十二話 オープンヘッドズ ①(脚本)
〇廃ビル
雷戸 啓「・・・」
雷戸 啓「これは・・・」
雷戸 啓「まずいかもしれない・・・」
雷戸 啓「なんだかわからないが朱人、最後に叫んでたな・・・」
雷戸 啓「扉がしまったと思ったら消える・・・」
雷戸 啓「まさか・・・」
雷戸 啓「ハイトの攻撃か!?」
雷戸 啓「だとするとそいつは・・・このお化け屋敷全体に取り憑くような形で俺たちに攻撃を仕掛けてきていると考えるのがいいだろう」
雷戸 啓「だとすると最初から分断されたのはかなり苦しい、しかも舞依さんにいたってはハイトなわけでもないんだ」
雷戸 啓(遊園地に遊びにきただけなのになんでこんなことになるんだよ!?)
〇古めかしい和室
白井 舞衣「・・・」
白井 舞衣「どういうこと?ここで何が起こっているの・・・」
白井 舞衣「これもこの前啓くんが言ってたハイトってやつの影響?」
白井 舞衣「どれだけ扉を開け進んでも一向に元の場所に戻れない・・・」
白井 舞衣「・・・とりあえずこういう時は下手に動かないほうがいい気がするし・・・この部屋で待ちましょう」
白井 舞衣「窓も超頑丈でまるで絶対に外には出さないぞと言われてる気分だわ・・・」
白井 舞衣「でも・・・なにか変なのよね・・・」
舞依は窓の外を覗いた
白井 舞衣「お化け屋敷の外にこんな場所あったかしら・・・」
白井 舞衣「というかこのお化け屋敷・・・部屋が明らかに多すぎる気がするわ・・・」
白井 舞衣「多分部屋と部屋を繋ぐ扉の行き先がぐちゃぐちゃになってるんだと思うんだけど・・・」
白井 舞衣「それにしたって部屋のバリエーションが多すぎる・・・実は幻影で同じような部屋を行き来しているとか?」
白井 舞衣「・・・とにかく今は待つしかないわね」
〇怪しい部屋
梅景 朱人「・・・」
梅景 朱人「この空間、」
梅景 朱人「『サーフウィップ』」
朱人の影が動き出した
梅景 朱人「お前と俺はここから別行動だ」
梅景 朱人(俺は『影』と居場所を共有できるからな)
梅景 朱人(座標さえ確認できればこのお化け屋敷)
梅景 朱人(いや、もうお化け屋敷かも怪しいこの場所がどういう構造なのかわかることができるかもしれない)
梅景 朱人「俺が先に扉を開けて行く、お前は扉が閉じたら進め」
影がゆらりと動く
ガチャ
梅景 朱人「じゃあお先、誰かいたら合図しろ」
扉が閉まる、そして影が扉を開き先の空間に進んでいく
〇廃ビル
雷戸 啓「・・・なんかこの廊下、おかしい」
雷戸 啓「さっきからおんなじところをずっとぐるぐる回ってる気がする」
雷戸 啓(やっぱり俺も部屋の中に入っていったほうがいいか・・・)
ギィィィィィィィィ
扉が開く音が響く
雷戸 啓「!?」
雷戸 啓「誰だ!!」
「・・・」
雷戸 啓(なんだこの気配・・・人間じゃあない!?)
オープンヘッドズ「キキキキキキキキキキキキ」
雷戸 啓「・・・」
雷戸 啓(気配・・・)
雷戸 啓(こいつからハイトの気配がする)
雷戸 啓(だけど・・・濃すぎるんだよ)
雷戸 啓(ハイトが使える人間って感じじゃないな)
雷戸 啓(もっと・・・ハイトそのもののような感じだ)
オープンヘッドズ「アアアアアアアアアアアアアア・・・」
啓に向かって手を伸ばしてきた
雷戸 啓「なんだ・・・お前」
その瞬間、腕がぐーーんと伸び、普通の人間なら絶対に届かないであろう距離にいる啓に向かって攻撃をしてきた
オープンヘッドズ「ギャァサキナス」
雷戸 啓「!?」
雷戸 啓(こいつ、射程が伸びた!?)
