Vampire Hunters

久郷美弥子

異世界で新生活!(脚本)

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久郷美弥子

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〇貴族の応接間
  謎の現象によって異世界に来て
  困っていた私は、
  ヴァンパイアに狙われるという
  さらなる苦難を
  背負うことになった。
  そんな私を助けてくれたのが
  【アロウ】のリーダーである
  ラハオルトさん。
  彼のおかげで私は【アロウ】の
  屋敷で使用人として住み込みで
  働くことになった。
ラハオルト「今日はこの屋敷を案内してもらうといい」
ラハオルト「――ウェルトナ」
ウェルトナ「はい」
  ラハオルトさんの隣に立つのは
  水色の長い髪をした男性。
  初めて会う人だけれど、
  ラハオルトさん達と同じ服を
  着ていることから彼らの仲間だと分かる。
ウェルトナ「ウェルトナといいます。 よろしくお願いしますね、理華さん」
理華「こちらこそよろしくお願いします」
  優しそうな見た目と同じく、
  しゃべり方も柔らかい。
ラハオルト「ウェルトナなら安心して任せることが できる。綾川をよろしくな」
ウェルトナ「そんなに期待されているのなら 応えないわけにはいきませんね」
ウェルトナ「では理華さん、行きましょうか」
  ウェルトナさんに促されて、
  私は応接室を出た。

〇洋館の廊下
ウェルトナ「理華さんは現在、 客室に泊っているんでしょうか?」
理華「いえ、メイド部屋を使用しています」
  私が手伝いを申し出たこともあり、
  ラハオルトさんは私を
  メイドとして雇うという形で
  ここに住まわせることにした。
  住むところだけでなく、
  メイド服ではあるが衣服まで
  用意してもらえてとてもありがたい。
  行く当てのない私にとって破格の
  対応だった。
ウェルトナ「ということは2階はもう行ったことが あるんですね」
理華「はい」
理華「というか1階と2階しか行ったことが ないというか・・・」
  応接室は1階にあるし、メイド部屋は
  2階に用意されていて、それよりも
  上の階には行ったことがなかった。
ウェルトナ「分かりました。 それを聞いて最初に案内する場所が 決まりました」
理華「・・・?」
  私の話を聞いていったい何を
  考えたのだろう?
  1階と2階は行ったことがあると
  伝えただけで何か方針が決まるとは
  思えなくて、私はウェルトナさんの
  次の言葉を待った。
ウェルトナ「――最初は僕の部屋に行きましょう」

  そうして促されて着いたのは
  ウェルトナさんの部屋だった――。
  というようなことはなく・・・

〇洋館の廊下
ウェルトナ「ここ5階は、僕たちハンターの部屋が あります」
  ウェルトナさんの案内で、ハンターたちの
  部屋が並ぶ5階へとやって来た。
  そのまま廊下の奥へと歩みを進める。
ウェルトナ「この部屋が僕の部屋です」
  5階の一番奥の部屋。
  ウェルトナさんがそこを手で示す
ウェルトナ「僕に用事がある場合はここに 来てください」
ウェルトナ「とは言ってもいつもいるとは限りませんが」
理華「けっこう出かけることが多いんですか?」
ウェルトナ「そうですね」
ウェルトナ「昼夜問わず街にヴァンパイアがいないかを 見に行ったり」
ウェルトナ「あとは泊まりがけで遠出をすることも あるので」
ウェルトナ「部屋にいることはあまりないかも しれません」
理華「そうなんですか。 ヴァンパイアハンターって忙しいんですね」
ウェルトナ「・・・そうですね。 忙しくない方がいいのですが」
理華「あ・・・」
  ヴァンパイアハンターは、人間を襲う
  ヴァンパイアと戦う仕事だ。
  それが忙しいということは、
  襲われる人がいるということになる。
  それに必ずしもハンター側が無傷で
  勝利を収めるわけでもない。
ウェルトナ「すみません、理華さんを困らせる つもりはなかったんです」
ウェルトナ「ああ、そうだ。 理華さんにお聞きしたいことが あったんです」
  暗くなってしまった雰囲気を
  払拭しようとしたのだと思う。
  ウェルトナさんは強引に話を変えた。
ウェルトナ「理華さんは【聖女】だと伺ってます。 【聖女】だと分かっているということは、 吸血されたことがあるということですよね」
理華「はい。 ヴァンパイアに吸血されて連れ去られ そうになったところを、ラハオルトさんに 助けられたんです」

〇ヨーロッパの街並み
???「【聖血】か・・・珍しい」
???「普段人間を持ち帰ることはないが、 これは持ち帰るに値する」
???「今日からおまえは俺のものだ」

〇洋館の廊下
理華「・・・・・・」
  最終的には無事だったのに、
  思い出すと恐怖も蘇ってくる。
ウェルトナ「・・・理華さん?」
理華「あ・・・」
理華「いえ、なんでもありません」
ウェルトナ「? そうですか?」
理華「はい。ぼーっとしててすみません」
理華「それで、ウェルトナさんが 聞きたかったことってなんでしょうか?」
  ウェルトナさんは視線を下げて、
  少しだけ表情を険しくした。
ウェルトナ「ヴァンパイアが連れ去ろうとしたかを 聞きたかったのですが・・・ やはり連れ去ろうとしたんですね」
  私は【聖女】だからヴァンパイアに
  狙われているというのは、皆さんの話を
  聞いて理解している。
  けれど【聖女】といったものが
  どういうものなのかについては
  全然知らない。
  自分に関わることでもあるので、
  思い切ってウェルトナさんに聞いて
  みることにした。
理華「あの・・・【聖血】とか【聖女】とかって なんなんですか?」
理華「ヴァンパイアが連れ去ろうとするほどの ものなんですか?」
ウェルトナ「ラハオルトさんから聞いてないのですか?」
理華「はい・・・」
  ラハオルトさんは私の部屋や服の手配で
  忙しくしていて、とても聞けるような
  状態じゃなかった。
ウェルトナ「そうだったんですか」
ウェルトナ「【聖血】を持った人間・・・男性を 【聖人】、女性を【聖女】と呼びます」
ウェルトナ「【聖血】はヴァンパイアにとって極上の 血であり、一般人のそれとはまったく 別のものです」
ウェルトナ「ヴァンパイアは【聖血】持ちを 捕まえた後、生かさず殺さず、その命が 尽きるまで餌として血を啜り続けるのです」
理華「・・・っ!」

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