Another Act1『一時のしあわせ』(脚本)
〇一軒家の玄関扉
──とある日の午前中。
レクトロの家の前で、一組の人間の男女が誰かを待っていた。
女性の名前は『ミルフェクター』、
男性の名前は『姫野晃大』だ。
二人は、チルクラシアの数少ない友人だ。必要最低限しか外に出ない彼女のために、1日連れ回すことにしたのだ。
Another Act1『一時のしあわせ』
ミルフェクター「今日はお出かけの日だけど・・・」
姫野晃大「来ないねぇ・・・ 既に10分待ってるんですけど・・・」
ミルフェクター「チャイム押してみよっか」
『ごめんねー!チルクラシアはまだ服装で悩んでいるよ!』
『もう少し待って欲しいな』
インターホン越しからのレクトロの声を聞いた晃大は首を傾げる。
姫野晃大「こんなに暑いのに、服装で悩むことなんて・・・・・・」
ミルフェクター「チルちゃんは身体の感覚が『分からない』のよ」
ミルフェクター「体温調節が上手く出来ないから、すぐにお腹を冷やして具合が悪くなるみたい」
姫野晃大「えええ・・・・・・ あまり外に出ないのってこれが理由?」
ミルフェクター「多分・・・」
ミルフェクター「だから、今日は外食と買い物に行こうと思って」
ミルフェクターは、外にほとんど出ないチルクラシアのために色々としたいと思っている。
それは彼女の本心だが、チルクラシアにそれは正しく伝わっているのか分かってはいない。
──おそらく、永遠に分からないだろう。
姫野晃大「・・・で、どうして俺も一緒なの?」
ミルフェクター「チルちゃんが次に友好的になるのは貴方よ。ただ、それだけ」
姫野晃大「友好的・・・ 動物と飼育員じゃないんだからさ・・・」
姫野晃大「他に何か言い方あるよね」
姫野晃大「ここまで来たから付き合うけどさ!」
姫野晃大は、チルクラシアとはたまに携帯越しで数時間話すだけの仲だ。
生身で会ったような記憶は今日で三度目。
二度目は3ヶ月前だが、チルクラシアは覚えているだろうか。
チルクラシア「・・・・・・・・・・・・」
チルクラシア「おはよう。 お待たせしました」
眠そうなチルクラシアは、目を半目開きにして出てきた。
”ドール”ではなく、『人間の女性』を想定した姿だ。
それでも、異様なほど白く細いが。
ミルフェクターと晃大は、チルクラシアが”ドール”であることは一切知らない。
・・・・・・・・・”まだ”知らないままでいい。
チルクラシア「1日遊ぶと聞いて、楽しみにしてた」
チルクラシア「支度は昨日のうちに済んでたの。 服装以外はバッチリだった」
ミルフェクター「そうなの! 楽しみにしていた、なんて嬉しいわ!」
ミルフェクター「行こうか!」
すっかりノリノリになったミルフェクターと口角を僅かに上げたチルクラシアは、家近くのショッピングモールへ向けて歩き出す。
二人の後ろを、晃大は無言で歩く。
姫野晃大(相変わらずのポーカーフェイスだな。 何も変わっていない)
チルクラシアが『何も変わっていない』ことに少しだけ安心しながら、数分後のことを思い浮かべた。
〇試着室
ショッピングモールに入ってすぐ、ミルフェクターはチルクラシアを服屋へ連れていった。
今は、晃大と一緒にチルクラシアの着替えを待っている。
チルクラシア「・・・・・・・・・」
とりあえず着てみることにしたチルクラシアだが、無表情のままだ。
チルクラシア「違う」
チルクラシア「変えるね」
解釈違いを起こしたチルクラシアは、すぐに別の服に着替えてしまうのだった。
姫野晃大「・・・意外と、好みがはっきりしているね」
ミルフェクター「うん。気に入らなそうだったけど、スカートも似合うと思うの」
チルクラシア「・・・・・・・・・」
次は着物を着たようだ。
さっきのゴスロリ衣装を着ている時よりも、ちょっとだけ表情が柔くなっている。
