転生モンスターテイマーよ、乙女ゲー世界を生き抜け!!

情無合成獣スフィアマザコンザウルス

第2話「NEW GAMEのはじまり」(脚本)

転生モンスターテイマーよ、乙女ゲー世界を生き抜け!!

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〇ファンタジー世界
「神聖ルクレツィア王国の始まりは、今より300年ほど前とされている」
「それまでは我々の世界と同じく剣や槍を使った戦闘がメインだった所に、当時小国であったルクレツィアに技術革命が起きた」
「それが、それまでモンスター等の一部の生物のみが出来た、自然界に存在するエネルギーを転用した超能力的技術体系・・・」
「いわゆる”魔法”の出現である」
「魔法の出現は人間の知能にモンスターの力が加わったような物。 ルクレツィアは瞬く間に周囲の国を吸収。一大国家となった」
「それがこの物語並びに、 乙女ゲーム”愛色のプラチナム”の舞台となる神聖ルクレツィア王国建国の歴史だ・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・あ、どーも」
円井繁(マルイ・シゲル)「この物語の主人公、円井繁改め・・・」
アクルス・ライト「・・・アクルス・ライトでございます!」

〇黒
  第2話「NEW GAMEのはじまり」

〇可愛らしいホテルの一室
アクルス・ライト(・・・曰く、人間の意識がはっきりしてくるのは二歳か三歳かごろらしい いわゆる”物心ついた時”というやつだ)
アクルス・ライト(俺も気がついた時には円井繁ではなくアクルス・ライトで、こっちの言語や文字を問題なく習得・利用している)
アクルス・ライト(・・・折角の異世界転生なのになんのドラマもねえ)
アクルス・ライト(しかもよりによって転生先乙女ゲーかよ! せめて”炎の爆乳メイド学園”にしてくれ!)
  炎の爆乳メイド学園
  分類・アダルトゲーム
  内容・タイトルの通り
クリス・ライト「あら、おはようアーくん 今朝は早いのね?」
アクルス・ライト「あっ、おはようお母さん!」
アクルス・ライト(この人はクリス・ライト。俺をもう一度産み落とした人・・・こっちでの俺のお母さん)
クリス・ライト「朝ご飯できてるわ、一緒に食べましょう」
アクルス・ライト「うん!」

〇お化け屋敷
アクルス・ライト(ここが俺の家、ライト邸 ルクレツィア王国国土の国境付近にある)
アクルス・ライト(そして何をかくそう俺はルクレツィア貴族の家系の跡取り。辺境伯ライト家の跡取り息子なのだが・・・)
アクルス・ライト(・・・貴族の息子と言っても、そんな豪勢な生活はできない。むしろ、ちょっと面倒な立ち位置にいる)

〇草原の道
アクルス・ライト(うわっ、噂をすれば・・・)
ライト夫人「・・・・・相変わらず辺鄙な所だこと」
ライト夫人「セバスチャン、馬車を片付けておいて頂戴」
セバスチャン「はい、奥様」
クリス・ライト「お、お義母様・・・」
ライト夫人「あなたに義母と呼ばれる筋合いはないわ ・・・というか、辺境伯のくせに客人ももてなせないの?」
クリス・ライト「はっ、はい!ただいま・・・」
アクルス・ライト「お母さん・・・」
クリス・ライト「・・・アーくん、裏で遊んでて頂戴ね」
アクルス・ライト「・・・うん」
アクルス・ライト(・・・さっきのケバイ婆さんはライト婦人 ・・・本名”デニス・フォン・パンタトル・ライト”)
アクルス・ライト(”遺伝子的に”は俺のばあちゃんに当たる存在だ)
ライト夫人「・・・」
ライト夫人「いつ見ても小汚いガキねえ」
アクルス・ライト「・・・そりゃどーも」
ライト夫人「態度まで可愛くない!!あんたの母さんそっくりだよ」
アクルス・ライト「なんだと・・・!!」
ライト夫人「まったく、出来の悪い次男とは思ってたけど、嫁と子供の出来まで悪いとはね!」
アクルス・ライト(・・・仮にも孫に対する言葉かよ、これが)
セバスチャン「・・・なんか、ごめんね」
アクルス・ライト「・・・セバさんも大変ですね」

