ばらばら

sakamoto1751

ばらばら(脚本)

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〇渋谷駅前
  人
  香辛料
  旅行客 スズメ
  アーケード 温かい ぶつかりそうで怖い
  懐かしい 天気が良い 背が高い また来たい
  さっきと同じスズメ
  渋谷の交差点のうえを、一羽のスズメが、あまりにも複雑な動きで飛び回っている
  当然のように、私たちは渋谷を語ることのむずかしさに直面する
  別に語る必要なんてないんじゃないの?
  そうかもしれない
  でも、亡くなって30年が経つ祖母について
  写真や記録が残っていない彼女について
  語ることがどれだけ難しいとしても
  
  私たちは語らなければならないと思うだろう
  同じように
  真昼のスズメ
  その動きに翻弄されたとしても
  私たちは 
  渋谷について語りたいと感じるのだ
  いや、無理でしょ
  だって、ほら見てごらん
  人がたくさんいるでしょ
  しかも、みんなばらばらのことを考えてる
  ほら、ちょっと近づいて聞いてみなよ
男性「そういえば、中学の頃・・・ 中学2年生だったかな、いや中3? 渋谷でラーメン食べなかったっけ?」
女性「この辺の雰囲気いいなぁ ここでお店をもてたら お母さんも喜んでくれんじゃないかな」
女性「たぶんお父さんも」
男性「なんて名前のラーメン屋だったかな ・・・むしろチャーハンが美味しかったんだよな」
男性「そうそう、一緒に行ったのは飯田と太田 飯田と太田・・・飯田と太田、しばらくあってないな」
女性「お父さん 最近、あまり元気ないらしい」
女性「お父さんが元気なうちに ここに連れてきたいな」
学生「え、人多すぎない?」
学生②「ね こんなに人いたんだ、日本」
学生「どこからいきたい?」
学生②「いやー、夏だけどさ、帽子買いたいんだよねー」
学生「珍しっ」
女性「あれ、あの方、お笑い芸人だったかしら」
「!! あれ、撮影してるじゃん!!」
女性「サキちゃん、あの方(名前が思い出せないわ)の大ファンだったわね・・・」
女性「家に帰ったら、自慢しちゃおうかしら」
女性「あ、すみません!!」
男性「いえいえ、こちらこそすみません」
男性「大輝が喜ぶプレゼント・・・プレゼント・・・」
男性「まさか自分が、孫のプレゼントのために渋谷に来るとはな」
男性「30年前の自分が知ったら、驚くだろうな」
  ほら、語るなんて無理でしょ?
  人の考えも、関心も、目的もばらばらなんだよ
  ばらばら
  確かに、ばらばらだ
  ただ渋谷は確かに存在していて
  疑いようもなく、このばらばらによって
  渋谷はつくられている
  「人への贈り物」、「過去の思い出」、「未来への期待」・・・
  渋谷はこういったものをすべて受け入れる
  ばらばらのまま、受け入れる
  ばらばらのまま
  ばらばらのまま
男性「あのスズメ、変な動きしてるな~」
女性「あの鳥・・・ スズメ?ちがうかな」
女性「もうそんな季節なのね」
学生②「えー珍しっ」
男性「おお!! やたら綺麗な写真が撮れた!!」
  私たちは
  いや、私は
  どうしても
  渋谷について語りたいと思う
  それが現代の愛の条件だと私は思う

コメント

  • バラバラな考えだからこそ、人間はいいのかもしれません。
    目的も思考も、同一だったら、それこそつまらないですよね。
    その気持ちが揃った時に、初めて人間同士の支え合いを感じるのではないでしょうか。

  • 「ばらばら」大きな都市だからこそ、色々な人が集まって思いや感情が飛び交ってまとまらないですよね、でも人が人を思う気持ちは一つになると信じたい気持ちもあります。

  • 渋谷に集まる人々の、個々の感情が交差した興味深い作品でした。
    こんなばらばらの感情が、ひとつになっている印象を受けました。

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