まごころを君に(脚本)
〇幼稚園
アイ「マコトくん、わたしたち、」
アイ「おおきくなったら、けっこんしようね」
マコト「うん。けっこんしようね」
マコト「ぼくが、しあわせにしてあげる」
マコト(他愛もない会話だ)
マコト(幼いからできる約束)
マコト(でも現実はそこまで簡単じゃないんだ)
〇シックなカフェ
彼女「お願い。別れて」
マコト「え?」
彼女「『え?』じゃなくて」
彼女「私達、もう5年も付き合ってるのに」
マコト「いや、だから結婚したくないワケじゃなくて・・・・・・」
マコト「その、えと、踏ん切りがつかないっていうか・・・・・・」
彼女「そういう優柔不断なところよ」
マコト「あ・・・・・・」
〇都会のカフェ
アイ「浮気・・・・・・ してたの?」
彼氏「ちげーよ」
彼氏「つーか浮気相手はお前の方だから」
アイ「酷い・・・・・・」
彼氏「そーゆーワケだから」
アイ「あっ・・・・・・」
〇店の入口
マコト(大人になると感情だけじゃ動けない)
マコト(まして結婚だなんて・・・・・・)
アイ「あれ、マコト・・・・・・ 君?」
マコト「ん?」
マコト「え? アイ・・・・・・ ちゃん?」
アイ「あーやっぱりそうだ」
アイ「うわー超久しぶりじゃん」
マコト(どうしてこんなタイミングで会うんだよ)
アイ「・・・・・・どしたの? 元気ないね?」
アイ「あー、彼女にフられたとか?」
マコト「え・・・・・・」
アイ「お? マジ? ごめん・・・・・・」
マコト「いいよ・・・・・・ 別に・・・・・・」
マコト(最悪だ。彼女にフられて、その直後に初恋の人にからかわれるなんて)
アイ「あ? ちょっ・・・・・・ マコトくぅん!」
〇白いバスルーム
マコト「あー・・・・・・ マジ最悪だ・・・・・・」
マコト「死にたい・・・・・・」
マコト(心が痛い)
マコト(どこも怪我なんてしてないのに)
マコト(どうしようもなく苦しい)
マコト(胸が痛い)
マコト「うっ・・・・・・」
マコト「うあ・・・・・・ ああああぁぁぁ・・・・・・」
〇シックな玄関
ピーンポーン
マコト(誰だよ・・・・・・)
マコト(ダリぃ・・・・・・)
ピンポンピンポンピポピポピポピポピポピポピポピポ・・・・・・
マコト「あ゛あ゛あ゛もうっ! わかったよ! うるさいなぁ!!」
アイ「やっほー」
マコト「あ、アイちゃん?」
マコト「どうしたの? こんな朝早く・・・・・・」
アイ「いや、もう夕方だけど・・・・・・」
アイ「どんだけ爆睡してたの・・・・・・」
マコト「ああ、えっと・・・・・・」
アイ「まあいいや。入っていい?」
アイ「もう入ってるけど」
マコト「いや、ちょっと・・・・・・」
〇一人部屋
アイ「うわぁ・・・・・・ マコト君の部屋入るの、めっちゃ久しぶり〜」
アイ「あんま変わってない?」
マコト「何しに来たの?」
アイ「ん? いや昨日会って元気ないなー、と思って」
マコト「そりゃ彼女にフられたんだから、元気なんかないよ」
マコト「笑いに来たの?」
マコト「それか慰めに来てくれた?」
アイ「どっちがいい?」
マコト(ナメてんのか)
アイ「愚痴なら聞くよ?」
アイ「話したらスッキリすると思うし」
マコト(わかってないな)
マコト(傷心した男をスッキリさせたいなら・・・・・・)
マコト「じゃあ・・・・・・」
アイ「え?」
(大人になると感情だけでは行動できない)
(そんなのウソだ)
マコト「っ痛・・・・・・」
アイ「サイテー・・・・・・」
マコト「・・・・・・」
マコト(そう。俺は最低だ)
〇黒
マコト(あれから何日経ったっけ?)
マコト(何だろう? この感覚・・・・・・)
マコト(心にぽっかり穴が空いた様な・・・・・・)
マコト(あいつのせい?)
