インソムニア

komarinet

最終話 おはよう(脚本)

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〇綺麗な病室
医者「意外と記憶の混乱はないのかな?」
白宵 睡(しらよい すい)「大丈夫でっ・・・」
看護師「白宵さん!?」
白宵 睡(しらよい すい)「あ、脚に力が入らない」
医者「十年間眠ってたんだ、当然だよ」
看護師「焦らずゆっくりリハビリしようね」
白宵 睡(しらよい すい)「そういう訳にはいかないの」
白宵 睡(しらよい すい)「早くしないとお兄ちゃんが・・・」
???「よろしいでしょうか?」
小判 早馬(こばん そうま)「白宵睡さんが目覚めたと聞きまして」
医者「またあなた方ですか」
医者「彼女は先ほど目覚めたばかりですよ?」
小判 早馬(こばん そうま)「こちらも、そう待ってられないんです」

〇渋谷のスクランブル交差点

〇車内
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「ご協力、感謝するわ」
白宵 睡(しらよい すい)「条件は飲みます。そのかわり──」
白宵 睡(しらよい すい)「約束、守ってくれるんですよね?」
小判 早馬(こばん そうま)「ああ、お連れするよ」

〇総合病院
小判 早馬(こばん そうま)「彼らが今居るところへね」

〇集中治療室
白宵 睡(しらよい すい)「お兄ちゃんっ・・・!」
小判 早馬(こばん そうま)「事件からもう2週間になる」
小判 早馬(こばん そうま)「目覚める見込みは殆どないそうだ」
医師「患者さんのご家族ですね」
医師「少し、よろしいでしょうか」

〇総合病院
白宵 睡(しらよい すい)「余命半年!? どういうことですかっ!」

〇病院の診察室
医師「お兄さんは特殊な睡眠状態にあります」
白宵 睡(しらよい すい)「メラトニンの過剰産生、ですよね」
医師「ええ。ですが問題はその影響で──」
医師「他のホルモン産生が低下しているんです」
小判 早馬(こばん そうま)「それだと、何か悪いことが?」
医師「ホルモンは生きるために必要な物質です」
医師「枯渇すれば、人は生きていられない」
白宵 睡(しらよい すい)「お薬で治療できたりしないんですか?」
医師「ある程度は。ですが限界があります」
医師「そして今まさに、その限界量なんです」

〇大きい交差点

〇車内
小判 早馬(こばん そうま)「大丈夫ですか?」
白宵 睡(しらよい すい)「何となく想像はついてましたから」
小判 早馬(こばん そうま)「一つ、聞いても?」
小判 早馬(こばん そうま)「なぜ、医者の話を理解できたのかな?」
白宵 睡(しらよい すい)「えっ」
小判 早馬(こばん そうま)「君は11歳で眠りについたはずだが──」
小判 早馬(こばん そうま)「大人でも難しい話を理解できていたね」
白宵 睡(しらよい すい)「それは──」

〇警察署の入口
警察官「六道。君に面会だ」

〇刑務所の面会室
六道 睦月(ろくどう むつき)「俺に? 一体誰が・・・」
六道 睦月(ろくどう むつき)「──!」
白宵 睡(しらよい すい)「久しぶり、睦月くん」
六道 睦月(ろくどう むつき)「睡、ちゃん・・・」
六道 睦月(ろくどう むつき)「ごめん、俺」
白宵 睡(しらよい すい)「いいの。私、全部見てたから」
六道 睦月(ろくどう むつき)「えっ!」
白宵 睡(しらよい すい)「眠っている間──」

〇水の中
白宵 睡(しらよい すい)「私は不思議な力を得たわ」
白宵 睡(しらよい すい)「脳波で繋がる人の記憶を共有する能力」

〇東京全景
  不眠で苦しむ全ての人たちと繋がってた

〇刑務所の面会室
白宵 睡(しらよい すい)「だから全部知ってるの」
白宵 睡(しらよい すい)「眠れるようになったあなたがどんなに──」
白宵 睡(しらよい すい)「苦しかったか」
六道 睦月(ろくどう むつき)「・・・夢でも見ていたんじゃないか」
六道 睦月(ろくどう むつき)「俺は別に辛くなんか──」
小判 早馬(こばん そうま)「そろそろいいかな」
小判 早馬(こばん そうま)「段取りを決めておきたい」
六道 睦月(ろくどう むつき)「彼女に何をさせる気だ」
小判 早馬(こばん そうま)「ただ、証言をお願いするだけさ」

