第3話「運命のENCOUNT」(脚本)
〇英国風の部屋
ジユーシャ「・・・では、 クラス・モンスターテイマーについて説明しますね」
アクルス・ライト「・・・ゴクリ」
ジユーシャ「・・・モンスターテイマーとは、結論からいうとモンスター版の猟犬使いです」
アクルス・ライト「猟犬使い?」
ジユーシャ「狩猟の際に猟犬を使い仕留める猟師がいるでしょう?大体はあれの延長線です」
〇魔法陣2
ジユーシャ「ただ猟師と違うのは、モンスターとの主従契約時に使われるアイテム・ファミリアカードにより、ある程度の意思疎通が可能になる所」
ジユーシャ「契約を結んだモンスターとマスターは擬似的なパーティーを組んだ状態となり、モンスターのステータスも見る事ができます」
ジユーシャ「そして当然、モンスターも戦闘により経験値を重ねれば人間のようにレベルアップして・・・」
〇英国風の部屋
アクルス・ライト(言うまでもなく大事なので、俺はジユーシャの言う話をよく聞いていた。いたのだが・・・)
アクルス・ライト(むしろ、彼女のモンスターテイマーの概要を聞けば聞くほど、俺の中である結論が声をあげるのだ。それは・・・)
〇黒
円井繁(マルイ・シゲル)「これ・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「大体ポ◯モンじゃねーか!!!!!!!!!!!!!!」
第3話「運命のENCOUNT」
〇草原の道
アクルス・ライト(・・・迷宮戦線がポシャった理由がよーやくわかったわ)
アクルス・ライト(ゲーム内の戦闘システムで別のゲームやるみたいなシステム、並の製作会社が思いついてもできる事じゃない)
アクルス・ライト(そうでなくとも”件のゲーム”の発売元の著作権の厳しさは有名だ。作れたとしてもあの法務部が許さないだろう)
クリス・ライト「あらアーくん、今日も探検?」
アクルス・ライト「うん、そんなトコ」
クリス・ライト「あまり山の方に近づいちゃダメよ?昨日の雨で地すべりが起きてるって話だから」
クリス・ライト「はい、これお弁当」
アクルス・ライト「ありがとうお母さん!じゃ、行ってきまーす!」
クリス・ライト「夕飯までには帰ってくるのよー?」
クリス・ライト「・・・・・・」
クリス・ライト「・・・さて、洗濯物取り込まなきゃ!」
ジユーシャ「奥様!あれを・・・!」
クリス・ライト「・・・!」
〇森の中
ライト邸付近・森林地帯
通称・暗闇の森
アクルス・ライト(国境付近にあるこの森は、学校では暗闇の森なんて言われて怖がられてるけど、俺からしたら小さい頃からの遊び場・・・)
アクルス・ライト(・・・そして今は、クラウンが示した”モンスターテイマー”になる為の特訓の場所)
アクルス・ライト(肌で感じる。僅かだけど魔力が漂ってる、近場にダンジョンがあるから当然だけど)
・スペックメーター
所有者の能力、健康状態を
測定するための道具。冒険者の必需品。
入手自体は子供でも可能。
アクルス・ライト(いわゆる”ステイタス!”ができるようになるやつだよな。で、肝心の俺の基礎ステータスはというと・・・)
アクルス・ライト「・・・ステータス、オープン」
アクルス・ライト「攻撃力5、魔法3、素早さ3、防御2・・・」
アクルス・ライト「・・・レベル2」
アクルス・ライト「結構努力して色々鍛えたんだけどなぁ ・・・まあ自主学習じゃこんなもんか」
ちなみに・・・非戦闘職(つまり一般人)
が一生かけて上がるレベルが
20〜30といわれている。
アクルス・ライト「まあ、嘆いていても仕方ない。何はともあれ、強くなるしかないんだからな」
・ボウガン
ルクレツィア王国で広く普及している狩猟用の弓銃。
アクルス・ライト(道中の売店で買えた・・・ 子供でも人殺しのが手に入るとは、流石は修羅の国ルクレツィア)
アクルス・ライト(いや、異世界に現代日本の倫理観を持ち込むのもナンセンスか。それにそのおかげで・・・)
アクルス・ライト「・・・戦える!」
〇豪華な部屋
クリス・ライト「ですから、せめて息子が学校を卒業するまでは取り潰しは待ってください!」
クリス・ライト「辺境伯の仕事も私とジユーシャで代行していますし、何の不備もないでしょう!?」
ライト夫人「ふん、いかにも平民出身の女が振りかざすような屁理屈だこと・・・」
ライト夫人「・・・所で、そのムチュコタンも見当たらないようだけど?」
クリス・ライト「・・・裏の森に探検に行ってるんです。あの子、ここの自然が大好きなんです」
ライト夫人「山遊び!いかにもな蛮族なこと! やだわぁー!」
クリス・ライト「・・・・・・ッ!!」
