30面 心(脚本)
〇火山のある島
少年「・・・メスギツネー、あついよーっ」
少年「早く終わろうよーっ・・・」
ポテッ
と、声をかけた少年は倒れてしまう。
(メスギツネってよむんだ)
メスギツネと呼ばれた女性は、
ある言語を言われ、問われると
自動発話しだす。
(嫌なんだけどしぶしぶ)
からだのどこかに光点が一粒あらわれて
対応した語りが始まる。
うつろに口だけ動かすのから、
自身のさいなまれた過去がよぎるのか
怒りの形相で、
持っていないけど
銃ぶっ放すような動きをしたりして
アワワワワ、
と、それを見てびびる者もいたり。
〇森の中
──気を失ったメスゴリラを抱えて、
少年はやっぱり
別の住まいを考えることにする。
結局、最初に住まわせた場所の
空き地にまたつくることにする。
ただし、最初よりも深く
穴を掘って柱を打ち込む。
──5m、しかし、
それをしようとすると
ボコッ
あちこち土中ゴリラが
モグラ叩きよろしくボッコリ現れて
そのとき、たまたま
近くにいたゴリラ一匹を、
10匹ほどの土中ゴリラが
ボコボコにしてしまう。
何とかその場所に
つくってあげたいんだけど──
少年は、
メスゴリラとメスギツネ
どちらを選ぶんだろう。
(ゴリ=クリ?)
〇未来の店
レジにセロテープを取りにきたら、
「うわぁーっ」
と、泣く声がして、
江藤鉱(ああ、泣き出しちゃった)
江藤鉱(俺が怖いのかな・・・ 負担かけてる?)
〇備品倉庫
バックヤードに戻ると、
泣き崩れて伏せてる女性のそばに
寄り添って腰下して
介抱している星羽さん。
江藤鉱「俺がやるんで」
と、肩抱くように引き取って
江藤鉱(しょうがねぇな俺は)
レジの引き出しに入ってたセロテープ
(空になってギザギザが目立つ)
江藤鉱(ああいかん こんなことで挫けちゃいけないっ)
江藤鉱(セロテープ切れたってあるんだ)
〇沖合
──砲弾雨あられ。
何で俺たちにこんなに、
ここを突き破って俺たちに
クリたちにいってみろってことか
軍艦包囲網。
こっち側の視点から向こう側──
〇沖合
(クリの側、対面明るい感じ)
──にわたって視点が切り替わる。
両面から彼方にな。
ああ、あの水平線の彼方にあるのか
大陸一の山の頂は
先に浮き上がってみえて
〇朝日
ラインが光る──御来光だ
うわあっと一気に
全体にひろがる光の広大さに
全て包まれる体験を
初めて味わって変調をきたすのか
〇赤(ディープ)
クリの
こころが うごいた
〇勉強机のある部屋
江藤鉱(先週、カラオケで動いたの?)
江藤鉱(じゃあ告白だな)
〇駅前広場
こーくーはーくしてー
よかったことあるー?
なかよくなれたことー
パンチラがチカジュウ模様
笑顔でさ
契約?
(俺とおまえの契約なんだー)
みーっせ みーっせ
てんしはけるよっ
てんしがあんたでないならっ