〇お化け屋敷
円井繁(マルイ・シゲル)「伯爵家であるライト家の次男坊だった俺の親父は、家を継いだ長男に対し、辺境伯家の立場を与えられた」
円井繁(マルイ・シゲル)「本来の辺境伯というのは国境付近で外敵の襲来に備える重要な役割なのだが、ルクレツィア王国の長い平和の時代・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「周辺国家を侵略しては吸収し続け様々な意味で”無敵”になったルクレツィアの今は、そんな辺境伯をただの窓際事業にしてしまった」
円井繁(マルイ・シゲル)「この家にお母さん・・・庶民の出であるクリス・ライトとメイドのジユーシャしかいないのはその為だ」
円井繁(マルイ・シゲル)「それで、ここからが問題なんだが・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・俺の父、弟の方のライト卿は俺が物心つく前に流行りの病で死んでしまった」
円井繁(マルイ・シゲル)「で、あのクソババ・・・ライト夫人はそれをいい事に、俺の家を取り潰そうとしている」
円井繁(マルイ・シゲル)「王国の法律上は、本来は家の跡取り・・・つまり俺が存命な限りそんな事はできないんだが、ヤツにとっては関係ないらしい」
円井繁(マルイ・シゲル)「今日みたいに突然やってきては、お母さんに圧をかけて自分の家を手放させようとしている・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「どうやら、自分の血から今や窓際貴族になった辺境伯が出たのが心底気に入らないらしい」
円井繁(マルイ・シゲル)「お母さんも、せめて俺が学校を出るまではって踏みとどまってくれてるけど・・・」

〇可愛らしいホテルの一室
アクルス・ライト(・・・一通りお母さんを悪く言って、あいつは帰っていった)
アクルス・ライト(俺は、何もできないでいた・・・)
クリス・ライト「・・・・・・・・」
アクルス・ライト(・・・お母さんが泣いてる。きっとあいつに色々言われたんだろう)
アクルス・ライト「・・・!!」
クリス・ライト「・・・アーくん?」
アクルス・ライト(・・・・俺はこうして、何をすればいいか分からずお母さんに抱きつくしかできなかった)
アクルス・ライト「・・・・お母さん」
クリス・ライト「・・・今日も一緒に寝たいの?」
クリス・ライト「いいわよ、おいで・・・」

〇黒
円井繁(マルイ・シゲル)「お母さん・・・クリス・ライトは、優しい人だった。暖かかった」
円井繁(マルイ・シゲル)「毒親育ちだからまともな親がどんな物かは知らないが、少なくとも一緒にいると何より安心できた」

〇可愛らしいホテルの一室
アクルス・ライト「お母さん・・・お母さん・・・」
クリス・ライト「大丈夫よ、お母さんはどこにも行かないわ」
クリス・ライト「何があっても、お母さんはあなたの味方よ」
アクルス・ライト「・・・・・・」
アクルス・ライト(お母さんはこう言ってくれるけど・・・ 俺は、お母さんが俺が学校を出るまで待てるとは思えなかった)
アクルス・ライト(よしんば待てたとしても、その頃には優しいお母さんは壊れてしまうだろう)
アクルス・ライト(・・・俺は嫌だった)
アクルス・ライト(無力な自分が、何もできない自分が)
アクルス・ライト(だから・・・)

〇黒
「・・・・・・俺は強くなりたい!!」

〇暖炉のある小屋
ジユーシャ「・・・坊ちゃま、勉強熱心なのは教育係の私としては嬉しい限りですが、くれぐれも無理はなさらぬよう」
アクルス・ライト「・・・善処はしてるよ、俺なりに」
アクルス・ライト(・・・幸い、幼く若い俺の脳は与えられたあらゆる知識を柔軟に吸い込んでくれた)
アクルス・ライト(学校の勉強に加え、教育係にジユーシャがついてくれていたのは幸いだった)

〇中庭
  学校・広場
戦闘教師ガッサーワ「それでは、組み手開始!」
  模擬戦用模造剣
アクルス・ライト「だりゃあああーーーーっ!!!!」
モブ生徒「なあ、最近のライトすごくないか?」
モブ生徒「最近っていうかずっとこうだぞ、あそこまでムキになるかねえ」
戦闘教師ガッサーワ(組手とはいえ、がむしゃらだがいつ見ても鬼気迫る太刀筋!!)
戦闘教師ガッサーワ(何があいつをそこまで駆り立てる?)
アクルス・ライト(体力も鍛えれば鍛えるほど上がっていった だが、そんな若さを喜ぶ余裕は俺にはなかった)
アクルス・ライト(それは・・・)

〇黒
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・ここでもう一度、このルクレツィア王国についての話に入る」