ミルフェクター「似合うじゃん! 着物の方がしっくりくるね!」
姫野晃大「俺もそう思う!」
チルクラシア「そう」
チルクラシア「買うわ」
姫野晃大「決めるのも早いね・・・」
ミルフェクター「今回は早いね・・・ 前回は1時間考え込んでいたのに」
姫野晃大「1時間・・・?」
〇ボウリング場
着物を一着買った後、ショッピングモール近くのボウリング場にいた。
晃大のリクエストで、ボウリングを1ゲームやることにしており、チルクラシアは二人のプレーを見ていた。
当然だが、チルクラシアはボウリングをやったことはない。
ルールすら知らない。
とりあえず自分の番が来たため、ボウリングボールを持って立っている。
チルクラシア「???」
チルクラシア「こうすれば、良いのかな・・・?」
チルクラシアは、ボウリングの玉をとりあえず、綺麗に並べられたピンめがけて両手で投げようとした。
ミルフェクター「ちょっとちょっと!」
姫野晃大「投げるつもりかい!?」
チルクラシア「球があるから、投げた方がいいんじゃないかって」
姫野晃大「そういう遊びじゃないから!」
〇ゲームセンター
チルクラシア「クレーンゲーム? やったことないなぁ」
チルクラシア「出来る気もしないけど」
ゲームセンターに入ったチルクラシアは、景品ではなくクレーンゲームそのものが気になっていた。
チルクラシア「・・・・・・・・・」
姫野晃大(クレーンゲームは知ってるんだ・・・ ボウリングは知らないのに)
クレーンゲームを凝視するチルクラシアを見た晃大とミルフェクターは、彼女のために、景品をとろうとする。
──が。
姫野晃大「あれ?何だか上手くいかないな」
どれだけ晃大がチャレンジしても、失敗に終わってしまう。
ミルフェクター「・・・・・・私、やってみようか?」
ミルフェクターが、晃大の代わりにやってみることになった。
姫野晃大「クレーンゲームらしからぬ音がしたような・・・」
姫野晃大「大丈夫かな・・・」
チルクラシア「・・・」
チルクラシアは無言で、
晃大はひやひやしながら、クレーンゲームをやるミルフェクターを見ていた。
ミルフェクター「お待たせ~! 一発でとれたよ」
姫野晃大「これ、最新のゲーム機じゃん!」
姫野晃大「よかったね!」
チルクラシアは無言のままゲーム機を見つめている。
チルクラシア「・・・ありがとう、ミルフェクター」
チルクラシア「とりあえず、遊んでみる」
控えめにお礼を言ったチルクラシアは、ゲーム機を家に転送した。
チルクラシア「・・・次は、どこ行く? ついていくよ」
姫野晃大「あれ?何か、思っているより喜んでない・・・?」
〇映画館の座席
チルクラシア「ZZZ」
姫野晃大「上映前に寝ないの!」
──その後も、三人は遊び続けて・・・
〇ファミリーレストランの店内
お腹が空いたミルフェクターが『一緒に食事を摂る』ことを提案したため、三人は近くのレストランにいた。
ミルフェクター「貴方、気前いいんだから全奢りね」
姫野晃大「ええぇ・・・! 勘弁してくれよぉ~」
姫野晃大「せめて、今回は割り勘で・・・・・・」
終日お出掛けにも関わらず、晃大はそこまでお金は持っていなかった。
チルクラシア「ねぇ」
晃大の懐が若干寒いことを察したチルクラシアが、彼に話しかける。
姫野晃大「おう、どうした?」
チルクラシア「貴方、お金がないんでしょ?」
姫野晃大「ストレートすぎない!?」
チルクラシア「足りなかったら、貸すから言って。 返すときは二倍にしてもらうけど」
姫野晃大「さらっと酷いこと言ってない!?」
ミルフェクター「気のせいでしょ」
チルクラシアは物欲が皆無のため、貯金額と財布に入っている金額は途方もないことになっていた。
人にはとても言えないほど巨額のため、レクトロから『誰にも言わないで』としっかり言いつけられたのだ。