〇サイバー空間
  闇バイトは君が作った『バイトAI』の指示
  君は仕事内容や人物の情報を知り得ない
  手数料だけが君に入ってくるシステムだ

〇刑務所の面会室
小判 早馬(こばん そうま)「悪質なプログラム作成の罪はあるが」
小判 早馬(こばん そうま)「君に数々の犯罪を教唆した罪はない」
六道 睦月(ろくどう むつき)「笑える。俺の罪を軽くしたいの?」
小判 早馬(こばん そうま)「冤罪は嫌いでね」
小判 早馬(こばん そうま)「だが、君の罪が軽いのも気に入らない」
六道 睦月(ろくどう むつき)「それで、彼女に証言か」
小判 早馬(こばん そうま)「君が出来るなら話が早いのだがね」
白宵 睡(しらよい すい)「睦月くん、私は──」
六道 睦月(ろくどう むつき)「俺は法廷で発言ができる体調じゃない」
六道 睦月(ろくどう むつき)「頼んだよ、睡ちゃん」
六道 睦月(ろくどう むつき)「悪人はさ・・・罰せられるべきなんだ」
警察官「六道。面会終了の時間だ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「言われなくても戻るよ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「不眠の頭痛で数分話すのが限界なんだ」

〇総合病院
白宵 睡(しらよい すい)「病室までは自分で戻れます」
小判 早馬(こばん そうま)「では、ここで。またご連絡します」
白宵 睡(しらよい すい)「もしもし。今病院の玄関です」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「電話をしたのはあなた?」
白宵 睡(しらよい すい)「ええ」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「HASHIBA代表代理、木崎 都です」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「話は車内で」

〇車内
白宵 睡(しらよい すい)「よく疑わないで来てくれましたね」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「社長しか知らない直通外線番号」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「信じる理由はそれで十分です」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「あなたは社長の記憶を持っている」

〇警察署の入口

〇オフィスのフロア
小判 早馬(こばん そうま)「はい、警視庁・・・ああ、先生」
小判 早馬(こばん そうま)「白宵睡が病室に戻って来てない!?」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「すぐに捜索チームを! 大至急よ!」

〇警察署の入口

〇車内
小判 早馬(こばん そうま)「記憶があると知った時に警戒すべきだった」
小判 早馬(こばん そうま)「六道睦月の記憶を持つということは──」
小判 早馬(こばん そうま)「奴と同じ犯罪を犯す可能性がある!」

〇大きい研究施設

〇研究開発室
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「機材と薬品、スタッフを用意したわ」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「これで本当に社長は助かるのね?」
白宵 睡(しらよい すい)「わからない。これは知識じゃない」
白宵 睡(しらよい すい)「私と脳波が繋がった人たちの記憶だから」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「なんとも心許ないわね。どう? 先生」
研究スタッフ「間違ってはいない」
研究スタッフ「それどころか、驚くべき理論だ」
研究スタッフ「我々の10年は先を行っているな」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「だったら!」
研究スタッフ「出来るかもしれん」
研究スタッフ「メラトニンを正常化させる薬をな」

〇総合病院
小判 早馬(こばん そうま)「白宵さん! どこに行ってたんですか!」
白宵 睡(しらよい すい)「ごめんなさい、服買いたくなっちゃって」
白宵 睡(しらよい すい)「先生にも謝っておきますね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「杞憂だったわね」
小判 早馬(こばん そうま)「だと、いいんですがね」

〇総合病院

〇病院の待合室
白宵 睡(しらよい すい)「ありがとうございました」
医者「全く君には驚かされたよ」
医者「まさか1週間で走れるようになるなんて」
白宵 睡(しらよい すい)「みなさんのお力のおかげです」
看護師「お大事になさって下さいね」

〇総合病院
白宵 睡(しらよい すい)「いつまでも寝てるわけにはいかないのよ」

〇研究開発室
白宵 睡(しらよい すい)「すみません、退院しました!」
研究スタッフ「ミス、白宵。待っていたよ」
白宵 睡(しらよい すい)「更に、覚えてることを書き出しました」
白宵 睡(しらよい すい)「進捗はどうです?」
研究スタッフ「20%というとこだな」
研究スタッフ「自分の無力が口惜しいよ」
研究スタッフ「彼の技術や理論が正しいのはわかる」
研究スタッフ「だがそれを臨床応用するのは話が別なんだ」
白宵 睡(しらよい すい)「そう、ですか・・・」
研究スタッフ「六道博士に協力をお願いできないか」
研究スタッフ「彼が拘留中なのは分かってる」
研究スタッフ「だがこのままでは、お兄さんは──」
白宵 睡(しらよい すい)「・・・なんとか、してみます」

