愛と憎の花

TARO YAMADA

第一話(脚本)

愛と憎の花

TARO YAMADA

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〇和室
古中 夏輝「だから、そのうち連れて来るってば」
古中 秋子「また適当に返事してからに! いい加減結婚しな!」
古中 夏輝「はあ・・・・・・。 相手はいるし、そのうち結婚もちゃんとするから!」
古中 秋子「そう言って、何年経つんだい」
古中 夏輝「今度こそは大丈夫だって」
古中 春雄「まあまあ、母さん。 それくらいにしてやろうじゃないか」
古中 秋子「お父さんが甘いから、 夏輝がろくでなしに育つんです!」
古中 夏輝「ろくでなしは言い過ぎだろ?」
古中 春雄「まあ、たしかにわしに似ておるからなあ」
古中 夏輝「親父はどっちの味方なんだよ・・・・・・」
古中 夏輝「とにかく! 今度ちゃんと連れてくるから!」
  俺はそれだけ言い残して、実家をあとにした

〇街中の道路
  最近実家に帰るとこれだから困る
古中 夏輝「別に嘘はついてないんだけどな・・・」
「お待たせ!」
  お、きたきた!
青井 涼菜「待った?」

〇黒背景
  この子が
  青井 涼菜
  俺の彼女でもあり、
  結婚したいと思ってる相手
  したいと思ってるだけで、まだプロポーズをしたわけでも、一緒に住んでるわけでもない
  でも、俺が大好きな人

〇街中の道路
古中 夏輝「全然! 今、用事が済んで実家から戻ってきたところだから」
青井 涼菜「よかった! ねえ、近くのカフェ行きたい」
古中 夏輝「うん、行こう!」

〇カフェのレジ
古中 夏輝「アイスコーヒーひとつください」
青井 涼菜「えっと・・・」
青井 涼菜「キャラメルマキアートと、 紅茶のシフォンケーキとストロベリーレアチーズケーキとチョコレートマカロンを三つください」
古中 夏輝「そんなに食べるの・・・?」
青井 涼菜「うん! 人間、いつ死んじゃうかわかんないからね。 好きなことして生きてないと」
古中 夏輝「それは、確かにそうだけど」
「お会計、3500円でーす」
古中 夏輝「・・・はい」

〇テーブル席
  涼菜の前には、見るだけで歯が痛くなりそうなスイーツたちが並ぶ
青井 涼菜「どれもおいしい!」
古中 夏輝「それはよかった」
古中 夏輝「あ、そうだ。 今度、一緒に住む家を二人で見に行かない?」
青井 涼菜「あー・・・うん」
青井 涼菜「そうだね。 今度ね」
古中 夏輝「よかった! なんか、涼菜みたいなかわいい子が、俺と付き合ってくれてることが嘘みたいでさ・・・」
青井 涼菜「そんなことないよ! 私も楽しいよ」

〇駅の出入口
古中 夏輝「じゃ、またね」
青井 涼菜「うん! いつもありがとう」
  涼菜は、隣の市に住んでいる
  といっても、電車で一駅なのだけど

〇黒
  ─翌朝─

〇散らかった部屋
古中 夏輝「さて、仕事に行くか」

〇オフィスビル前の道
  俺の職場はここの三階

〇オフィスのフロア
「古中さん、おはようございます」
古中 夏輝「おはようございます」
「古中さん、今日締め切りの資料できあがってますか?」
古中 夏輝「あー・・・ごめんなさい。 午前中には提出するようにしますね」
  こんな感じで、忙しい日々を送っている

〇個別オフィス
古中 夏輝「船橋、入るぞー」
船橋 律「会社では、専務か副社長と呼べ。 あと、スーツを着崩すな。 あとそれから、中に入ってから入るぞと言っても遅いんだ」

〇黒
  この男は、
  船橋 律
  俺が働く会社の副社長であり、
  社長の息子であり、
  なにより、俺の昔からの友人でもある。
  昔は、俺と船橋と、あと二人の仲間でバンドを組んで活動していた。

〇個別オフィス
古中 夏輝「別にいいじゃん、ツレなんだしさ」
船橋 律「それは、会社外での話だ。 ここではしっかり秩序を守れ」
船橋 律「他の社員に示しがつかないんだ」
古中 夏輝「わかったよ 明日から気を付けるから」
船橋 律「で、なにか用があったんじゃないのか?」
古中 夏輝「あ!そうだった」
古中 夏輝「近々、飲みに行かない? 相談も色々あるし・・・」
船橋 律「お前なあ・・・。 会社の融資も受けて、俺からも金借りてること忘れるなよー?」
古中 夏輝「忘れねえよ。 ちょっと、今回は・・・・・・本気の相談でさ」
船橋 律「本気の相談・・・・・・ねえ。 わかったよ 今日、仕事終わったら行こう」

