?」
夜神浩一「え?俺ら?」
高木芳樹「そや、何かこう、陽菜はんに対して思った事言うて貰えればええから・・・」
夜神浩一「う〜ん、諸星さんにねぇ・・・何かあったかなぁ・・・」
相馬ハヤテ「聞かせてくれれば何でも良いよ・・・何かあったら聞かせてくれるかい?」
夜神浩一「う〜んそうだなぁ・・・あ、」
夜神浩一「なぁ、ちょっと聞きたかったんだが・・・逆に思った事があるんだ、諸星さんと勝負した事の無い男子いるか?」
相馬ハヤテ「え?あ、そう言えば気にした事無かったかも!ちょっと皆に確認して来る!」
それから、男子達の中で誰が諸星さんと勝負して無いか話し合った末、
響タケル「おい朝比奈!お前、まだ諸星と勝負した事無いって本当か!?」
朝比奈春樹「え?俺??」
高木芳樹「ホンマかいな!?なら、朝比奈君が得意な事って何があるん!?」
朝比奈春樹「え?あぁ、ゲームは好きでやってるぞ?」
高木芳樹「よっしゃ!そうと決まれば委員長に報告や!」
それから数分後、また皆が話し合って諸星さんを呼び出したのだった。
高木芳樹「さぁさ!こっちや!陽菜はんと勝負したい奴がおるんや!」
諸星陽菜「もう、面倒臭いなぁ・・・あなた達弱過ぎだから相手にならないわよ・・・」
高木芳樹「そないな事言わんといてなぁ!彼が今回の相手や!」
朝比奈春樹「あ、あれ?俺?」
諸星陽菜「え?もしかして、あたしと勝負するのって、朝比奈君?」
朝比奈春樹「え、えぇ!?勝負するの俺!?」
高木芳樹「そや!朝比奈君まだ対決しとらんのやろ?今回はゲーム対決や!」
朝比奈春樹「え、えぇぇ!?」
何と、寄りに寄って俺が諸星さんと勝負する事となってしまった。機材は用意されてた様なので、ゲーム機を受け取る事に。
諸星陽菜「全く、ゲームなんて誰でも出来るのに、こんな事してる時間も惜しいわ・・・朝比奈君、早く始めましょう・・・」
朝比奈春樹「あ、あぁ・・・(てか、名前覚えて貰ってたのか・・・)」
ゲームジャンルは対戦格闘だった。取り合えず適当にキャラを選び、諸星さんと勝負したのだが、
諸星陽菜「し、信じられない!!このあたしが、こんな子供の遊びで負けるだなんて!!」
朝比奈春樹「や、やった・・・」
朝比奈春樹「(皆が悔しがるのが分かるぜ・・・多分初めてだと思うが、素人にしてはいきなり出来る様なコンボじゃ無い物、)」
朝比奈春樹「(沢山繰り出して来て、気を抜けば確実に負けてた・・・しかもこれで色んなジャンル強いとなれば・・・)」
夜神浩一「凄ぇ!凄ぇよ朝比奈!!誰も勝てた事が無い諸星さんを倒しちまうだなんて!!」
響タケル「朝比奈!テメェは俺らの英雄だ!お前ら!俺らの英雄を胴上げするぞ!!」
朝比奈春樹「わわわ!待て!待ってって皆!落ち着けって!!」
諸星陽菜「あ、朝比奈君・・・」
朝比奈春樹「え?どうした?もう終わったから良いよね?」
諸星陽菜「・・・あ、」
朝比奈春樹「あ?」
諸星陽菜「朝日奈君!あたしはあなたを好きになりました!あたしと付き合って下さい!!」
朝比奈春樹「あ、あぁ、付き合うってねぇ・・・って、」
朝比奈春樹「え、えぇぇぇぇ!!??」
夜神浩一「うおぉマジか!やったじゃん朝日奈!!」
高木芳樹「な、何てこっちゃ・・・あの条件はホンマやったんやな・・・」
諸星陽菜「あたしは本気です!だから!」
朝比奈春樹「あ、無理・・・」
諸星陽菜「え?」
朝比奈春樹「むむむ無理!今日の事は忘れるから!!」
諸星陽菜「・・・・・・」
相馬ハヤテ「あ、ありゃりゃ、盛大に振られた・・・」
椎名直人「まぁ、仕方無いですよ・・・そもそも朝比奈君、諸星さんに対して見向きもしてませんでしたから・・・」
響タケル「何だよ、勿体無ぇな・・・まぁ初めて諸星に勝てる奴が見つかったから良いけどよぉ・・・」