第4話『電気街の中心で「てえてえ」を叫ぶ少女』(脚本)
〇電器街
妄想女子伊藤「中古の同人誌探しに来たけど」
妄想女子伊藤「やっぱり、人多いなー」
星川夜「やっぱり、この格好恥ずかしいよ」
※星川夜
月の母親。語学教室の先生もやっている。
星川アサヒ「何を言ってるんだ とっても似合ってるじゃないか」
※星川アサヒ
月の父親。大金持ち。
妄想女子伊藤(何!? あの美男美女カップルは!?)
星川夜「も〜、パパったら口が上手いんだから」
星川アサヒ「じゃあ、お店に行こうか」
星川アサヒ「みんなにその姿を見せびらかしてやろう」
妄想女子伊藤「今、『パパ』って言った!?」
妄想女子伊藤「ま、まさか、パパ活!?」
妄想女子伊藤「き、気になるぅぅ」
妄想女子伊藤「今度の薄い本の参考になるかも」
妄想女子伊藤「お、追いかけよう!」
〇メイド喫茶
月「・・・・・・」
星川夜「・・・・・・」
星川アサヒ「・・・・・・」
星川夜「陽奈ちゃん!?」
星川アサヒ「陽奈!? 急にどうした!?」
あみーな「おかえりなさいませ ご主人様 お嬢様」
あみーな「月ちゃんは裏で介抱するので こちらへどうぞ」
星川夜「すみません」
星川アサヒ「お世話になります」
星川夜「今日、制服着てきたお嬢様 料金半額って聞いたから来たんだけど どうしたんだろ?」
星川アサヒ「試験勉強のしすぎで寝不足だったのかな」
あみーな(原因はあなた達です)
あみーな(親御さんがそんな格好で来たら 私だったらショック死してます)
あみーな(それにしても、月ちゃんママ映えるなぁ)
妄想女子伊藤 (あのカップル追いかけてたら勢いで 入っちゃったけど)
妄想女子伊藤 (コンカフェ入るの初めてだよ)
ルティエル「おかえりなさいませ お嬢様」
妄想女子伊藤 「は、はい」
ルティエル「こちらの席へどうぞ」
妄想女子伊藤 「は、はい」
〇更衣室
月「・・・・・・」
フレン「月さん、起きてください!」
※フレン
ふれてんの妖精さんとして
裏の雑用やキッチン業務を担っている
魔王の娘
妖精さん(本物)「かなりのショックだったみたいね」
※妖精さん(本物)
ふれてんに居着いている正真正銘の妖精
夜な夜な店内の清掃をしている
月「ママが留年して同級生になっちゃった」
フレン「なんて複雑な悪夢を見てるの」
〇メイド喫茶
妄想女子伊藤「まさかの席が近くになれるなんて」
星川夜「ねえー、パパ」
星川夜「2人だけで一緒にチェキ撮ろうよ」
星川アサヒ「ハハハハ それはいいな」
星川アサヒ「だけど、2人だけだと ここに来た意味ないな」
星川アサヒ「キャストさんと一緒に撮らないと」
妄想女子伊藤「くううぅぅ」
妄想女子伊藤「てえてえ」
星川アサヒ「じゃあ、いつものところでチェキ撮るなんて どうだ?」
妄想女子伊藤「いつものところ?」
星川夜「まさか、(語学)教室のこと?」
星川アサヒ「そうそう」
星川夜「教室で撮影なんて恥ずかしいよ」
妄想女子伊藤「教室!? どういうこと!?」
妄想女子伊藤「教室でそんなことを!?」
〇教室
※全て伊藤さんの妄想です
星川夜「パパ、恥ずかしいよ」
星川アサヒ「何を恥ずかしがってるんだ」
星川アサヒ「いつもみたいにリラックスするんだ」
星川夜「上手くチェキに収めてね」
星川アサヒ「もちろんだ」
〇メイド喫茶
妄想女子伊藤「くはっ!」
妄想女子伊藤「てえてえ!」
妄想女子伊藤「思わず鼻血が!」
ルティエル「お嬢さま!? 大丈夫ですか!?」
妄想女子伊藤「は、はい。ちょっと興奮して」
ルティエル「なら、良かったです」
ルティエル(興奮って何があったんだろ)
ルティエル「飲み物ご用意しますね」
妄想女子伊藤「アイスミルクティー、甘めでお願いします」
ルティエル「かしこまりました」