チルクラシア「・・・・・・・・・」
多少の会話はするチルクラシアだが、無表情でメニューブックを睨むように凝視していた。
姫野晃大「あのー?顔がすっごい怖いんですけど・・・」
姫野晃大「ファミレスに何か恨みでもあるの・・・?」
ミルフェクター「恨みというより・・・ ただ緊張してるだけかもね・・・」
姫野晃大「緊張って・・・」
チルクラシアは、これまでの人生で一度も外食したことが無い。
自分が何をすれば良いのか分からず、とりあえずメニューブックを見つめていたのだ。
ミルフェクター「チルちゃん!何か食べたいものは決まったかな?」
中学からチルクラシアとほぼ一緒にいるミルフェクターは、『彼女が何を考えているか』はある程度分かっていた。
能面のような顔をし続けているチルクラシアに、怖じ気づかずに話しかけにいっている。
姫野晃大「普通に話しかけてる・・・」
普通なら話しかけには行かないだろう。
チルクラシア「エビとカニ無しで、消化に良さそうな料理を探してて」
チルクラシア「主にカニを食べると具合が悪くなるの。 だから、避けてる」
姫野晃大「それは、甲殻類アレルギーでは・・・」
チルクラシア「アレルギー?」
チルクラシアは自分がアレルギー体質であることは知らなかった。
花粉症の時期は外出せず、日々の食事はレクトロが全て作っているからだ。
姫野晃大「『自分を知る』一環として、一回病院に行ってみたらどうかな?」
チルクラシア「病院は・・・1週間に一度は通っているからなぁ・・・ 分かった、検討してみる」
チルクラシアは、晃大の提案を前向きに検討することにした。
──通院や服薬にもう慣れている彼女からしたら、検査の追加くらいどうってことないのだ。
チルクラシア「貴方達は何を食べるつもりなの? とても、とても気になるな」
チルクラシアは、友人が何を食べるのかがすごく気になっていた。
おすそ分けが欲しいのではなく、ただ見たいだけだが。
羨ましいのではなく、ただただ興味があるだけだ。
姫野晃大「俺はステーキにした。 焼きはミディアムだ」
チルクラシア「・・・ちゃんと焼いた方がいいんじゃない?」
チルクラシア「お腹壊すよ? 一応、『生焼け』なんだよね?」
姫野晃大「『生焼け』なんてそんな・・・ こういう調理法だから!お腹は壊さないよ、多分!」
チルクラシア「・・・・・・・・・・・・」
晃大の言葉を信じられないチルクラシアは、彼をジト目かつ無言で見つめる。
姫野晃大「そんな目で見ないでよ! いつか、君も食べれるようになるから!」
チルクラシア「そっか」
チルクラシア「ミルは?何を食べるの?」
チルクラシアは、話相手をミルフェクターに変えた。
晃大の頼む予定のステーキにはあまり興味を示さなかった。
ミルフェクター「私かー・・・そうだね、」
ミルフェクター「ピザにしようと思ってるわ。 この緑色のソースがかかったものよ」
ジェノベーゼソースがたくさんかかったピザだ。
チルクラシアはメニューブックと注文に使うタブレット端末を交互に見る。
チルクラシア(ピザか・・・ これはもう少し時間が経ったら食べられそうだ)
チルクラシア「注文、確定させちゃうね」
注文を確定させたチルクラシアは、タブレット端末を元あった場所へ片付けるとバッグの中から白い小箱を出す。
姫野晃大「何出したの?」
チルクラシア「薬だよ。 飲み忘れたら、具合が悪くなるから」
チルクラシアは、箱を開ける。
6つに仕切られている箱には、錠剤が大量に入っていた。
チルクラシア「食後に3錠・・・一応、吐き気止めも飲んでおこう」
ミルフェクター「あれ?薬の量が増えた?」
チルクラシア「いいや?増減無しだよ」
ミルフェクター「そっか・・・増えていないならいいけど」
姫野晃大(安心するのはそこじゃないって!)