〇組織の宿舎

〇法廷
検事「では、証言をお願いします」
白宵 睡(しらよい すい)「私は、六道睦月に・・・」
白宵 睡(しらよい すい)「誘拐されたわけではありません!」
小判 早馬(こばん そうま)「し、白宵さん!」
裁判官「静粛に!」
裁判官「証人、続けてください」
白宵 睡(しらよい すい)「私は彼の実験に自ら志願しました」
白宵 睡(しらよい すい)「彼に罪はありません」
六道 睦月(ろくどう むつき)「睡・・・ちゃん?」
六道 睦月(ろくどう むつき)「違う! 俺は・・・」
六道 睦月(ろくどう むつき)「痛たた・・・ううう」
裁判官「判決を言い渡します。六道 睦月」
裁判官「重過失失火罪及び過失致死傷罪で──」
裁判官「罰金300万円、禁固3年、猶予2年とする」
小判 早馬(こばん そうま)「執行猶予・・・!」

〇荒廃した国会議事堂の広間
小判 早馬(こばん そうま)「意外だな。浮かない顔をするじゃないか」
小判 早馬(こばん そうま)「罰金刑で済んで執行猶予が付いたんだぞ?」
六道 睦月(ろくどう むつき)「なんで・・・彼女は」
???「少しよろしいでしょうか」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「六道さんの保釈金を支払いました」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「彼の身柄をこちらに渡して頂きたいです」
六道 睦月(ろくどう むつき)「誰がそんなことを」
六道 睦月(ろくどう むつき)「悪いけど、俺は付いていく気なんか」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「白宵睡さんが呼んでいても?」
六道 睦月(ろくどう むつき)「──!」

〇研究開発室
六道 睦月(ろくどう むつき)「ここは──」
白宵 睡(しらよい すい)「待ってたよ、睦月くん」
六道 睦月(ろくどう むつき)「睡ちゃん・・・あんな嘘までついて」
六道 睦月(ろくどう むつき)「一体俺に何をさせる気だ?」
研究スタッフ「こちらをご覧ください」
六道 睦月(ろくどう むつき)「これは・・・俺の理論の応用を?」
白宵 睡(しらよい すい)「睦月くんの理論をもとに作った薬よ」
白宵 睡(しらよい すい)「でもどうしても完成が難しくて」
六道 睦月(ろくどう むつき)「俺に科学者として生きる資格はない」
六道 睦月(ろくどう むつき)「それに頭痛が酷くて研究なんて──」
白宵 睡(しらよい すい)「お願い、力を貸して!」
白宵 睡(しらよい すい)「でないと兄が・・・お兄ちゃんが・・・っ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「覚が!? 何かあったのか!?」

〇総合病院
白宵 睡(しらよい すい)「あと1週間ってどういうことなんですか!」

〇病院の診察室
医師「耐性という言葉をご存知ですか」
白宵 睡(しらよい すい)「まさか・・・」
医師「薬がどんどん効かなくなっているんです」
医師「正直もう打つ手がない」

〇集中治療室
  もって、1週間でしょう──

〇研究開発室
六道 睦月(ろくどう むつき)「無理だよ、1週間なんて」
白宵 睡(しらよい すい)「睦月くん。私の記憶にはね」
白宵 睡(しらよい すい)「お兄ちゃんの記憶もあるんだ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「覚の・・・?」
白宵 睡(しらよい すい)「お兄ちゃんが眠る前、何を思ったと思う?」
六道 睦月(ろくどう むつき)「さあね。見当もつかないよ」
白宵 睡(しらよい すい)「『俺が──』」

〇白
白宵 覚(しらよい さとる)「俺が、次に目覚めたら」
白宵 覚(しらよい さとる)「あいつに『おはよう』って言ってやる」
白宵 覚(しらよい さとる)「お前寝てたのかって、驚くぞ」

〇研究開発室
六道 睦月(ろくどう むつき)「大馬鹿野郎だ、覚は」
白宵 睡(しらよい すい)「うん。私も・・・そう思うよ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「・・・木崎さん、お願いがあります」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「私!? 何でしょう?」
六道 睦月(ろくどう むつき)「俺の頭痛に唯一効果のある強い薬です」
六道 睦月(ろくどう むつき)「ありったけ・・・調達してくれますか」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「わかりました」
白宵 睡(しらよい すい)「それじゃあ・・・!」
六道 睦月(ろくどう むつき)「睡ちゃん。全部終わったら、必ず罪を償う」
六道 睦月(ろくどう むつき)「だからもう一度だけ──」
六道 睦月(ろくどう むつき)「科学者に戻る俺を許してくれ」
白宵 睡(しらよい すい)「ありがとう、睦月くん」

