第4話「初勝利をGETせよ!」(脚本)
〇古い倉庫の中
セバスチャン「プケケケケケケケケケケケケケケケケケ!」
リサ「こいつは・・・!?」
アクルス・ライト「図鑑で見たことある、キルパペットだ!」
暗殺人形(キルパペット)
読んで字のごとく、特定のターゲットを暗殺するために
使用される魔術道具=人造モンスター。
擬態能力に加え、戦闘力も申し分もないが、
その強力無比さから現在では新規の製造
並びに使用は法で禁じられている。
アクルス・ライト「危ない!避けろ!」
リサ「わああっ!!」
〇黒
第4話「勝利をGETせよ!」
〇古い倉庫の中
アクルス・ライト「くっ・・・間一髪!」
リサ「暗殺人形・・・こんな危険な物を誰が!?」
アクルス・ライト「大体想像はつくよ、身内から犯罪者が出たなんて思いたくないけど」
アクルス・ライト(相手は暗殺・・・殺人に特化した兵器みたいなやつだ。子供二人で、しかも片方は怪我人で太刀打ちできる相手じゃない)
アクルス・ライト(この状況で取れるベストな選択肢は・・・)
アクルス・ライト「・・・・・!!」
アクルス・ライト「・・・リサ、ある程度は歩けるな?」
アクルス・ライト「走れとは言わん、俺がやつに飛び込んだらここを出て南に真っ直ぐ向かえ。そこに俺の家がある」
リサ「そんな!?じゃあアクルスはどうするのさ!?」
アクルス・ライト「元よりヤツのターゲットは俺だ リサを巻き添えにはできない!!」
アクルス・ライト「お前は部外者だ、だから逃げろ!!」
リサ「・・・・・・!!」
リサ「・・・嫌だ!」
アクルス・ライト「ちょっ、こんな時にワガママ言うなよ!?」
リサ「置いていけないのは僕だって同じだ!それに・・・」
リサ「動けないなりに、戦い方はある!」
アクルス・ライト「ファミリアカード!?まさかお前・・・」
リサ「・・・来い!」
パルカルエ
澄んだ水辺に生息する小鳥のようなモンスター。
幸せを運ぶ青い鳥とも云われている。
アクルス・ライト「モンスター・・・テイマーなのか!?」
リサ「資格を持ってるってだけだよ、ほとんど見習いもいい所さ」
リサ「パルカルエ!お願い!」
パルカルエ「ピピィッ!!」
アクルス・ライト「・・・・よし!俺も!!」
アクルス・ライト「そこだっ!!」
アクルス・ライト「今度はこっちだ!!」
リサ「よそ見をしている暇はないぞ!」
アクルス・ライト(そうだ!絶えず攻撃を続けるんだ! 相手が反撃できないほど早く、小刻みに、正確に!)
アクルス・ライト(そうすれば、もしかしたら・・・!!)
・・・・・・・・・
・・・その考えが浅はかであったと、少年たちが自らの浅知恵を後悔したのはその直後である。
〇草原の道
ジユーシャ(・・・今回のイヤミタイム、長いですね)
ジユーシャ(坊ちゃまもまだ帰らないし、今日はなんだか厄日っぽいですね・・・はあ)
ジユーシャ「・・・あら?」
〇古い倉庫の中
アクルス・ライト「・・・なっ!?」
その時────ヤツの腕が伸びた!!
リサ「アクルスッ!!」
アクルス・ライト「くそっ、捕まった・・・!!」
アクルス・ライト「ぐる、じ・・・っ」
リサ「このっ!!アクルスを離せ!!」
リサ「な・・・っ!!」
リサ「こいつ、盾のつもりか・・・!!」
アクルス・ライト(ああ・・・俺かっこわりい・・・)
アクルス・ライト(調子乗って戦って人質にされるとか終わりすぎだろ、俺・・・!!)
アクルス・ライト(息ができない・・・くるしい・・・っ)
アクルス・ライト(所詮こんなもんかよ・・・生まれ変わってもこんな終わり方かよ・・・)
アクルス・ライト(まあ、俺クズだからな クズが生まれ変わった所でクズに相応しい人生がもう一度あるだけか・・・)
???「・・・・キキィッ!!!!」
アクルス・ライト「がはっ!!げほっ、げほっ・・・」
アクルス・ライト(なんだ!?いきなり暗殺人形が倒れた・・・いや倒された?)
リサ「アクルスっ!!」
アクルス・ライト「ぐ・・・俺は大丈夫だ、でも何が?」
リサ「あれは・・・ゼクアノプの幼虫!?」
アクルス・ライト「あの時助けたチビスケ!? なんて義理堅い・・・」
アクルス・ライト「・・・リサ、あのチビスケの使える能力で、相手の動きを止められるものはあるか?」
リサ「インセクトストリングスっていう口から吐く糸があるけど・・・」
アクルス・ライト「よし!それで行く!!」
アクルス・ライト「チビスケ!インセクトストリングスだ! あのひょろひょろカカシの動きを止めろ!」
ゼクアノプ「・・・キキィ!!」
アクルス・ライト「よし、動きを封じた!」
アクルス・ライト「リサ、あの天井にぶら下がってる重い荷物を奴に向けて落とせるか!?」
リサ「わっ、わかった!!」
リサ「────パルカルエ!!」
パルカルエの翼が天井の荷物・・・
城攻めに使った投石機用の岩を置いた足場を破壊した!