マコト(違う)
マコト(アイちゃん・・・・・・)
マコト(都合の良い話だ)
マコト(あんな幼い頃の約束を覚えている筈がないのに)
マコト(こんな時にだけ縋り付くなんて・・・・・・)
マコト(謝らなきゃ)
マコト(酷い事をしてしまった)
マコト(許してくれるとは思えない)
マコト(それでも・・・・・・)
マコト「この間はごめん」
アイ「今から会えない?」
マコト(どういう事だろう。自分を襲った相手に会いたい?)
マコト(土下座でもしろっていうのか)
マコト(しょうがない。いや当然か)
マコト「わかった。行く」
〇玄関内
マコト「・・・・・・」
アイ「・・・・・・入って」
マコト「いや、でも・・・・・・」
アイ「いいから」
〇女の子の一人部屋
マコト「・・・・・・」
アイ「・・・・・・」
マコト(完全にタイミングを見失ってしまった)
マコト(玄関先で土下座するつもりだったのに)
マコト(駄目だ。どんどん謝りにくくなっていく)
マコト(ええい・・・・・・)
「・・・・・・」
「ごめんなさい!!」
「え?」
マコト「何でアイちゃんが謝るんだよ・・・・・・」
アイ「マコト君こそ・・・・・・」
マコト「だって、俺はアイちゃんに酷い事を・・・・・・」
アイ「私だって軽率な事言って・・・・・・」
「・・・・・・」
「え?」
マコト「どういう事?」
アイ「えっとね・・・・・・」
アイ「私、彼氏にフられたばかりだったんだ」
アイ「それでムシャクシャしてて・・・・・・」
アイ「マコト君に酷い事言っちゃって・・・・・・」
マコト「そんな事・・・・・・」
アイ「家に行った時もそう」
アイ「慰めてあげる、みたいな事言ったけど」
アイ「本当に慰めて欲しかったのは私の方」
アイ「なのに、ひっぱたいちゃって・・・・・・」
マコト「それなら俺だって・・・・・・」
アイ「何か、似たもの同士だね私達って」
マコト「・・・・・・そう、だね」
マコト「あのさ、覚えてる?」
マコト「幼稚園の時の・・・・・・」
アイ「結婚の約束?」
マコト「お、覚えてて・・・・・・」
アイ「勿論覚えてるよ」
アイ「私の初恋だもん」
マコト「・・・・・・」
アイ「マコト君・・・・・・」
アイ「好きです」
アイ「ずっと貴方が好きでした」
マコト「お、俺も・・・・・・」
マコト「俺もだよ」
アイ「だぁめ。ちゃんと言って」
マコト「あ、アイ・・・・・・ ちゃん・・・・・・」
マコト「・・・・・・愛してる」
アイ「おっ・・・・・・」
マコト「世界で一番愛してるよ!」
アイ「おひょおぉ・・・・・・」
マコト「俺、アイちゃんじゃなきゃ、ダメみたいだ」
マコト「ずっとそばにいてほしい」
マコト「結婚して下さい」
アイ「ええええ!? それは気が早いよぉ〜」
マコト「でも約束したし」
マコト「好きだ」
マコト「大好きだ!」
アイ「あっ・・・・・・」
マコト(もう我慢できない)
マコト(今度はいい加減な気持ちじゃない)
マコト(君の心を受け取ったから)
マコト(君の全てが欲しい)
マコト(俺の全ても受け取って欲しい)
マコト(君になら全部さらけ出せる)
マコト(そう思えたから)
初恋なんて遠い過去、だけど初恋だから覚えてる。二人の関係が大人になってたくさん恋をしているはずなのに、とても初々しく感じました。二人にとって、これぞ“本物の恋”。
ラストのマコトの溢れだす想いにグッときました👍
ある人にとっては、ケダモノ感を感じても、ある人には、結婚ウン10年の老夫婦のなれそめかもしれません。恋愛って色々なんだろうなぁ。
おひょおぉ…😍
えらくリアルでいいですねぇ!幼稚園の頃の結婚の約束を叶えるというのはどちらかというとファンタジーの域だと思いますが、それをこんなにリアルに描けるとは…
ラストのどストレートな畳み掛けも、殺傷能力高いですね!👍