転生モンスターテイマーよ、乙女ゲー世界を生き抜け!!

情無合成獣スフィアマザコンザウルス

第1話「ある男のBAD END」(脚本)

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〇黒
  映画は、弱い人たち、
  少数の弾かれてしまう人達に
  寄り添って作るんだ。
  なぜなら、そういう人達が
  ひとときの楽しみを求めて見にくる娯楽が
  映画だからだ。
  ───ロジャー・コーマン
  (1926~2024)

〇古書店
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・よし、じゃあもう一度説明しよう」
円井繁(マルイ・シゲル)「俺は円井繁(マルイ・シゲル) 年齢は27、性別並びに性自認は見ての通りの野郎だ」
円井繁(マルイ・シゲル)「そして・・・この物語の主人公 その転生前だ」

〇怪奇現象の起きた広間(血しぶき無し)
円井繁(マルイ・シゲル)「考えの古い暴力的な親父とその良妻賢母という名の腰巾着の母親の間に生まれた、いわゆる一つの毒親育ち・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「大学を出るまでは耐えてたけど、ある時妹のブランドバッグを買う為にソシャゲのアカウント勝手に売買されてとうとうキレた」
円井繁(マルイ・シゲル)「無課金であそこまで育てたあのアカウントもそのアカウントも水の泡・・・っと、話が逸れたな」
円井繁(マルイ・シゲル)「そんなこんなでとうとう堪忍袋の緒が切れた俺は安い部屋を無断で契約し、貯めた貯金をはたいて家を出た!」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・まあその貯金も姉の新婚旅行費に横領されてたらしく、結構ゴッソリやられてたんだがな」

〇古いアパートの一室
円井繁(マルイ・シゲル)「そんな俺は、仕事の合間にレトロゲームのレビューをブログに書く事を日課にしていた」
円井繁(マルイ・シゲル)「基本的にジャンルは問わない。男性向け、女性向け。洋ゲー和ゲーなんでもアリだ」
円井繁(マルイ・シゲル)「しかし、俺はレビューに一つだけルールを設けている。それは”絶対に辛口や酷評はしない”という事」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・いやまあ確かに、遊んでて所謂クソゲーに当たる時はあるよ?」
円井繁(マルイ・シゲル)「が、そういう時に口汚く罵ったりするのは何か気分が悪くなる。だからやらない!それだけさ」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・そもそも、この世界に蔓延する ゲームレビュー=クソゲー罵倒大会って考え自体がおかしいんだけどな」
円井繁(マルイ・シゲル)「まあそんなこんなで、今日も楽しくゲームで遊んでいた日の事・・・」

〇古いアパートの一室
  20XX/某月/某日/土/23:53
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・・・・・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・・・久々にだめなゲー厶に当たった」
  作品名
  「愛色のプラチナム」
  ジャンル・ファンタジー恋愛ゲーム
  対象プレイヤー・女性
円井繁(マルイ・シゲル)「いや・・・まあ野郎の価値観からしたら納得できねーって内容だけど」

〇ファンタジー世界
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・まずこのゲームは、よくある剣と魔法がモノを言うファンタジー世界を舞台にしている」
円井繁(マルイ・シゲル)「中世・・・というには機械のような物がちらほら出てくるし、スチームパンクならぬマジックパンクとでも言うべき世界観だ」
円井繁(マルイ・シゲル)「無論モンスターもいるのだが、主人公はそんなモンスターに対抗しうる・・・ようは戦う才能を持った少女」
円井繁(マルイ・シゲル)「その才能を見込まれた彼女は、庶民の出身ながら貴族やエリートが通う”聖プロメテュス学園”に入学する事になる」
円井繁(マルイ・シゲル)「ここで・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「この王国の王子様」
円井繁(マルイ・シゲル)「野生なヤンキー貴族」
円井繁(マルイ・シゲル)「東洋から来たツンデレ剣士」
円井繁(マルイ・シゲル)「主人公と過去に会ったらしい黒騎士」
円井繁(マルイ・シゲル)「この四人の攻略対象と愛を育んでいくのだが・・・」