リサ「・・・・・・・・・」
アクルス・ライト「・・・・・・・・・」
リサ「・・・・やった、のかな?」
アクルス・ライト「胴体が完全に潰れてる、もう動かないよ 流石に・・・」
リサ「・・・という事は」
アクルス・ライト「・・・勝った?」
アクルス・ライト「勝った・・・勝ったあ・・・はは」
アクルス・ライト「俺達・・・生きてるよな?生きてるんだよな?」
リサ「うん・・・うん!」
アクルス・ライト「はははっ!やった、やったあ・・・!」
ゼクアノプ「・・・キキィ」
アクルス・ライト「ははっ!お前もご苦労さん!」
アクルス・ライト「・・・・・・」
ゼクアノプ「・・・・・・」
・・・ゼクアノプは仲間になりたそうに
こっちをみている。
アクルス・ライト「・・・お前、よかったらウチ来るか?」
ゼクアノプ「・・・キキ!」
アクルス・ライト「よし、決まりだな!」
アクルス・ライト「・・・契約成立」
アクルス・ライト「これからよろしくな、ゼクアノプ!」
ゼクアノプ「キキィ!」
〇山並み
〇草原の道
アクルス・ライト「よーやくついた、ここが俺の家・・・」
アクルス・ライト「・・・なんか凄い事になってるな?馬車がいっぱいいる」
ジユーシャ「坊ちゃま!」
クリス・ライト「アー君!!」
アクルス・ライト「母さん!ジユーシャさん!この騒ぎは一体・・・?」
ライト夫人「我が国の要人を乗せた馬車がこの付近で行方不明になったのですよ」
ライト夫人「そんな非常時に探検は楽しかったかしら?我が孫よ」
アクルス・ライト「・・・あんたも来てたのかい」
ライト夫人「本来管轄であるあなたが真っ先に動くべきなのに呑気に山遊びとは、所詮は辺境伯程度って事ね、ほほほ・・・」
リサ「待て!それ以上の侮辱は僕が許さないぞ!」
ライト夫人「あら?誰よあん・・・・・・」
ライト夫人「・・・・・・」
ライト夫人「・・・ひっ、ひいいいっ!?リサウド殿下!?」
アクルス・ライト「・・・へ?殿下?リサが?」
ライト夫人「おおおおバカモノっ!このお方を前に無礼ですよっ!」
ライト夫人「というか貴方、自分の国の王子の名前もしらないの!?これだから田舎者はっ!!」
アクルス・ライト「王子・・・・・・」
アクルス・ライト「リサが王子・・・・?」
アクルス・ライト「・・・・・・ああっ!!!!」
アクルス・ライト(そこで俺は、ここが乙女ゲー世界だと知った理由である、新聞に載ったこの国の王子の名を思い出した)
〇ファンタジー世界
円井繁(マルイ・シゲル)「リサウド・ミズーリ・ルクレツィア」
円井繁(マルイ・シゲル)「このルクレツィア王国の王子で、”愛色”の攻略対象の一人」
円井繁(マルイ・シゲル)「優しくたおやかな性格の・・・いわゆる ”白王子”ってやつだ」
〇草原の道
アクルス・ライト「リサお前・・・王子様だったんだ」
リサ「黙っててごめん・・・騙すつもりは無かったんだ」
ライト夫人「でっ、ででで殿下っ!ごっご無礼をお許しください!何卒・・・っ」
リサ「ならまず彼が無責任だという事を撤回してもらおう」
リサ「彼は暗殺人形に襲われた僕を守り、辺境伯としての仕事を全うした・・・無責任なんかじゃない!」
ライト夫人「はいっ!撤回します!彼は自慢の孫・・・」
ライト夫人「・・・暗殺人形?」
リサ「製造法違反の件については追って通達する、覚悟しておくように」
ライト夫人「え・・・あ・・・え・・・」
リサ「・・・アクルス、僕を守ってくれてありがとう」
アクルス・ライト「守るだなんて、リサ・・・王子も戦ってくれたから勝てたわけですし・・・」
リサ「あはは、リサでいいよ。口調も直さなくていいから」
ゼクアノプ「キキィ!」
リサ「ははっ、そうだね。ゼクアノプも一緒に戦ったもんね」
リサ「それで・・・だけど」
リサ「君がよかったらでいいんだけど、その・・・」
アクルス・ライト「・・・?」
リサ「・・・僕と」
リサ「僕と友達になってくれないかい?」
アクルス・ライト「・・・・・・!!」
リサ「・・・・だめかな?」
アクルス・ライト「いや・・・だめも何も・・・」
アクルス・ライト「俺達、もう友達だろ?」
リサ「・・・!!」
リサ「はは・・・あははっ!」
アクルス・ライト「んまあ立場上あんま会えないと思うけどこれからもよろしくな!リサ!」
リサ「こちらこそ、アクルス!」
ゼクアノプ「キキィ!」
〇お化け屋敷
〇英国風の部屋
アクルス・ライト(・・・そんなこんなで、俺の今までで一番慌ただしい一日は終わりを告げた)
ゼクアノプ「キキィ〜♪」
アクルス・ライト「暖炉の前で丸くなってら・・・虫なのに猫みたいだなあお前」
アクルス・ライト「・・・それにしても」
〇古い倉庫の中
〇英国風の部屋
アクルス・ライト(ゲームのCGじゃ見たことなかったけど・・・リサウドってあんな顔で笑うんだ)
アクルス・ライト(へへ・・・なんか得した気分だ プレイヤーも知らないあいつの顔を知ってるって)
アクルス・ライト「・・・あ、そうだ」
アクルス・ライト「・・・ステータスオープン」
アクルス・ライト「・・・・・・」
アクルス・ライト「・・・レベル上がってる・・・」
仲良くなれたリサの正体が、ゲームの重要人物の王子様。これは大波乱の予感。
それにしてもセバスチャンになりすました機械人形。
一体誰が送り込んだのか……。