啓は右脇腹に攻撃をくらってしまった
オープンヘッドズ「オイデオイデ ナカニオイデ」
雷戸 啓「中?」
雷戸 啓「そんなこと言われて入るやつがいるか」
オープンヘッドズ「・・・」
オープンヘッドズ「ギギギギギギギギギギギギギギギギギ」
腕がどんどん伸びてくる
雷戸 啓「!?」
雷戸 啓「どこまでのびんだよ!!」
啓に腕が迫る。
啓は腕から逃げ走り出した
雷戸 啓(なかなか痛かったからな。もう食らいたくはないが・・・)
雷戸 啓(ずっと逃げ続けるわけにもいかないだろ!?)
〇殺風景な部屋
梅景 朱人「・・・こんな部屋もあるのか」
梅景 朱人「・・・」
梅景 朱人「あれから誰にも会えてないが・・・」
梅景 朱人(クソッ・・・影のほうもさっきからでたらめに場所が変わってく・・・)
梅景 朱人「はぁ、いったいどこまで続くんだ」
ガチャっと朱人が扉を開く
〇荒れたホテルの一室
梅景 朱人「!?」
梅景 朱人「誰だ!?」
???「・・・」
???「ここまでたどり着けたのか」
「君はそうとう」
岸田 克明「運がいいみたいだね」
梅景 朱人「・・・」
岸田 克明「おっと、自己紹介をしていなかったね、私の名前は岸田克明」
岸田 克明「そして私のハイトは「オープンヘッドズ」」
梅景 朱人「・・・扉を別の空間に繋げるハイトか」
梅景 朱人「錯乱には強いが、こうやって本体にたどり着ければ意味ないな」
岸田 克明「・・・」
岸田 克明「君はここにくるまでに何回扉を開けてきたかな?」
梅景 朱人「?」
梅景 朱人「20回かそこらじゃないか?」
岸田 克明「・・・」
岸田 克明「君は本当に運が良いみたいだ」
岸田 克明「能力を使うと、それなりに力を使ってしまいいつかはスタミナ切れになってしまうだろう」
岸田 克明「それなどんなハイトでも一緒だ」
岸田 克明「私を除いてだがな」
岸田 克明「私のオープンヘッドズはドアを開けた人間からパワーを頂戴する」
岸田 克明「ここまで20回ほど開けたらしいが、きっとそろそろ疲労を感じてきたころだろう」
梅景 朱人(なるほど、どうりでいつもより疲れやすいと思った)
岸田 克明「ちなみにこの空間には私のオープンヘッドズが生息しているのだが、その様子じゃ会っていないようだね」
梅景 朱人「?」
梅景 朱人「生息?どういうことだ」
岸田 克明「今の扉を20回ほど開けた君が私のハイトに出会っていたら、きっと勝ち目はなかっただろうからね」
岸田 克明「本当に運がいいやつだな」
岸田 克明「ところで、さっきから私の後ろで何をしているのかな」
梅景 朱人「!!」
梅景 朱人「サーフウィップ!!」
朱人は影を長話の間にここまで戻していたのだ!!
梅景 朱人(バレてたのか!?)
岸田 克明「私がこの空間で起きていることを把握できていないとでも?」
岸田 克明「さて」
岸田 克明「!?」
岸田 克明「・・・」
岸田 克明(まだ扉を一度も開けていないやつに出会ってしまったか)
岸田 克明(まあいい。今の私はこいつとあの女、そしてまだどこかにいるあのクソガキからパワーを吸いとっているからな)
岸田 克明「きっと私が勝つだろう」
梅景 朱人「クッ」