妄想女子伊藤(耐えるのよ、伊藤)
妄想女子伊藤(いくら、てえてえからって 妄想しちゃダメよ)
星川夜「そういえば、今日の晩御飯はどうする?」
星川アサヒ「そうだな、唐揚げなんてどうだ?」
星川夜「そうしましょう」
星川夜「手伝ってよね?」
星川アサヒ「もちろん」
妄想女子伊藤「てえてえ」
星川夜「でも、パパ (からあげに)手を出さないでよ」
星川夜「それでいつも料理が進まないんだから!」
妄想女子伊藤「手を出さない!?」
妄想女子伊藤「料理が進まないぐらいってどういうこと!?」
星川アサヒ「当たり前じゃないか」
星川アサヒ「でも、欲望を抑えられないからな(唐揚げへの食欲)」
妄想女子伊藤「欲望!?」
星川夜「パパは手が早いんだから(つまみ食いの)」
妄想女子伊藤「くううぅぅ」
〇おしゃれなキッチン
※全て伊藤さんの妄想です
星川夜「パパ、お肉に衣をつけてくれる?」
星川アサヒ「ああ」
星川夜「ちょ、ちょっと、パパ近いって」
星川アサヒ「つまみ食いしちゃおうかな」
星川夜「まだ唐揚げ出来てないよ」
星川アサヒ「君をだよ」
星川夜「パパったら、もう!」
〇メイド喫茶
妄想女子伊藤「あ、ありがとうございます!」
ルティエル「お、お嬢様! 吐血してますけど大丈夫ですか!?」
妄想女子伊藤「は、はい」
妄想女子伊藤「時々、吐血しちゃうんです」
ルティエル「そ、そうですか」
ルティエル(時々、吐血って? 体弱いのかな)
ルティエル「アイスミルクティーです」
妄想女子伊藤「ありがとうございます」
妄想女子伊藤「伊藤、落ち着くのよ」
妄想女子伊藤「妄想は家でするものよ」
妄想女子伊藤「何よりも、お2人に失礼よ!」
星川夜「そうだ、今日帰りに 新しい毛布見て帰りたいんだけど」
星川アサヒ「そろそろ寒くなってきたからな」
星川アサヒ「いいやつを買って帰ろう」
星川夜「でも、パパが隣で一緒だから 毛布なんていらないけどね」
妄想女子伊藤「!?」
〇豪華なベッドルーム
星川アサヒ「今日は寒いけど、夜が隣だから寒くないな」
星川夜「もうパパったら」
星川アサヒ「じゃあ、寝ようか」
星川夜「このまま普通に寝るつもり?」
星川アサヒ「ごめんごめん」
星川アサヒ「忘れていたよ」
星川アサヒ「寝る前のストレッチ」
星川夜「ふふふ。優しくしてね」
〇メイド喫茶
妄想女子伊藤「・・・・・・」
ルティエル「お嬢様、大丈夫ですか!?」
ルティエル「鼻血と吐血してますけど!」
妄想女子伊藤「すみません 外の空気吸ってきていいですか?」
ルティエル「は、はい」
妄想女子伊藤「失礼」
ルティエル「?」
〇マンションの非常階段
〇屋上の隅
妄想女子伊藤「・・・・・・」
妄想女子伊藤「てえてえ」
妄想女子伊藤「てえてえ」
妄想女子伊藤「てえてえ」
〇空
「てえてえ!!」
〇更衣室
月「ようやく目が覚めました」
フレン「良かった」
妖精さん(本物)「本当ね」
月「ちょっとパパとママのところに行ってきます」
フレン「家族仲良くて羨ましい」
妖精さん(本物)「ね」
〇メイド喫茶
ルティエル「救急車呼んだ方がいいかな」
妄想女子伊藤 「戻りました」
ルティエル「お、おかえりなさい」
ルティエル「体調は平気ですか?」
妄想女子伊藤 「発散したら治りました」
ルティエル「発散?」
ルティエル「でも、体調が回復して良かったです」
妄想女子伊藤 「席に戻ります」
ルティエル「はい」
ルティエル「事件にならなくて良かった」
月「ママ! そんな格好で来ないでよ!」
月「恥ずかしくて気絶しちゃったよ」
星川夜「ごめんねぇ」
星川夜「まさか、陽奈ちゃんが 気絶するとは思わなくて」
星川アサヒ「似合ってて素敵だろ」
星川アサヒ「いつまで経っても変わらない君は素敵だ」
