私が私でいられる街(脚本)
〇学校脇の道
いつもの帰り道。
何も起きず、自由にしたいこともできず、ただ毎日が過ぎていく。
〇学校脇の道
男子高生「今日どこか寄ってこうぜ」
男子高生「いいな。どこ行く」
沙也「(凄い綺麗な人。 あんな素敵な服を着て・・・)」
男子高生「お前、前見ろよ。 やばくねあの女」
男子高生「マジだ。 あんな女、絶対いやだわ」
男子高生「だよな。 あっ、この前気になってた・・・」
〇学校脇の道
沙也「やっぱりあんな風に思われているんだ。 こんな田舎じゃ変・・・だよね」
亜希「あっ沙也じゃん 今帰り?」
沙也「うん。亜希ちゃん、部活は?」
亜希「今日なんか休みになってさ・・・」
さく「・・・」
亜希「今横通った人やばいね。 子ども心捨て切れなかったてきな?」
沙也「私はそうは思わないけど・・・」
亜希「あっ、もしかして沙也ってそっち系?」
沙也「(そっちってどういう意味だろう)」
沙也「違うと思うけど・・・」
亜希「そっか、よかった」
沙也「(よかったってなにが?)」
亜希「じゃ私この道だから またね~」
沙也「あっうん。また・・・」
〇学校脇の道
まっすぐ進んで左に曲がる。
いつもの何もない帰宅路。
沙也「(今日の夕飯は・・・)」
沙也「!?」
沙也「(なんでこのひとがいるの。 さっきすれ違ったのに)」
さく「あなた、さっき私を見てたわよね」
沙也「それはすれ違う人みんなそうでしたよ・・・ 目立つ格好してますし」
さく「そうじゃないの。 たしかにみんな見ていたけどあなたの見る目は違った」
さく「なんでかわかる?」
さく「・・・」
さく「これ、着たいんでしょ」
〇シックな玄関
さく「おじゃましまーす」
〇女の子の一人部屋
沙也「(どうしてこうなんたんだっけ)」
さく「やっぱり。 可愛い色好きだと思った」
〇学校脇の道
沙也「別に着たいとかそういうわけでは・・・」
さく「嘘つかないで。 見ればわかるんだから」
沙也「嘘なんて・・・」
さく「ゆっくり話、聞いてあげるから。 それより立ち話もなんだからどこか行かない?」
沙也「じゃっじゃあ近いのでうちでどうぞ」
〇女の子の一人部屋
さく「一人暮らしなの?」
沙也「そう・・・です」
さく「ふーん・・・」
沙也「あっ・・・ちょっと・・・」
さく「みつけた やっぱりあると思ってた」
沙也「本当にやめてください」
さく「好きなのに?」
沙也「私には着る資格なんてないんです」
さく「資格なんて必要ないわよ。 好きなものを着る。それの何が・・・」
沙也「あなたにはわからないですよ!!」
沙也「着れないものは着れないんです」
沙也「もう、帰ってください」
さく「そう」
さく「よくわかったわ」
さく「あなたが意気地なしの怖がりだということがね」
〇女の子の一人部屋
沙也「なんであなたにそんなこと言われなくちゃいけないんですか!?」
さく「あなたが無駄なプライドにしがみついているからでしょう」
沙也「美人で人目を気にしないあなたにはわからないですよ」
さく「えぇ、わからないわ。 あなたがどうしてこんなにも意地を張っているのか理解できない」
さく「私はただあなたに好きな自分でいて欲しかった。 それで一緒に出掛けたかった」
沙也「えっ・・・」
さく「ごめんなさい。赤の他人が偉そうに。 私、帰るわね」
沙也「待って・・・」
沙也「私も本当はそういう可愛い自分になりたいの」
沙也「手伝ってくれる・・・?」
さく「!?」
さく「もちろんよ。そのために来たんだから」
〇女の子の一人部屋
さく「お風呂お借りしました」
沙也「はーい」
沙也「・・・」
沙也「誰!?」
さく「失礼ね。私よ」
沙也「凄い・・・」
さく「あんたもそうなるのよ」
〇女の子の一人部屋
沙也「するのはいいけどどこに行くの?」
さく「そんなの渋谷に決まってるでしょ」
沙也「・・・」
沙也「渋谷!?」
さく「お洒落の聖地よ。 堂々と歩けてとても楽しいわ」
沙也「普段東京なんていかないんだけど・・・」
さく「大丈夫。 明日のあなたはあなたであってあなたじゃないから」
〇女の子の一人部屋
沙也「・・・どんな感じ?」
さく「最高にかわいい。 まるで別人」
沙也「そっそう?」
さく「出来た。 もう他人の目も怖くないわよ」
沙也「・・・」
沙也「これ・・・私?」
さく「大変身。最高だね」
沙也「・・・うん。 すごくかわいい。ありがとう」
さく「こちらこそ」
さく「じゃあ、行きましょうか」
〇東京全景
沙也「(この街では、なりたい自分になれる。)」
沙也「(大好きな服を着て、大好きな自分でいられる)」
沙也「私を連れ出してくれて本当にありがとう」
さく「こちらこそ。 あなたと出会えて本当によかったわ」
沙也「(なりたい自分になれる街・・・)」
沙也「(最高!!)」
沙也「たくさんかわいい服買おう!」
さく「もちろんよ!」
多様性を取り扱った作品です。
砕けた感じですが、そんな中でも学びがある作品でした。
わかります! 田舎や狭いコミュニティでは、人と違う格好をすると白い目で見られたりしますね。都会はいろんな人がいて当たり前みたいな感じがして、自分らしくいられる気がします!
わたしも田舎でさくさんみたいな服装をしていたので共感の嵐でした。さやさんと同じように、はじめてこういう服を着たときはドキドキしたけど心が踊ったなぁと懐かしくなりました。いつしか年を重ね、世間体を気にして目立つ服装をしなくなりましたが、当時、自由にファッションを楽しんでいた時代を思い出してはっとしました。すてきな衝撃をありがとう♪