エピソード1(脚本)
〇レトロ喫茶
私は〇〇。
雨が止まない不思議なこの場所でカフェを営んでいる者よ。
私「うん、とっても良い香り」
あら、お客さんが来たみたい
私「こんにちは」
萌「こんちゃー」
私「お名前を聞いても?」
萌「あたし?」
萌「あたし、萌 よろしく」
私「ええ、よろしくね 萌ちゃん」
私「さ、お好きな席に着いて」
萌「あざーす」
私「さあ、じゃあお話しましょ」
萌「え、どうして?」
私「このお店ではね、お客さんとお話ししてそのお客さんに合ったコーヒーを出すの」
萌「へー」
私「それに、萌ちゃんも私にお話ししたいことあるんじゃない?」
萌「え」
私「何でも良いわ、萌ちゃんが話したいことを話してくれれば良いのよ」
萌「・・・」
萌「おねーさんから見て、私ってどう見える?」
私「そうね・・・」
私「虚像かしら」
萌「・・・」
萌「・・・」
萌「私・・・」
萌「本当は、金髪とか嫌なんだ」
私「うん」
萌「スカートも膝辺りの方が可愛いと思う」
私「うん」
萌「こんな喋り方も・・・本当は嫌なんです」
萌「なんか、人を馬鹿にしてるような喋り方」
私「うん」
萌「私、コミュニケーションの一環で人をいじることがあるんです」
萌「でも、いじめとの境が分からなくて・・・」
萌「いつも人を傷つけちゃう・・・」
私「うん」
萌「でも、やらないとひとりぼっちになっちゃうんです!」
萌「皆んなと合わせて、皆んなに求められてることをやらないと!!」
萌「皆んな私を置いて行っちゃうんです!!」
萌「どうしろって言うんですか!!」
私「うん」
萌「もう・・・私・・・分かんないんです・・・」
私「そっか、それは大変だったね」
▷ 抱きしめる
萌「!!」
私「私からはこうしてあげることしかできないの」
私「ごめんね」
私「萌ちゃんのその辛い環境を変えてあげることはできない」
私「だからって、萌ちゃんにあなたらしく生きてとも言えないわ」
私「だって、その言葉は逆に萌ちゃんを苦しめてしまうから」
萌「!!」
私「そうね、私から1つだけアドバイスをするなら」
私「プライベートな時は”皆んなが求める萌ちゃん”じゃなくて良いんじゃない?」
萌「!!」
私「例えば学校が無い休みの日、ウィッグなんか被って」
私「自分が好きな化粧をして、自分が好きな服を着る」
私「そして、クラスの子と会わないような所へ遊びに行く」
私「そして、自分らしい1日を過ごす」
私「そうしたら、ちょっとはストレス発散できるんじゃない?」
萌「うん」
私「で、もしそれでもダメだったら」
私「またここにおいで」
私「私とまたお話ししましょ」
萌「うん!」
私「じゃあ、そんな萌ちゃんにはこれ」
萌「これは?」
私「ブラックコーヒーよ」
萌「え、私ブラックコーヒーとか苦すぎて飲めないんですけど」
私「ええ、確かにブラックコーヒーは苦いから大半の人に嫌われがちよ」
私「だからシロップやミルクでそれを隠すの」
私「こうやって」
萌「あ、これなら飲めそう」
私「でも、だからってやりすぎはダメよ」
私「それはそれで嫌われちゃうから」
萌「!!」
私「でも、他の人に出さない時は」
私「自分好みのシロップや」
私「ミルクを入れるのもあり」
私「ふふ、美味しそう」
萌「ありがとね、お姉さん」
私「私はただコーヒーについて話しただけよ」
萌「なんか頑張れそうな気がしてきた」
萌「私ちょっと行ってくる」
私「ええ、気をつけてね」
萌「ばいばい!」
私「ええ、また来てね」
さて、今日はもう閉めようかな
私「あら?」
〇草原の一軒家
私「こんな所に立ってたら風邪を引いてしまうわよ」
???「良いの」
私「・・・」
???「ねえ、お姉さん」
???「大丈夫?」
▷ まだ大丈夫
もう無理かも
私「大丈夫よ」
???「そう」
???「じゃあね」
私「・・・」