ミダス -黄金の呪い-

M.J

第四話(脚本)

ミダス -黄金の呪い-

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〇沖合
  シャリフとカマルを乗せた船が
  沖合を進む。

〇城の救護室
カマル「シャリフ・・・ほら、薬だ。 ちゃんと飲み込め」
シャリフ「はぁ、はぁ・・・カマル・・・うぅ・・・」
バンダル「おい、小僧の様子は?」
カマル「直に薬が効いて楽になるだろう。 あんたのお陰で助かった。 ありがとう、バンダル」
  あの時、カマルに声をかけた屈強な男
  彼こそが、スルールの友
  バンダルだったのだ
バンダル「この辺りは賊も多い。 通りかかったのが、俺でよかったな」
  バンダルは黄金と化した
  シャリフの左腕を眺める。
バンダル「それにしても、驚いた。 触れたものを黄金に変える力なんざ・・・ まるでミダス王じゃねえか」
カマル「ああ。だが、力を使えば使うほど、 シャリフは衰弱して行く」
カマル「この呪いを解くために、俺たちは パクトロス川に行かなくちゃいけない」
バンダル「ああ、それなんだがな。一つ問題がある」
カマル「問題?」
バンダル「この地図の場所に、もう川は流れてねえ」
カマル「なんだって!」
バンダル「パクトロスは昔、 砂金が取れるって有名だったんだが、 とっくに川は枯れちまってる」
カマル「そんな・・・何もないのか?」
バンダル「うーん・・・確か川の神を祀る 神殿が残ってたような・・・?」
カマル「きっとそれだ。そこに向かおう」
バンダル「そこに何もなかったらどうする?」
カマル「他の手を考えるさ。 しかし、早くしないと・・・ このままじゃ、シャリフがもたない」
バンダル「そんじゃ、急がねえとな。 お前さんも今のうちにしっかり休んどけよ」

〇城の救護室
シャリフ「はぁ、父上・・・ 許して・・・俺もう・・・」
カマル「シャリフ。悪夢を見ているのか」
シャリフ「父上・・・こんな力がなかったら・・・ 俺は・・・」
  シャリフの頬を涙が伝う。
カマル「シャリフ、 もう黄金は作らなくていいんだ。 大丈夫、俺がそばにいるからな」
  カマルはシャリフの涙を拭い、
  口移しで水を飲ませた。
シャリフ「う・・・カマ・・・ル・・・?」
カマル「お前は・・・俺が絶対に助けるよ」
  そう言い残し、
  カマルは部屋を出て行った。
シャリフ(・・・あれ、今のって・・・)
シャリフ(カマルが俺にキスしたのか? ・・・いや、そんなまさかな)
シャリフ(でも、そうだったら・・・ いいのにな・・・)
  ゆっくりと眠りに落ちるシャリフ。

〇荒野の城壁
  それから数日
  バンダルの船は海路を進み
  国境を越えた
  そして
  神殿へと続く街道沿いで
  二人は船を降りるのだった
  神殿に続く街道を歩く
  シャリフの足元はおぼつかない。
シャリフ「・・・うぅ・・・ 体が歩き方を忘れてる・・・」
カマル「お前を背負えたらよかったんだがな」
シャリフ「それ、俺がうっかり触ったら、 カマルを黄金にしちまうだろ。やだよ」
カマル「もうその心配をしなくてもよくなる。見ろ」
  目の前に神殿が見えてきた。
シャリフ「これが神殿・・・ついにここまできたな」
カマル「ああ、呪いさえ解ければ、お前は自由だ」
  しかし、そこに待ち伏せしていた
  追手たちが現れた。
見張りA「王子だ! 王子がきたぞー!」
シャリフ「えっ、あいつらなんで!?」
カマル「すでに追手が・・・シャリフ、こっちだ!」

〇王宮の広間
  二人は入り組んだ神殿内を逃げる。
見張りA「待て!」
見張りB「観念しろ!」
カマル「ここまできて諦めるかよ!」
  カマルは
  迫り来る追手を蹴り倒した。
「ぐわあ!」
カマル「く・・・戦ってたらキリがないぞ・・・」
シャリフ「カマル、ここなら、なんとか通れそうだ!」
カマル「よし、でかした!」
  瓦礫の間をくぐり抜ける二人。

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