伯太教頭の証言(脚本)
〇校長室
伯太教頭の証言
伯太教頭「初めまして、伯太教頭です」
伯太教頭「もうすぐ校長に繰り上がる予定なので、伯太校長と呼んでいただいてもいいですよ?」
アイス警部「では、伯太教頭殿。 死体発見までの流れを改めて説明願いますかな?」
伯太教頭「まず心愛校長を最後に見たのは、昨日の夕方18時頃です」
伯太教頭「校長が帰宅する時、職員室にいました。 その時は生きていやがりました」
エミー刑事「嵐が吹いてきたのは、深夜頃でしたかな?」
伯太教頭「ええ、そうですね。 停電も深夜に起こりました」
伯太教頭「この島の送電設備は老朽化が進んでいるようで、嵐が来るとすぐ停電しちゃうんですよね」
伯太教頭「しかも整備している技師がヨボヨボの爺さん1人なので、復旧に時間がかかります」
伯太教頭「話がそれました」
伯太教頭「今日の朝、6時頃ですね。 私は誰よりも早く学校に来ました」
〇散らかった職員室
大和「随分仕事熱心だな。 何か仕事でもあったのか?」
伯太教頭「よし、できた!」
伯太教頭「仕上げておきたい計画書があったので、その作業を職員室で」
〇散らかった職員室
伯太教頭「午前7時頃になると、他の教員たちも出勤してきました」
伯太教頭「8時から授業が始まります。 授業のある教員は職員室から出ていきます」
〇校長室
伯太教頭「私は作成した計画書に不備がないか確認したくて、校長室へ向かいました。 8時頃のことです」
伯太教頭「しかしノックしても呼びかけても、返事がありません。 とっくに出勤しているはずですが」
伯太教頭「扉には鍵がかかっていました。 死ねって思いました」
伯太教頭「気になったので外に出て回り、窓から中を覗いてみました」
伯太教頭「そしたら・・・」
〇木調
外の窓付近
伯太教頭「校長!心愛校長! 決行前にちょっと校長室を下見にきたのですが〜!」
伯太教頭「決行後に使ったコーヒードリッパーを上手く回収できるか不安になったので〜!」
伯太教頭「うーーん・・・、カーテンかかってますね。 あ、でも隙間から中が見える・・・・・・」
伯太教頭「心愛校長〜、まだ来てないんですか〜?」
伯太教頭「・・・・・・え」
伯太教頭「あわわわわわわわわわわ! ししししししし死んでるううううううう!?」
伯太教頭「まさかこの学園に殺人鬼が!? 怖わわわわわわわわわわわわ!!」
伯太教頭「誰か──!! 誰か助けて〜〜〜〜!!」
伯太教頭「それからの私の判断は迅速かつ的確でした。 まさに次期校長に相応しい品格です」
伯太教頭「停電中で電話が使えないため、交番まで他の教員を寄越して通報させました」
真央「教頭が直接行かなかったの?」
伯太教頭「学生たちはもう来ていましたからね。 うっかりこの窓を覗いてしまうかもしれません。 そしたらトラウマ確定です」
伯太教頭「巡査たちが来るまで、壁側に構えて見張っていました」
アイス警部「巡査たちが死体を確認したのは、午前8時半頃と聞いていますぞ」
伯太教頭「あの巡査たちにとって、殺人事件は非日常的だったみたいですね」
伯太教頭「死体の前で、パリピーのようにテンションが上がっていました」
伯太教頭「終いには本土で何を食べたいか話し合っていました。 倫理観を疑いたくなります」
〇校長室
エミー刑事「巡査たちはテンションあげあげのまま、本土の妖精警察へ無線連絡」
エミー刑事「すぐに現場へ急行したかったのですが、簡単に船を出せない状態でしたな」
エミー刑事「学園島在住の船乗りと交渉し、なんとか学園島まで送っていただけました」
アイス警部「現場に着いたのは、既に11時でした」
エミー刑事「巡査たちが着替えとかをトランクに入れて待ってましたな」
アイス警部「窓の面格子は、確かに取り外した形跡はありませんでした。 妖精警察以外は人払いさせ、面格子を取り外して室内に入りましたぞ」
エミー刑事「心愛校長は、残念ながら既に事切れてましたぞ・・・」
伯太教頭「心愛校長。 あなたの意志は、私が継ぎます・・・」
エミー刑事「心中お察ししますぞ」
アイス警部「扉は、確かに内側から鍵がかけられていました。 そして・・・・・・鍵はポケットの中にあったのですぞ!」
アイス警部「ひぃぃぃぃぃ!!(密室怖ぃぃぃぃ!!)」
大和「うおおおおおおお!!(テンション上がるゥ⤴︎)」
エミー刑事「私が二人をお迎えに学園島を出たのは、14時頃」
真央「で、私たちが到着した今は、15時か。 結構時間経っちゃったね」
エミー刑事「検死、上手くいくといいのですが・・・」
大和「現場は・・・聞いてた通りだな。 部屋のあそこに血の跡、そして血つきのトロフィーが転がっているぜ・・・」
真央「あの額縁にあるのが、偽物のブラックスネイクスか。 今回の動機の最有力候補・・・」
伯太教頭「動機? 私には殺す動機がないので、関係ないですね」
真央「この学園のことは、今朝ちょうどニュースでやってたね」
大和「俺も見てたぜ。 校長は、カードゲームでよく学生たちと遊んでいたってな」
伯太教頭「ええ」
伯太教頭「休み時間には学生たちがよく来てたみたいですね」
アイス警部「なら、ブラックスネイクスを見たことのある学生も多そうですな」
伯太教頭「授業は16時に終わるので、その後聞いてみたらいいですよ」
大和「学生は皆来てるのか? 今日休んでる奴とか怪しそうだぜ」
伯太教頭「今日は出席率100%と聞いています」
伯太教頭「教員が一人一人顔を見ながら出席を取るので、誤魔化しもできないです」
大和「ならアリバイは・・・いや。 殺したのが夜から朝にかけてなら、関係ないか」
真央「・・・ねぇ、大和。これってさ・・・・・・」
大和「いや、まだだ。 聞き込みを続ければ、犯人は絞り込めるはずだ・・・。 でなければ、密室とか以前の問題だぜ・・・」
エミー刑事「え?どういうことですかな?」
真央「容疑者が・・・多すぎる・・・!」
大和「深夜に決行された事件なら、アリバイの証明は困難を極める・・・!」
〇黒
島民2068人。
全員が容疑者になっちまうぜ!