ライト夫人「・・・で、せめてムチュコタンが学校を出るまでは待って欲しいというのが貴女の要望だけれど」
ライト夫人「それが”いなくなったら”その話はおしまいって事じゃなくて?」
クリス・ライト「・・・どういう事ですか」
ライト夫人「あくまで例え話ですよ、もっとも・・・」
ライト夫人「”暗闇の森”で何が起きるかはわからないって話ですことよ?ほほほほ・・・」
〇森の中
ブラックラット「キシャアアッ!!」
ブラックラット「キキィ!!」
・ザッタスク
通称ブラックラット。
外見はネズミに似るが家猫ほどの大きさがある。
個々は弱いが集まると厄介。
高い生命力と適応能力で様々な環境に生息する。
アクルス・ライト「つまりこの世界におけるスライム枠って事だ!!」
〇森の中
アクルス・ライト「ぜえっ・・・ぜえっ・・・結構倒したよな」
アクルス・ライト「す、ステータス・・・ッ」
アクルス・ライト「・・・変動なし。まあ雑魚モンスターばかりいくら狩ってもこうだよなあ」
アクルス・ライト「契約によさそうなモンスターも見当たらない、どこを見てもブラックラットばっかり」
アクルス・ライト「何事も甘くない、か・・・」
アクルス・ライト「なんだッ!?」
ゼクアノプ「キ・・・キキ・・・」
アクルス・ライト「ゼクアノプ・・・の幼虫か」
・ゼクアノプ幼虫
動物の死体から草木までなんでも食べる。
成虫になれば強力なモンスターになるが、
それまでに殆どの個体が死んでしまう。
ゼクアノプ「ギギ・・・・」
アクルス・ライト「こいつ、怪我してるのか・・・?」
アクルス・ライト(珍しい話じゃない。自然界は弱肉強食、こいつも運が無かったってだけだ)
アクルス・ライト(だけど・・・)
アクルス・ライト「・・・・・・」
回復薬
ゼクアノプ「ギ・・・?」
アクルス・ライト「じっとして、人間用だから効果があるかはわからないけど・・・」
アクルス・ライト「・・・これでよし、と」
ゼクアノプ「・・・」
アクルス・ライト「・・・」
アクルス・ライト「・・・何やってんだろうな、俺」
アクルス・ライト「じゃあな、もうドジ踏むなよ」
ゼクアノプ「・・・・・・」
〇山並み
〇森の中
アクルス・ライト(山・・・って事はそろそろ国境か)
アクルス・ライト(調子に乗って結構遠くにきちゃったな、その割にはレベルも上がってないし・・・)
アクルス・ライト(適当な場所でお昼食べたら帰ろっと)
アクルス・ライト「・・・ん」
アクルス・ライト「・・・あっ!」
アクルス・ライト(馬車が壊れてる!?山の上から落ちたのか!!)
アクルス・ライト(そういや、お母さんが地滑りがどうとか言ってたよな・・・)
アクルス・ライト「おい!!大丈夫か!?生きてる人はいるか!?」
アクルス・ライト「御者は・・・だめだ死んでる!!」
アクルス・ライト「荷車は!?誰か生きてるやつはいるか!?」
リサ「・・・うっ、ぐ・・・」
アクルス・ライト(子供・・・!?いや、俺も子供だけど)
アクルス・ライト(服がやけに綺麗だけど、俺より上の貴族・・・男爵子息くらいか?)
アクルス・ライト「君、しっかりしろ!立て・・・そうにないな」
リサ「っぐ・・・・・!!」
アクルス・ライト「足をやっちゃったか・・・とりあえず、応急処置するからな」
アクルス・ライト(逆に言うと、馬車の人達が必死に守ったから”ちょっと捻る程度で済んだ”って事か)
アクルス・ライト「えと・・・あと、ここはモンスターが居て危ない。安全な場所に連れてくから、これからの事はそこで考えよう、OK?」
リサ「わ、わかった・・・!!」
〇荒れた競技場
国境城塞
国境警備のために作られたが、
一向に敵が来ないので打ち捨てられた城塞。
現在はほとんど廃墟だが、雨風は凌げる。
〇古い倉庫の中
アクルス・ライト(で、今は一応ライト家の管轄って事になってて、俺の森での修行の際の拠点に使わせてもらってる、と)
アクルス・ライト「足の調子はどうだい?」
リサ「・・・うん、大分マシ」
アクルス・ライト「・・・っと、自己紹介がまだだったな」
アクルス・ライト「俺はアクルス、アクルス・ライト。一応ここを治めてる辺境伯の跡取りって事になってる」
リサ「僕はリサウ・・・」
リサ「・・・ッ」
アクルス・ライト「?」
リサ「え、えと・・・リサって呼んでほしい」
アクルス・ライト「そっか・・・よろしくな、リサ」
アクルス・ライト(・・・まるで、本当にどこかの国が作った精巧な人形のようだ。髪も肌も透き通って、宝石のように光を反射し輝いている)
アクルス・ライト(そちらの趣味はなくても、素直に美しいと感じる・・・こういうのを美少年と言うんだろうな。知らんけど)