姫野晃大(薬が多いなぁ・・・ 1日に何錠飲んでいるんだか)
姫野晃大(最低でも、1日に9錠飲むことになるじゃん!外食って、実はよくないんじゃ・・・・・・)
チルクラシアが1日に飲む薬の量に軽くパニックになっている晃大は、ミルフェクターを止めなかったことを後悔した。
チルクラシア「二日前は大変だったけど、何とか食べれそうになって良かったよ」
ミルフェクター「いつかいっぱい食べれるようになれたらいいね!」
チルクラシア「うん」
姫野晃大(何だ・・・具合はよくなりつつあるんだ・・・ これで、安心してステーキが食べられるよ)
チルクラシアとミルフェクターの会話を聞いた晃大は、安心してステーキが来るのを待つ。
ミルフェクターと晃大が、内心ウキウキしながら料理が来るのを待っている中、チルクラシアは店内をキョロキョロしていた。
〇ファミリーレストランの店内
──チルクラシアが頼んだ料理はトマトチーズパスタだ。
姫野晃大「・・・足りないよね」
姫野晃大「俺のステーキを少し分けようか?」
チルクラシア「生焼けは結構です」
姫野晃大「そういう調理法だって・・・ 生焼けじゃないからね!ちゃんと火は通っているから」
チルクラシア「・・・・・・本当?」
人を信用しない目で晃大を見つめるチルクラシア。
そんな彼女の目が少し怖い晃大。
そんな彼に、ミルフェクターは助け船を出した。
ミルフェクター「大丈夫よ。 ミディアムでもお腹は壊さないから」
ミルフェクター「姫野君も、チルクラシアは何か頼んでいたわ。だから、そんなに気にしなくていいよ」
姫野晃大「いつの間に追加の注文して・・・」
晃大とミルフェクターがチルクラシアの
ステーキの焼き方に関する疑問に答えようとしたその時──
『お待たせしました』
『リンゴ1つです』
姫野晃大「──は?」
テーブルの真ん中に置かれたリンゴ1つに、晃大は困惑と唖然の表情を浮かべる。
リンゴ1つを注文出来ることよりも、チルクラシアがこれを頼んだことに驚いたのだ。
姫野晃大「絶対足りないでしょ! 夜遅くに確実にお腹空くって!」
チルクラシア「夜・・・いや、どれだけお腹が空いても、夜10時以降は絶対に食べないようにしているの」
姫野晃大「・・・なんで? 食べた方がいいと思うけど・・・」
晃大の言う通り、深夜に空腹になったら低カロリーな間食をとるのがいい。
だが、チルクラシアは違った。
チルクラシア「翌朝、高確率で地獄を見るから。 数日間の断食に比べたら、深夜の空腹なんて大したことじゃない」
姫野晃大「断食って・・・・・・」
チルクラシア「うん。調子に乗ると三日間くらい水しか飲めなくなるの」
姫野晃大「水だけ・・・」
晃大は、自分が腹痛のあまり水しか飲めない生活を想像する。
好きなものを食べられない、という苦痛に、チルクラシアは常に苛まれているのだと思い、これ以上は話さないようにする。
チルクラシア「だから、食事には気を付けているつもりだよ」
チルクラシア「それでも、『料理』に興味関心はあるから」
チルクラシアはリンゴに手を伸ばす。
備え付けの小さなナイフで切り分けるのかと思ったら、そのまま口元へリンゴを持っていく。
姫野晃大「丸かじり・・・」
ミルフェクター「ワイルドだね!」
姫野晃大(思っているのと違う・・・・・・・・・)
無言でリンゴを丸かじりするチルクラシアと、穏やかなムードを出すミルフェクター。
晃大は、もうどこからツッコミをしていけばいいか分からず、考えるのを諦めた。
〇通学路
チルクラシア「今日は楽しかった。 お疲れ様」
ミルフェクター「楽しんでくれたようで何よりだわ!」
姫野晃大「何だかんだ楽しんでいたんだね」
姫野晃大(表情と声がほぼ変わらなくて、ちょっと怖かったけど)
顔にも声にも出ないが本当に楽しかったチルクラシアは、また三人でお出掛けに行く約束をした。
チルクラシアの携帯が鳴る。
フリートウェイから電話がかかっていた。
『チルクラシア?
