プロローグ(脚本)
〇教室
1 藍澤 亜里佐「これ?あたし、頼んでないんだけど!」
20 西ヶ谷 真歩「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!」
1 藍澤 亜里佐「謝っても無駄!金、返せよ!」
見てられない。
22 久山 亜悠「あのさ、静かにしてくれない?」
私は思い切って言った。
だって、藍澤さん、怖いし。
1 藍澤 亜里佐「はいはい。分かったよ」
1 藍澤 亜里佐「おい、西ヶ谷来い」
20 西ヶ谷 真歩「は、はいっ」
〇教室
次の日──
22 久山 亜悠「あ」
私の机は落書きでいっぱいだった。
その上には花瓶が置いてあった。
1 藍澤 亜里佐「はーいみなさん聞いてくださぁーい!」
1 藍澤 亜里佐「久山亜悠は○にましたぁ〜!」
1 藍澤 亜里佐「とぉ〜っても悲しいですよねぇ〜」
1 藍澤 亜里佐「で・す・が!」
1 藍澤 亜里佐「久山亜悠がいなくなったおかげで──」
8 金重 賢人「2-Aは藍澤亜里佐のものだーっ!」
「うえーい!」
今度はクラス全員が叫んだ。
何故全員叫ぶって?
だって逆らったら終わりだもん。
〇教室
加害者
藍澤亜里佐──
1 藍澤 亜里佐「なぁ、お前、さっき柿谷くんと喋ってただろ?会話禁止って言ったよな?」
22 久山 亜悠「いや、その、塾の課題の話をしてただけ・・・・・・」
1 藍澤 亜里佐「あ゛?」
私の髪の毛を引っ張る。
22 久山 亜悠「痛いっ!」
6 柿谷 泰晴「藍澤?何やってるんだ?」
1 藍澤 亜里佐「あ!柿谷くん♡どうしたのぉ?」
6 柿谷 泰晴「いや、2人で何してるのかなーって思って」
1 藍澤 亜里佐「ちょっと久山さんの髪が絡まっちゃってぇー」
6 柿谷 泰晴「やろっか?」
1 藍澤 亜里佐「いや、だいじょうぶ!」
6 柿谷 泰晴「そっか」
柿谷くんと会話をする時は口調が変わる。
1 藍澤 亜里佐「何こっち見つめてるんだよ!」
22 久山 亜悠「・・・・・・」
1 藍澤 亜里佐「なんか言えよ!」
22 久山 亜悠「はい」
〇教室
小曽根亜由加
廣橋優女
八木沼衿菜
脇田詩緒理
5 小曽根 亜由加「自分の名前嫌いなんだけど」
23 廣橋 優女「何でぇー?ゆめは自分の名前気に入ってるよぉー?女の子らしくて好きなのぉー」
30 脇田 詩緒理「久山さんと名前被ってるから?」
5 小曽根 亜由加「そう!マジでだるいー」
27 八木沼 衿菜「“あんな”ってどうかな?」
5 小曽根 亜由加「それいいね!私、ニックネームあんなにする!」
その会話が聞こえてくる。
しかもわざとらしい大声。
〇白
西ヶ谷真歩
西ヶ谷真歩は私を騙したやつ。
泣いてるのも、いじめられているのも、全て“嘘”だったんだ。
演技だったんだ。
金重賢人
こいつはおつかいを頼む親みたいなやつだ。
まぁ、親にはしたくない。
名前の通り結構金持ちだ。