アクルス・ライト「それにしても・・・ごめんな?ちゃんとした薬じゃなくて、こんなので」
アクルス・ライト「本当は市販の薬があったんだけど、ついさっき・・・」
アクルス・ライト「・・・あっ」
リサ「・・・・・・」
アクルス・ライト「・・・は、ははっ!!こりゃ締まらないな!!」
リサ「ふふふ・・・」
アクルス・ライト「まあ、時間的にも丁度いいし、話はお昼ごはんを食べながらでも・・・」
アクルス・ライト「はい、これリサのな」
リサ「えっ?僕も食べていいの? これは君の・・・」
アクルス・ライト「いいのいいの!これから体力使うんだからちょっとでも腹に物入れといた方がいいよ」
アクルス・ライト「ま、まあ・・・お口に合えばの話だけど」
リサ「そんな・・・それじゃ、僕も遠慮なく」
リサ「・・・いただきます」
リサ「・・・・・・!! おいしい!!」
アクルス・ライト「よかった!気に入ってくれたみたいで何よりだよ」
アクルス・ライト「んまあ・・・それ作ったの俺のお母さんだから、俺がとやかく言うのも違うんだけどさ」
〇荒れた競技場
セバスチャン「・・・・・・」
〇古い倉庫の中
リサ「へえ・・・つまり家族を助けるために冒険者を目指してるって事?すごいや!」
アクルス・ライト「ははっ、すごいも何もまだダンジョンすら入った事ないんだぜ?」
アクルス・ライト「今もこうして自主練はしてるけど、中々レベルも上がらなくてさ・・・」
アクルス・ライト「まったく、あの伯爵夫人の婆さんさえちょっかい出してこなけりゃなあ・・・」
アクルス・ライト「つーか、ああいう悪いタイプの貴族を取り締まる方法って無いのかな?そのせいで俺みたいな下っ端が苦労するんだよ」
リサ「・・・・・・」
アクルス・ライト「・・・どうした?リサ」
リサ「えっ・・・あ、ううん。何も」
アクルス・ライト「・・・さっきのゼクアノプ、テイムしときゃよかったかな?成長すれば強力なモンスになるんだろ?確か」
リサ「うーん・・・でもゼクアノプは強い代わりに食費もかかるし、何より強すぎてテイマーがもて余す事もある」
リサ「よほど手練れたテイマーか、モンスターと強い絆で結ばれてるなら話は別だけど・・・」
アクルス・ライト「ん?やけに詳しいなリサ」
リサ「僕もモンスターは好きなんだ。生態とか、色々興味あって」
アクルス・ライト「あっ!それわかる!もしかして図鑑読むの好きだったりする?」
〇教室
円井繁(マルイ・シゲル)「リサとの話は、同じモンスターという趣味が合う所からかなり弾んだ」
円井繁(マルイ・シゲル)「いくら位の高い貴族でも同じ”男の子”って事がわかった。やっぱ、こういう話題は盛り上がる・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・それと同時に、高校時代の友達も思い出していた。たしか彼も同じように架空の生き物が好きだった」
円井繁(マルイ・シゲル)「よくオリジナルモンスターの生態とか考えあって盛り上がったっけ・・・」
〇古い倉庫の中
アクルス・ライト(たしかデザイナー目指すって東京に行ったけど、元気にしてるかな・・・)
アクルス・ライト「・・・ん?誰か来る」
リサ「あっ・・・きっと、助けが来たんだ」
アクルス・ライト(そりゃ貴族が遭難したんだし、捜索願ぐらい出されるか・・・)
セバスチャン「迎えに来ましたよ、坊ちゃま。こんな所に居たんですか」
アクルス・ライト「・・・セバさん?」
リサ「知り合い?」
アクルス・ライト「うん、あのクソバ・・・ライト夫人の執事だよ。いい人だけど」
セバスチャン「奥様が呼んでましたよ、そちらの坊ちゃまも。さあ、一緒に帰りましょう」
リサ「何にせよよかった・・・行こう、アクルス」
アクルス・ライト「・・・・・・」
リサ「・・・アクルス?」
アクルス・ライト「・・・なあ、ちょっと聞いていいか? セバさん」
セバスチャン「・・・何か?」
〇草原の道
セバスチャン「ごめんね、アクルス君。ウチの奥様がいつもいつも・・・」
アクルス・ライト「セバさんも、仕事だけど大変ですね・・・あんなのの相手させられて」
セバスチャン「給料はいいけどね、ははは」
〇古い倉庫の中
アクルス・ライト「・・・セバさんは、俺の事坊ちゃまなんて呼ばないはずだけど?」
セバスチャン「・・・・・・・・・」
セバスチャン「プケケケケケケケケケケケケケ!!!!!」
モンスターテイマーは即ちトレーナーという訳ですかw
(読んでいる最中、例のパチモン事件が頭を過ぎりました。後書きの通り、作者さんも同じ気持ちだったようで)
リサを救出したは良いものの、何やらセバスチャンの様子が変。偽物か?
続きを待ってます!