〇地図
アクルス・ライト「ルクレツィア王国は、言い方は悪いが戦争によって成り立った血塗られた王国だ」
アクルス・ライト「そんな成り立ち故か、長く続いた平和な時代であるが国で成り上がる方法は今も昔もシンプル・・・」
アクルス・ライト「・・・武勲を立てる。それだけだ」
アクルス・ライト「武勲と言ってもわざわざ遠方に出向いてまだ見ぬ他国を侵略する必要はない。例えば、強力なモンスターを討伐したとか──」
アクルス・ライト「魔力汚染領域、ようはダンジョンからすごいお宝を持ち帰るとか、そういう事でいい」
アクルス・ライト「現に、モンスター狩りや採掘の専門職である”冒険者”なんて肩書も存在し、王国の貴重な財源になっている」
アクルス・ライト「・・・え?これホントに乙女ゲーかって?やけに普通のRPGぽい?」

〇SNSの画面
円井繁(マルイ・シゲル)「よくぞ聞いてくれました!」
円井繁(マルイ・シゲル)「そもそもこの”愛色のプラチナム”だけど、完全にゼロから作られたゲームというわけじゃないんだ、これが」
円井繁(マルイ・シゲル)「実はこれ以前に発売前に企画がポシャったファンタジーRPGの”迷宮戦線異常アリ”ってゲームがあったんだけど・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「”愛色”はこれの世界観や設定を流用しているんだ。やけにRPGみたいな世界観なのもそのためだね」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・あと、”迷宮戦線”は実はギャルゲーの側面も持ってて、それが後に語るこのゲームのマイナスポイントになってるんだけど」
円井繁(マルイ・シゲル)「まあ・・・その時が来たら話すとするよ」

〇英国風の部屋
アクルス・ライト(・・・つまり、強くなれば国での影響力も増し、あのババアも手出しできなくなる)
アクルス・ライト(そう、やる事は単純だ。強くなって武勲を立てればいい。それだけなんだ、だが・・・)
アクルス・ライト「あづっ!!いででででっ!!」
アクルス・ライト「・・・ああくそっ、また足の筋肉がこむら返った!」
アクルス・ライト(俺の今の身体はあまりにも幼く、そう漫画みたいな急成長はさせて貰えなかった。全力で取り組んだ後はいつもこうだ)
アクルス・ライト(神様よ・・・どうして俺にはチート能力や転生特典をくれなかったんだよ!?くそっ!!)
ジユーシャ「坊ちゃま失礼します」
アクルス・ライト「ジユーシャ?もしかして・・・」
ジユーシャ「頼まれていたものの入手ができました、 こちらを」
アクルス・ライト(これは”判別クラウン” 外見は王冠だが材質はプラスチック樹脂の玩具。けれども立派なマジックアイテム)
アクルス・ライト(被るとその人に合ったクラス(本家RPGにおける「職業」に近い概念)を教えてくれるすぐれもの。冒険者にとっては必需品)
アクルス・ライト(今まで闇雲に努力してきたけど、これで俺が目指すべき大まかな方向がわかるって事だ)
アクルス・ライト(それにしても・・・どう考えても”アレ” だよなあ、これ)
アクルス・ライト(女性ユーザーは人一倍正義感が強いから、こういう露骨なパロディは嫌うハズなんだけど、よく入れたな)
アクルス・ライト(いや、このゲームの成り立ちを考えたら”よく残したな”と言うべきか)
ジユーシャ「それでは、いきますよ・・・」
アクルス・ライト「ゴクリ・・・」
  ・・・・・・・・・
  モンスターテイマー・・・
  此奴にはモンスターテイマーこそふさわしい
アクルス・ライト「・・・・・・!!」

〇黒
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・モンスターテイマー」
円井繁(マルイ・シゲル)「クラウンにより示されたその才能が、俺をこのゲームの物語に巻き込んでゆくこと」
円井繁(マルイ・シゲル)「そして・・・」
アクルス・ライト「・・・ある種の因縁の出会いをもたらす事を、この時の俺はまだ知らなかった」
  つづく

次のエピソード:第3話「運命のENCOUNT」

コメント

  • 誤字(?)報告
    「クソババa→クソババア」

    基本転生モノはちょっと苦手意識がありますが、クソゲー要素のお陰で楽しめそうです。
    何処かの魔法学校の帽子を彷彿とさせる、教室選別ならぬ職業選別。
    主人公に示された職業によって齎される因縁。続きを待ってます。

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