星川夜「パパったらもう・・・・・・」
星川夜「そんなところが」
星川夜「好(す)」
星川夜「き❤️」
星川アサヒ「僕もだ」
月「お店でイチャイチャしないで 恥ずかしいよ」
妄想女子伊藤「まさかの夫婦!? しかも、娘まで!? 衝撃展開すぎて思考回路が爆発しちゃうよ! 家族3人で美男美女ってどういうこと!」
妄想女子伊藤「もう無理!」
妄想女子伊藤「・・・・・・」
「お嬢様!?」
〇雲の上
「てえてえ」
天使様「うるせえ!」
天使様「どこのどいつだよ! 騒がしい!」
妄想女子伊藤「ここは?」
天使様「天国です」
妄想女子伊藤「なるほど、私は死んだのか」
天使様「いえ、まだ完全に 死んだわけじゃないですよ?」
妄想女子伊藤「ある夫婦の仲睦まじい様子を見て ショック死したのです」
妄想女子伊藤「まさに、尊死」
妄想女子伊藤「人生に悔いなし!」
天使様「悔い残せよ!」
妄想女子伊藤「だから、そこを通していただきたい」
妄想女子伊藤「この胸のトキメキを感じたまま 天国に行って、もう一度噛み締めたい」
天使様「そんな理由で天国通ろうとするな」
妄想女子伊藤「そんな理由とは何ですか!?」
妄想女子伊藤「こっちは真剣なんです!」
天使様「とにかく無理なのでお帰りください」
妄想女子伊藤「そこをどうにかなりませんか? この想いを薄い本にして 天国で布教したいです」
天使様「天国で布教って 神様すらも恐れない所業なんよ」
天使様「ほら、まだ生きてたら もっと素晴らしいシチュエーションに 遭遇できるかもしれませんよ?」
妄想女子伊藤「確かに」
妄想女子伊藤「またあの夫婦のイチャラブを 見れるかもしれない!」
妄想女子伊藤「うかうか死んでる場合じゃねえ」
妄想女子伊藤「お世話になりました」
天使様「珍しく自分から戻っていった」
天使様「お願いだから帰ってこないでね」
〇メイド喫茶
ルティエル「大丈夫かな?」
月「救急車呼びますか?」
妄想女子伊藤「はっ!? ここは!?」
月「良かった。気が付いた」
ルティエル「大丈夫ですか?」
妄想女子伊藤「はい。尊すぎて、意識が飛んでました」
妄想女子伊藤「本当に素晴らしいお店ですね」
「ありがとうございます」
ルティエル(あまり接客出来てない気するけど)
妄想女子伊藤「また遊びに来ますね」
月「はい」
月「またのご帰宅お待ちしております」
妄想女子伊藤(帰りに同人誌買って帰ろう)
〇電器街
妄想女子伊藤「大量大量。帰ったら全部読まないと」
妄想女子伊藤「あと今日の出来事も 薄い本に落とし込もう」
妄想女子伊藤「ん? あれは!?」
月「パパ、ママ、お待たせ」
星川夜「3人で、ご飯食べて帰りましょう」
星川アサヒ「よーし、今日はお寿司にしよう」
「やったああ」
妄想女子伊藤「・・・・・・」
〇雲の上
天使様「今日のお仕事は終わったし 帰りにクラブに寄って帰ろう」
妄想女子伊藤「・・・・・・」
天使様「・・・・・・」
天使様「頼むから生きて」
〇メイド喫茶
次回予告
神すら恐れぬ少女の止まらない妄想力の前に
残業を余儀なくされた天使様
果たして、彼女はクラブに行けたのか
そして、今回、あまり出番のなかった月
そんな彼女に、あみーなはあるアドバイスをするのだった
次回『さしすせそ』
月「今回の件については パパとママにも責任はあると思います」
月「みなさんはどんな妄想しますか?」
月「私は、人間ぐらいの大きさのザリガニと戦う妄想をします」
月「次回も、もえもえてん!」
第4話読みました!
月ちゃんのママの制服姿が可愛くて、ふふふ……。イケメンなパパと……。ぐふふ……。😌
(ここでは書いてはいけない妄想をする男)
お花屋さんの祖父といい、星川家恐るべしですね。
伊藤さんと同じく僕も爆発です。🤯