〇黒
  ─数日後─

〇居酒屋の座敷席
古中 夏輝「お!こっちこっち」
  俺は後日、涼菜と、
  船橋夫妻を呼び出した。
古中 夏輝「ごめん、急に呼び出して」
青井 涼菜「全然、大丈夫だよ」
船橋 律「俺たちは大丈夫じゃねーぞ」
船橋 美咲「こらこら、困らせること言わないの。 久しぶりね、古中くん」
古中 夏輝「美咲さん。お久しぶりです」
船橋 美咲「彼女さんは、初めましてだったかしらね?」
青井 涼菜「はい! 青井 涼菜です。 よろしくお願いします」
船橋 美咲「私は、船橋美咲。 律の・・・このライオン頭の妻です。 よろしくね」
船橋 律「だーれが、ライオン頭じゃコラ!」
船橋 律「まあ、とにかく今日は楽しく飲もうぜ」
船橋 美咲「それではみなさん? 飲み物は行き渡りましたか?」
  では・・・みんなで!
「乾杯!」
船橋 美咲「乾杯」
  俺たちは各々好きなものを食べて、
  好きなものを食べて瞬く間に時間は過ぎていく。
船橋 律「古中、 お前、涼菜ちゃんに渡すものがあるんだろ?」
古中 夏輝「え、あー・・・」
古中 夏輝「うん・・・」
青井 涼菜「え、なになに?」
  俺は、ポケットに入れていた四角い箱を取り出し、開いた
古中 夏輝「俺と・・・結婚してください」
青井 涼菜「え、ちょっと・・・え??」
青井 涼菜「そうゆうのは、おしゃれで夜景が見えるレストランとか、そうゆうところでするんだよ?」
船橋 律「こいつが、酒が入らないと何もできねえとか言い出すから、 じゃあ、俺が一肌脱いでやろうと思ってな」
古中 夏輝「それで・・・返事を、聞かせてもらえるかな?」
青井 涼菜「うーん ダメ・・・じゃないけど、少しだけ考えたいかな」
古中 夏輝「そっか・・・。 わかった! また聞かせてほしい」
船橋 律「公開プロポーズとは、熱いねえ」
船橋 美咲「茶化さないの。 あなただって、『本物のナース様に看病されたいです』とかよくわからないこと言ってたじゃないの」
船橋 律「ちょ・・・それは言うなって」
古中 夏輝「俺、もし涼菜と結婚できたら、 船橋と美咲さんみたいな夫婦になれるように頑張るよ」
船橋 律「おうよ! もうすぐベイビーちゃんも生まれるしな」
古中 夏輝「船橋が父親だなんてな 信じられないよ」
船橋 美咲「本当よね もうすでに子どもがいるようなものなんだもの・・・」
船橋 律「それ、どういう意味だよ」
「ハハハ・・・」
  ずっとこんな時間が続けばいい。
  そう思っていた

〇散らかった部屋
古中 夏輝「ってことでさ、 次の土日には、彼女連れてまたそっち行くから」
「それは楽しみだねぇ ちょうど今日はお父さんと出かける用事があるから、なにかおいしいお茶菓子でも用意しておくよ」
  そう話すお袋は、
  電話越しでもわかるくらいに、声を弾ませていた
  なんだかんだ、成長を喜んでくれているのかと思うと俺まで嬉しくなってくる。
古中 夏輝「あ!そうだ 俺も親父達になにか買って行かないとだよな」

〇スーパーの店内
古中 夏輝「お袋たち、なにが好きだっけ・・・? ちょっと電話してみるか」
  電話に、でない。
  珍しいな
  まあ、適当になんか買っておこう

〇ゆるやかな坂道
  色々買い物してたら、こんな時間になってしまった
古中 夏輝「結局、お袋から連絡来なかったな。 まあ、今日出かけるって言ってたし」
  久しぶりのデートで二人仲良く手繋いで歩いてたりしてな
  俺も涼菜とそうなりたい

〇安アパートの台所
古中 夏輝「さて、ご飯でも食べて・・・」
古中 夏輝「ん?」
  お袋か?親父か?
  ・・・いや、違う
  ”03-756-4000”
古中 夏輝「知らない番号・・・。 誰だ?」
古中 夏輝「もしもし・・・・・・?」
「こちら、 F県警の髙野。と申しますが」
古中 夏輝「警察・・・?」
「古中 夏輝さんの番号でお間違いないですか?」
古中 夏輝「はい・・・そうですが」
「古中 春雄さんと 古中 秋子さんは、ご両親でお間違いありませんか?」
古中 夏輝「そうですが・・・。 うちの両親がなにか・・・・・・??」
「実はご両親が─────────────」

〇黒
  何かが崩れ落ちた瞬間だった・・・

次のエピソード:第二話

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