今どこにいるんだ?』
『オレは異形倒しから帰ってきた所だ。
なるべく早めに帰ってきてくれよ』
『それじゃ、またね』
電話相手が誰か気になった晃大は、チルクラシアに聞く。
姫野晃大「お兄さんがいるのかい?」
姫野晃大(やけに声が高かったような気がしたけど・・・)
チルクラシア「いいや、私は一人っ子」
チルクラシア「電話の相手は、私の大事な人。 多分、近いうちに会えると思う」
チルクラシアは、ミルフェクターと晃大がフリートウェイにすぐ会えるかもしれないと思っていた。
チルクラシア「四人でどこか行けるのもすぐかも?」
チルクラシアは、体調さえ良ければ何だって出来るのだ。
チルクラシア「また、誘ってね」
あくびをしたチルクラシアは、右目を擦った。
外で寝るわけには絶対にいかない。
絶対にだ。
ミルフェクター「勿論よ!また遊びにいきましょ!」
姫野晃大「体調を整えてまた会おう」
〇簡素な一人部屋
──フリートウェイの部屋
チルクラシアは、今日あったことをフリートウェイに全て話していた。
チルクラシアドール「キュ、キュルル・・・(『それで、それでね・・・』)」
チルクラシアドール「んーなな、んなな(『外食』?っていうものに行ってきたの。 普段なら絶対食べないものがいっぱい出てきたよ』)」
フリートウェイ「外食してたから帰ってくるのが遅かったのか・・・」
フリートウェイ「チルクラシアは何を食べたんだ?」
チルクラシアドール(・・・・・・えっと、食べたのは)
チルクラシアドール「ギュッ、クルルル!(『麺!赤色の麺を食べたの!』)」
フリートウェイ「・・・赤色の麺?」
まさか料理名でなく料理の材料を出されるとは思わなかったフリートウェイは、本気で困惑してしまう。
フリートウェイ(トマトパスタか? それとも、ラーメンか・・・?)
フリートウェイ(激辛は・・・食べるわけ無いしなぁ・・・ 多分、トマトパスタだろ)
フリートウェイ「・・・トマトパスタを食べたのか?」
チルクラシアドール「んにゃー!(うん!よく当てたねー!)」
フリートウェイ(・・・よく一発で当てれたな、オレ)
フリートウェイ「まさか材料を言ってくるとは思わなかった・・・そんなに具合が悪くなるのが怖いか?」
フリートウェイ「そんなに心配しなくても、どうにかなるぜ?」
フリートウェイ「もう少し気楽に考えてもいいと思うが」
チルクラシアドール「・・・・・・・・・」
チルクラシアドール(気楽・・・)
フリートウェイの言う通り、チルクラシアはもう少しだけ気ままに過ごしてみようと考えた。
フリートウェイ「思い詰めなくていい。 チルクラシアの好きなようにやっていいんだよ」
フリートウェイ「オレが必ず一番近くにいるから」
チルクラシアドール「・・・分かった」
実はフリートウェイは、チルクラシアが1日何をしていたのかこっそり探っていたのだが、誰にもバレていない。
フリートウェイ「疲れただろ、寝た方がいいぜ」
チルクラシアドール「うん。そうする」
チルクラシアが久しぶりの外出に相当心身に負担をかけていることを察したフリートウェイは、彼女に寝ることを勧める。
チルクラシアドール「おやすみ!」
フリートウェイ「おやすみなさい」
フリートウェイ「・・・」
フリートウェイ「・・・・・・・・・」
一人になったフリートウェイは、ベッドに座る。
フリートウェイ「誰にも気づかれなくてよかった」
フリートウェイ「チルクラシアから抜き出せたモノ、使わせてもらうぜ」
フリートウェイの右手には、小さな瓶がある。
その中身は真っ黒い液体で満たされていた。
姫野くんが姫野くんで安心したよ。
フリートウェイが何をしようとしてるのか気になるなあ。