〇大きい研究施設
  5日後──

〇研究開発室
六道 睦月(ろくどう むつき)「よし、薬は完成・・・だ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「あとはこれを覚に・・・うっ」
白宵 睡(しらよい すい)「睦月くん!?」
白宵 睡(しらよい すい)「──息をしてない!」

〇病院の診察室
医師「他のホルモンの産生に影響が──」

〇研究開発室
白宵 睡(しらよい すい)「まさか、睦月くんも・・・?」
白宵 睡(しらよい すい)「木崎さんっ、救急車呼んで! 今すぐ!」
白宵 睡(しらよい すい)「睦月くんが死んじゃう!」

〇空

〇集中治療室
白宵 覚(しらよい さとる)「ここは・・・」
白宵 睡(しらよい すい)「お兄ちゃん、私だよ! わかる?」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・睡! 睡か!」
白宵 睡(しらよい すい)「よかった」
白宵 覚(しらよい さとる)「睦月は?」
白宵 睡(しらよい すい)「久々に会った妹に最初に言うことがそれ?」
白宵 覚(しらよい さとる)「すまん」
白宵 睡(しらよい すい)「・・・隣りにいるよ」
白宵 睡(しらよい すい)「睦月くんも、危なかったんだ」
白宵 睡(しらよい すい)「同じ薬で、なんとか助かったんだよ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「うーん」
六道 睦月(ろくどう むつき)「ふぁーあ、よく寝た」
六道 睦月(ろくどう むつき)「あれ? 覚、『おはよう』!」
白宵 覚(しらよい さとる)「お前が先に言うのかよ!」
六道 睦月(ろくどう むつき)「よかった。元気そうで」
六道 睦月(ろくどう むつき)「それと・・・悪かった。色々」
白宵 睡(しらよい すい)「お兄ちゃん、怒らないであげて」
白宵 睡(しらよい すい)「睦月くんは死にそうになってまで薬を」
六道 睦月(ろくどう むつき)「いいんだ、睡ちゃん。覚は分かってるよ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「最後の予知でね。だろ?」
白宵 覚(しらよい さとる)「全部お見通しか」
白宵 睡(しらよい すい)「そんなの、私の記憶には」
六道 睦月(ろくどう むつき)「大勢の記憶を共有してたんだろ?」
六道 睦月(ろくどう むつき)「全部を留めてはおけないさ」
白宵 覚(しらよい さとる)「睦月。もし、予知の通りなら」
白宵 覚(しらよい さとる)「お前の決心も変わらないのか」
六道 睦月(ろくどう むつき)「そりゃあ、ね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「そろそろいいかしら」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「主治医からも許可は得てるわ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「はいはい、わかりましたよ」
小判 早馬(こばん そうま)「六道睦月。誘拐及び──」
小判 早馬(こばん そうま)「白宵睡の証言を変えさせた罪で逮捕する」
白宵 覚(しらよい さとる)「睦月・・・」
六道 睦月(ろくどう むつき)「そんな顔すんなって」
六道 睦月(ろくどう むつき)「俺たちの夢、覚えてるだろ」
白宵 覚(しらよい さとる)「"ふたりが同時に起きていられる世界"」
六道 睦月(ろくどう むつき)「わかってんなら、大丈夫だよな」
六道 睦月(ろくどう むつき)「またいつか会おう。覚」
白宵 睡(しらよい すい)「お兄ちゃん・・・」
白宵 覚(しらよい さとる)「あいつは自分で未来を選択したんだ」
白宵 覚(しらよい さとる)「睡眠欲からじゃなく、自分自身の意思でな」
白宵 覚(しらよい さとる)「それに言ってたろ。またいつか会えるさ」
白宵 睡(しらよい すい)「うん。そうだね」
???「起きたなら起きたって言えや!」
看護師「困ります! ご家族以外の面会はっ!」
九条 醒夜(くじょう せいや)「おー、ホンマに起きとるやないか」
涅群 騎士(くろむら ないと)「看護師さんが嘘つくわけないよね」
三井 陽和(みつい ひより)「大丈夫、白宵くん? 記憶は飛んでない?」
白宵 覚(しらよい さとる)「みんな!」
白宵 睡(しらよい すい)「お兄ちゃんが寝てる間、毎日来てたのよ」
白宵 睡(しらよい すい)「いいお友達だね」
九条 醒夜(くじょう せいや)「覚、ちょっと出られへん?」
九条 醒夜(くじょう せいや)「アルテミスと明闇が外で待っててん」
病院看護師「駄目です! 白宵さんは今起きたばかりで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「そこをなんとか! 後でサインあげるから」
病院看護師「えっ、本当ですか!」
涅群 騎士(くろむら ないと)「ちょろすぎない? ここのスタッフ」

