Episode.3(脚本)
〇簡素な一人部屋
元子「ただいま〜」
T-01「・・・」
元子「なあT-01、僕は君と会話できたら どんな風になれてたかな?」
元子「人と話せない、ましてや人型ロボット とすら会話が成り立たなくて」
元子「一方的に僕がしゃべってるけど 話せるようになったら、君もきっと」
じっちゃん「元子、あの子はどしたんじゃ?」
元子「え?先に帰ったんじゃないの?」
じっちゃん「帰ってないぞ?」
じっちゃん「まさか置き去りにしてきたんか?」
元子「いや、その・・・」
じっちゃん「話はあとじゃ、早く連れて帰ってこんか」
元子「なんでそんなに焦ってるの?」
じっちゃん「雨が降ったら、あの子は 壊れてしまうんじゃよ!」
元子「・・・っ別に」
元子「もういいだろあのロボット・・・」
じっちゃん「え?」
元子「僕はまた、人と距離を起きたいよ」
元子「それに! なんで人型ロボット作ったんだよ!」
元子「僕が苦手なもののロボット作るなんて!」
じっちゃん「・・・わしは、」
じっちゃん「お前を甘やかせすぎた」
じっちゃん「嫌いなものは嫌いなままで良いと 遠ざけてしまったから、人嫌いが治らん」
じっちゃん「機械づくりでどうにか話し相手を 考えてきたわけじゃが、どれも失敗だった」
じっちゃん「そこで、女の子のロボットを作れば 思春期のお前にはいいと思ってな」
元子「・・・っ」
元子「そんなこと考えてたの?じっちゃん」
じっちゃん「わしはいつでも、可愛い孫のこと思っとる」
元子(そうか、機械のことだけじゃなく、 ちゃんと僕のこと考えて・・・)
元子(よし!)
元子「ごめん、ありがとじっちゃん」
元子「僕、あの子連れ戻してくる!」
元子「じっちゃんのために!」
じっちゃん「そうか!おし!気つけてな!」
元子「うん!」
〇郊外の道路
元子「やべえ天気、夕方に降るなんて」
元子「ロボット、どこに行ったんだろ?」
元子「あっ、あそこに座ってるのって」
〇公園の砂場
元子「おい?」
霊「はぁ・・・はぁ」
元子「返事して!」
霊は隣に座った元子にもたれかかった
元子「どうしたんだよ!」
元子(くっ、苦しそう?)
元子「とととりあえず、家に連れて帰ろ」
元子「うわっ、おっっっも・・・」
元子「機械の身体だから重いのか」
元子「よいっしょ」
霊「・・・っ」
〇黒
ありがとう、迎えに来てくれて──
〇簡素な一人部屋
霊「・・・」
霊「・・・っ、わたし、どうしたんだ?」
T-01「・・・」
霊「あ、あんたこの部屋にいるロボか?」
じっちゃん「おっ!よかった目覚めて」
霊「じいちゃん、あいつは?」
じっちゃん「なあに、お前さんを探しに行って 帰ってきたらずぶ濡れでな」
じっちゃん「ひとっ風呂浴びてるとこだ」
霊「そうか」
じっちゃん「しっかし、あんなに強気な面見たの はじめてかもしれん」
霊「あいつがか?」
じっちゃん「ああ、お前さんを背負って傘を差して、 何とかしてほしいってな」
じっちゃん「機械だと言って物としか思ってなかった 元子が、人のために強気になっとって」
じっちゃん「最初にお前さんの性格を選んだ時も、 自然体な感じがするからと言っとった」
じっちゃん「元子はわしの孫じゃ、 優しい子で間違いない」
霊「ふーん・・・」
〇白いバスルーム
元子「いった、筋肉痛になったか・・・」
「いるか?」
元子「ひゃあっ!」
元子(女子の声、あのロボットか?)
元子「な、なななに?」
〇白
霊「べつに・・・大したことは・・・」
霊「そのっ、」
霊「わたしを探し回ってたって、聞いて」
霊「だから、そのっ」
〇白いバスルーム
元子「え?なに?」
元子は、声が小さくなっていく霊の声に
耳を傾けようと、扉の前に近づいた
〇白
霊「あ、りがと・・・」
〇白いバスルーム
元子「えっ」
〇黒
〇白いバスルーム
元子「な、なんなんだよ、なんか、僕、」
「元子?」
元子「ひぇ?いや、ちょ! 出るから向こう行ってくれよ!」
「わかったよ」
元子(いや、はじめて名前呼ぶの・・・)
元子(いまはやめてほしかった///)
元子(なんだこの胸騒ぎ・・・!)
風呂上がりに名前を呼ばれたら、元子君だけでなく世の男はのぼせますね。😊
一先ず仲直り。問題はクラスメイトですな。