ミダス -黄金の呪い-

M.J

最終話(脚本)

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〇神殿の広間
パクトロス「ある時、 ミダスは黄金の呪いを解いてくれと、 わしに願った」
パクトロス「だが、わしはその願いを 叶えることができなかった」
カマル「なぜだ?」
パクトロス「奴に黄金の力を与えたのは、 高位の神でな。 わしの力でどうこうなるものではなかった」
シャリフ「じゃあ、ミダスは呪いをどうしたんだ?」
パクトロス「わしは奴にこう提案した。 呪いを洗い流すことはできんが、 誰かに移すことならできると」
カマル「呪いを・・・移す・・・?」
パクトロス「あの男は悩んだ末、 自らの娘を生贄に差し出したよ」
パクトロス「それが世間には、 呪いを洗い流したと伝わったんじゃろ」
シャリフ「待ってくれ。 じゃあ、その娘はどうなったんだ?」
パクトロス「強欲なミダスと違って、 誰にも呪いを移すことなく死んだよ」
パクトロス「だが、黄金の呪いが消えることはなかった」
パクトロス「奴の一族からは時折、呪いを宿す子が 生まれるようになったという。 それだけ強力な呪いなんじゃよ」
シャリフ「それじゃ、俺は・・・」
パクトロス「ミダスの子孫ということになるな」
シャリフ「俺がミダスの子孫・・・ この呪いは誰かに移すしかない・・・?」
シャリフ「それじゃあ、一体どうしたら・・・ 俺は、どうしたらいいんだ・・・」
カマル「落ち着け、シャリフ。 そうするしかないっていうなら、 この呪いは俺が引き受ける」
シャリフ「ダメだ! それだけは絶対にダメだ!」
カマル「けど、このままじゃお前の体がもたない。 俺はもう・・・ お前が苦しむのは見たくないんだ」
シャリフ「でも、俺は・・・ お前を生贄になんか──」
  シャリフが言いかけた時、
  神殿に軍勢の足音が響いた。

〇神殿の広間
  ゾロゾロと入ってくる追手たち。
隊長「お前たち、観念しろ!」
カマル「クソ、もう追手が・・・!」
見張りA「な、なんだ、このバケモンは!」
シャリフ「おい、パクトロス、助けてくれよ!」
パクトロス「わしは浄化の神じゃ。人に危害は加えんよ」
カマル「っち、使えないな・・・!」
隊長「王子を唆す不届き者を捕らえろ!」
カマル「捕まってたまるか!」
  カマルは抵抗するが、
  背後から切りつけられてしまう。
カマル「うっ・・・!」
見張りA「今だ! かかれ!」
  一方的に殴られ続けるカマル。
カマル「ぐはっ・・・シャ・・・リフ・・・ にげ・・・ろ・・・」
シャリフ「カマル・・・!」
  追手たちの隊長は、
  シャリフに剣を突き避けた。
隊長「王子、動かない方が身のためですよ」
シャリフ「お前たち、カマルに手を出すな・・・!」
隊長「そうはいきません。陛下の命であなたを 連れ戻しにきましたが、こいつは 首だけで構わないとのことですので」
シャリフ「そんなことはさせない・・・!」
隊長「おっと・・・力を使われては厄介だ。 眠っていてもらいましょうかっ・・・!」
  腹を殴られ、
  地に伏すシャリフ。
シャリフ「かはっ・・・!」
シャリフ(このままじゃ、 カマルが殺されちまう・・・けど、 もう体に力が・・・どうすれば・・・!)
パクトロス「やれやれ、呪われた王子の 末路はこんなものか・・・」
シャリフ「パクトロス・・・お願いだ・・・ 俺たちに力を貸してくれ・・・」
パクトロス「わしは人に危害は加えんと言ったろ。 諦めるんじゃな」
シャリフ「そんな・・・」
カマル「パクトロス・・・一つ提案がある。 シャリフの呪いを・・・ 俺に半分だけ移してくれ・・・!」
シャリフ「な、何を言ってるんだ!?」
カマル「ずっと考えていたんだ。 お前の苦しみを分かち合えたらって」
カマル「この状況を脱するには それしかない・・・!」
隊長「何をぶつぶつ言っているんだ。 お前たち、そいつにトドメをさせ!」
  追手はカマルへと切り掛かる。
カマル「頼む、シャリフ・・・!」
シャリフ「でも・・・!」
カマル「・・・お前が苦しいのも、悲しいのも、 俺が一緒に背負ってやる!」
カマル「大丈夫・・・俺たち二人なら、 呪いにだって屈しはしないさ!」
シャリフ「二人・・・なら・・・」
カマル「・・・最後まで一緒に生きよう、 シャリフ!」
シャリフ「カマル・・・分かった。 半分・・・だけだぞ・・・!」
カマル「やってくれ、パクトロス!」
パクトロス「全く・・・人間というやつは分からんのお」
  突然、シャリフの体が黄金に輝く。
  その光はカマルへと移った。

〇神殿の広間
隊長「な、なんだ・・・何が起きた!」
カマル「この力があれば・・・!!」

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コメント

  • 二人の絆がとても素敵でした。
    ありがとうございます。

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