〇ファンタジーの教室
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・もうこれに関しては直接見て貰った方が早いだろう では、どうぞ」
ドレイク・ゴドウィン「お前、これは何だ?」
ムンバス・ケムバー「こ、購買部で買った漫画だよ・・・見ればわかるっちょ?」
ドレイク・ゴドウィン「つまりお前、女性を性の入れ物としてしか見ず、欲望のはけ口としか考えていないウジ虫というわけだ」
ムンバス・ケムバー「は、はい?そんな言い方・・・!」
ドレイク・ゴドウィン「何が違う?実際こんなものを買ってお前は興奮しているんじゃあないか?」
ドレイク・ゴドウィン「相手は一人の人間だというのに、配慮もリスペクトもなくただ欲のはけ口にするには丁度いいからなあ?言い返して来ないし」
ドレイク・ゴドウィン「そもこんな物を買う時点で、お前は自分の持つ欲によって生じる責任から逃げてるんじゃあないか」
ドレイク・ゴドウィン「─────だからモテないんだよ、オマエ」
ムンバス・ケムバー「・・・・・・!!!!」
ドレイク・ゴドウィン「お前みたいな奴がいると、学園の空気が悪くなるんだ」
ドレイク・ゴドウィン「田舎で米でも作ってろ、クズ男が」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・これは一部だけで、他にも似たようなイベントはある」
円井繁(マルイ・シゲル)「なんというか、脚本家の思想が透けて見えるよ・・・」

〇古いアパートの一室
円井繁(マルイ・シゲル)「ただこれ、当の女性ユーザーからは結構人気高いんだよな」
円井繁(マルイ・シゲル)「言ってもキャラは魅力あるし、こういう女性の共感に訴える内容はウケやすいのも解る」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・まあ、野郎の俺が納得いかない展開なのは、俺はノットフォーミーだったってワケで」
円井繁(マルイ・シゲル)「どっち道これはレビューは無しだな、うん。記憶の彼方へと封じよう」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・もう日曜か」
円井繁(マルイ・シゲル)「コンビニにラーメンでも買いに行くかな」

〇通学路
円井繁(マルイ・シゲル)(そろそろ肌寒くなってきたな・・・早く帰ろう)
円井繁(マルイ・シゲル)(そんで帰ったら別ゲーだ別ゲー、 今度はロボットアクションにしよう)
円井繁(マルイ・シゲル)(俺以外にも人いるんだ、珍し)
円井繁(マルイ・シゲル)(でも最近涼しくなってるにしても妙だな?なんだあの厚着は・・・)
???「・・・・・・」
???「・・・・・・・・・!!」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・へ?」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・・・・・・・は?」

〇黒
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・・・・ああいう事態になると、何もできないというのは本当らしい」
円井繁(マルイ・シゲル)「遅れて襲ってきた熱い感覚と強烈な痛みを認識するより早く、ヤツは追撃してきた」

〇通学路
???「・・・・・・ッハハハッ ・・・イヒヒヒッ・・・!!」

〇黒
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・本当にこういう、殺人が趣味みたいな人っているんだってのも初めて知ったよ」
円井繁(マルイ・シゲル)「悔しかったなあ。折角つまらない人生から逃げて、こういう小さな幸せでも感じられる人生を手に入れたのに」
円井繁(マルイ・シゲル)「その終わりが、これだなんてさ」
円井繁(マルイ・シゲル)「・・・・・・・・・」
円井繁(マルイ・シゲル)「もう痛みすら感じなくなり、俺の意識は強烈な眠気と寒さの中へと沈んでいった」
円井繁(マルイ・シゲル)「ああ、これが死ぬという事なんだな そう思った直後・・・・・・・・・」

〇可愛らしいホテルの一室
クリス・ライト「かはあっ・・・!!はっ・・・はあっ・・・」
ジユーシャ「やりました・・・やりましたよ奥様!! 元気な男の子です!!」

〇黒
「──────”おれ”の意識は途切れた」
  第1話「ある男のBAD END」

次のエピソード:第2話「NEW GAMEのはじまり」

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