〇総合病院
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「だーかーら! 病院は先ほど買い取った!」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「俺はオーナーなの!」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「集中治療室にちょっと猫が入るくらい──」
涅群 騎士(くろむら ないと)「ここにもダメな人が・・・」
涅群 騎士(くろむら ないと)「明闇さん。白宵さんを連れてきたよ」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「ん? じゃあいいか」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「覚! 元気そうだな!」
白宵 覚(しらよい さとる)「明闇も無事でよかった」
白宵 覚(しらよい さとる)「アルテミス・・・」
アルテミス「にゃー」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「人の言葉はもう喋れないらしい」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「理解はしているみたいだがな。さて」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「これでようやく全員揃ったってわけだ」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「俺はお前さんが起きたら言いたいことが」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ちょお待ちぃや! 僕もあんねん」
涅群 騎士(くろむら ないと)「僕も一応、あるんだけど」
三井 陽和(みつい ひより)「右に同じ」
アルテミス「にゃー」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「なんだ、お前さんもか」
白宵 覚(しらよい さとる)「それなら俺もある」
白宵 覚(しらよい さとる)「さっきは誰かに先に言われちまったからな」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「みんな同じか? じゃあせーので言うか」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「せーのっ!」

〇空
インソムニア全員「おはよう!」

〇商業ビル
  こうして、俺たちの戦いは終わった
  とはいえ──

〇雑誌編集部
磯村 新太(いそむら しんた)「覚さん、もうすぐ銀行との面談が」
白宵 覚(しらよい さとる)「もうそんな時間か」
白宵 覚(しらよい さとる)「身体がいくつあっても足りないな」
磯村 新太(いそむら しんた)「不眠だった頃は時間ありましたもんね」
磯村 新太(いそむら しんた)「戻りたいっすか?」
白宵 覚(しらよい さとる)「馬鹿言ってないで出るぞ」
  記憶を失った両親、妹の社会復帰
  やることは山のようにある

〇超高層ビル
  まだまだ忙しい日々は続きそうだ
白宵 覚(しらよい さとる)「"俺たちの戦いはこれからだ"ってやつだな」
磯村 新太(いそむら しんた)「なに言ってんすか」
白宵 覚(しらよい さとる)「別に。何も言ってない」
磯村 新太(いそむら しんた)「あっ、待ってくださいよ!」
  これからも俺たちは何かを『選択』し
  人生を、未来を生きていくんだ
  『人生は選択の連続である』
          
  ウィリアム・シェークスピア
  『インソムニア』  完

次のエピソード:エピローグ 「猫とアイドル」

コメント

  • 完結おめでとうございます&お疲れ様でした!

    ハラハラドキドキしつつも、抜群の安定感で読めてしまうのは流石としか👍 キャラ全員が主役級の魅力を持ち、わちゃわちゃしてるのに…… なんでこんなにうまく纏まるんだ。笑(そら時間もかかりますわ)

  • 本編完結お疲れ様&おめでとうございます!

    スーパー妹ターンからの大団円、ハラハラ展開続きで楽しめました。
    当初ヒロインは陽和と思ってましたが、睦月だったとは。予知のない未来での再会…想像するだけで胸アツです。皆のエピローグもまた見たいですね(九条とか九条とか…笑)

    長編だからこその経験値はありますよね。当初の設計から変わるキャラやプロット…まずは一話完結型を作って慣れるべきかと最近思ってます。

  • インソムニア、完結おつかれさまです!
    とうとう終わってしまった……もう会えなくなると思うと寂しいですね。
    あれほど眠りに飢えていた彼等への「おはよう」は、普通に眠れる人達と違い、嬉しさや言葉の重みが違うんでしょう。
    みんなの心が一つになる最終回に相応しい言葉だと思います☺️

    一人一人の個性あるキャラに最後まで楽しませてもらいました。素晴らしい作品をありがとうございました!

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