第7話(脚本)
〇ピラミッド
フィン砂漠
ブラック「噂には聞いていたが、この地域はかなり暑いな・・・」
クイム「そうか? これぐれぇ昼間なら当たり前だぞ?」
ブラック「随分慣れているんだな。 お前が住んでいる町もこんな感じなのか?」
クイム「いやぁ、ヒデェのなんのって・・・。 砂嵐とか割と起こるし、魔物もゴロゴロいるしよぉ・・・」
ブラック「なるほど、それは過酷だな。 かつて俺が住んでいた場所とは全然違う」
クイム「あ、それで前々から聞きたかったんだけどよ・・・お前の故郷って何処だ?」
ブラック「俺の故郷、か・・・。 少し長くなるが聞いてくれるか?」
クイム「おぅ、話してくれよ」
ブラック「実を言うと、元々俺はこの世界の者では無く・・・転生者なんだ」
〇屋敷の寝室
──かつて俺はレイという名だった。
元いた世界ではごく普通の人間の青年として生きていた
レイ「ふむふむ、ニホニウムは亜鉛とビスマスの原子核を融合させる事で──」
シロウ「ピピピピピッ♪」
レイ「どうしたシロウ、そんなに擦り寄ってきて」
レイ「ふふふ、お前は本当に可愛い奴だ」
???「・・・兄さん!」
アオイ「えへへ、おはよう。 今日もお庭で遊ぼうよ」
レイ「あぁ分かった。 アオイ、怪我しないように気をつけるんだぞ?」
かつての世界では、身体が弱い弟と保護した鳥と共に暮らしていた
庶民的な暮らしではあったが、それでも俺達は幸せな時間を過ごす事が出来た
そう、あの出来事があるまでは・・・
〇古めかしい和室
平和だった時間は、唐突に奪われ・・・弟も『それ』に巻き込まれた
レイ「・・・何故だ、アオイ・・・! 何故お前が・・・消えなければならなかったんだ・・・!!!」
レイの父「仕方ない事だ。 アオイは・・・よりによって怪異に連れていかれたからな」
レイの母「そうよ、私達じゃ怪異にはどうやっても叶わないからこれは仕方ない事なの」
レイ「そんな結末・・・俺は認めない! 何としてでもアオイを連れ戻してやる!!」
レイの父「ま、待てレイ!!!」
〇研究所の中
父の反対を振り切り、俺はありとあらゆる戦いの本を読み怪異を倒す方法を探った
だが・・・決定打となる物は無く、徐々に心身共に疲弊し諦観の念が生まれ始めた
レイ「もう・・・俺ではどうしようもない。 いっそこのまま眠るように・・・消えてしまいたい・・・」
???「・・・兄、サン・・・」
レイ「アオイ・・・?」
???「一緒二、イコウヨ・・・。 遠クノ世界二・・・」
レイ「遠くの世界・・・? そこに・・・お前はいるのか・・・?」
レイ「・・・分かった。 俺も・・・今そっちに行く」
狡猾な怪異は疲弊した俺を弟の声で騙し、元の世界から連れ去った
そして・・・今いる世界に飛ばされ元の世界に戻る事も出来ずいるのだ──
〇ピラミッド
クイム「お、おぅ・・・。 何か・・・重ぇ事聞いて悪かったな・・・」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)