魔法戦士レッドローズ

Safaia

魔法戦士レッドローズ、参上! 前編(脚本)

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〇新橋駅前
ロボット怪人「ウォォォ・・・全テ壊レロ、壊レチマエ!!」
ロボット怪人「機械人形の素晴ラシサを共感デキヌニンゲンナンカニ、ワタシのキモチナド・・・!!」
  ロボット怪人はアームからガトリングを乱射し、標識や洋服店のショーケース
  に風穴を入れる。
レッドローズ「お願い止めて! これ以上は・・・」
ロボット怪人「五月蝿イ、お前コソ黙レ!!」
  ロボット怪人、左肩部分からミサイルを発射。
  レッドローズは跳躍して避けたが、ミサイルが着弾した箇所には噴水の如く水が噴き出した。
チーゴ「水道管に穴開けやがった。何て破壊力なんだ!?」
チーゴ「レッドローズ、こりゃ時間かけてる余裕はないみたいだぜ」
レッドローズ「・・・仕方ない・・・」
  レッドローズは苦虫を喰い潰したように顔をしかめながら歩道橋に着地。
  左手を強く握りしめ、体全体のエネルギーをその一点に集中させる。
ロボット怪人「膨大ナ熱量ヲ検知、ナニヲスルツモリダ?」
チーゴ「はっ、お前を止めるに決まっていようが!」
ロボット怪人「は?」
  ロボット怪人が首を傾げると、レッドローズに左拳の隙間から炎のようなものが漏れ出す。
  次の瞬間、レッドローズは歩道橋の手すりから勢い良く跳躍し、拳を振りかぶった。
レッドローズ「冷たいカラクリにまみえた哀れな心・・・今醒まさせてあげる」
レッドローズ「熱拳・レッドローズバーン!!」
ロボット怪人「グアアアァッ・・・・・・!!」
  突き出されたレッドローズの拳はロボット怪人のモノアイに命中。
  拳から放たれた火炎は渦となって機械の体を包み込んだ。
ロボット怪人「バタンキュー・・・」
  炎の渦がチリチリになって消えると、そこに現れたのは白髪の老人だった。
白髪の老人「あ、あれ? 私は一体?」
レッドローズ「大丈夫ですか、おじいさん」
白髪の老人「レッドローズ、何故貴方がここに?」
レッドローズ「心配しないで貴方の心は闇から浄化されました」
白髪の老人「・・・そうか、私は怪人になっていたのだな」
白髪の老人「ありがとう。せめてお礼だけでも」
  老人が顔を上げると、そこにレッドローズの姿は無かった。
白髪の老人「・・・あれ?」

〇モヤモヤ
  “怪人化現象”
   普通の人が突然心の闇に侵され、怪なる人と成る事象を指す。
  一度怪人に化けた人間は常軌を逸した戦闘力を誇り、下手な警察や自衛隊では刃が立たなくなる。
  そして残念なことに、人が何故怪人化するのかは解っていない。
  ――しかし、希望が無い訳ではない。
  闇に捉われた人間を唯一救い出す事が出来る唯一の存在。
  それこそは聖なる魂と魔法の力を持った最高の戦士、マジックヒーローの事である。

〇ビルの裏
レッドローズ「・・・」
  そして、彼らを慕うものは知る由も無いだろう。
  日々怪人に立ち向かい、某町の平和を守っている魔法戦士たちが
  普通の中学生であるという事を。
千咲 マナ「・・・はぁ」
チーゴ「お疲れ様、マナ。 今日も大活躍だったな?」
千咲 マナ「ありがとうチーゴ、気持ちは嬉しいけど」
チーゴ「けど?」
千咲 マナ「さっきの台詞、おじいさんに失礼じゃなかったかな?」
チーゴ「は?」
千咲 マナ「だってさっき私が『貴方の心の闇は浄化されましたよ』と言ったから、 おじいさんに怪人化した自覚を持たせちゃったじゃない?」
千咲 マナ「あそこでもし、『貴方のロボットに対する想いはきっと届きますよ』にしておけば、悲しませずに済んでいたかも?」
チーゴ「で、でもさ。あれは魔法戦士界でいう決め文句みたいなものだし」
チーゴ「それにおじいさんもお前に礼をしていたじゃないか」
千咲 マナ「ううん。あれはきっとその場しのぎの挨拶だよ」
千咲 マナ「きっと心の中では自分が怪人化した事を凄く落ち込んでいるんだと思う」
千咲 マナ「はぁ・・・私ってなんで何時もああなんでしょう?」
  マナは尻もちをつきながらへたれこみ、指先でアスファルトを擦り始めた。
チーゴ(あっちゃ、何時もの発作が始まった)
チーゴ(これさえ無けりゃ文句の付け所が無いんだよなぁ?)
チーゴ「・・・き、気にし過ぎだって。 それよりほら、こんな所でネガティブオーラを纏ってりゃ逆に目立つだろう?」
チーゴ「どこか落ち着けるとこ・・・近場の公園にでも行かないかい?」
千咲 マナ「公園・・・」
千咲 マナ「そうだね。ひょっとしたらなにか風向きが変わるかもしれない」
チーゴ「そそっ、何事も切り替えが肝心だからな! マナ」
チーゴ(よかった。どうにか路線を変えられたようだ)
チーゴ(ほんと、気が滅入る程の『お人よし』なんだよなぁ。コイツ)

〇広い公園
チーゴ「さて、公園に来てみたはいいが」
チーゴ「何をすればいいか考えてなかった」
千咲 マナ「取り敢えず草抜きでもする?」
チーゴ「なんでだよ! 他にもいろいろ選択肢はあるだろ?!」
千咲 マナ「だ、だよねぇ・・・ん!」
千咲 マナ「チーゴ、あれ見て!」
チーゴ「ん?」
れもん「お願い、写真返してよぉっ!」
不良1「五月蝿い! 俺たちに歯向かうのが悪いんだ」
不良2「そうだぞ。 それになんだこの女、こんな写真持ち歩いて何になるんだ?」
れもん「それは私のママなの! いいから返してよ!!」
不良1「やかましい、俺は怒ったら餓鬼でも容赦しねぇぞ!?」
千咲 マナ「ちょっとあんたたち」
「あ?」
千咲 マナ「幼気な子供相手に二人係なんて恥ずかしくないの?」
不良1「なんだと!?」
  刈り上げの不良は背後から現れたマナに対して拳を繰り出す。
  マナはそれを受け止めると、まるで渦を描くように受け流してやる。
不良1「のわっ!」
  刈り上げの不良は訳も分からないまま投げ飛ばされ、地面に背をつけてしまった。
不良2「あ、兄貴!? 大丈夫ですか?」
不良1「あ、あぁ・・・けどなんだ今のは?」
千咲 マナ「まだやるというのなら、例え子供の前でも容赦しませんよ」
不良1「くそぅ!」
  刈り上げの不良は持っていた写真を投げ飛ばすと、一目散にその場を走り去っていった。
不良2「あ、待ってください兄貴!!」
千咲 マナ「・・・ふぅ」
千咲 マナ「君、怪我は無い?」
れもん「うん」
千咲 マナ「そう」
千咲 マナ「美人なお母さんだね?」
れもん「そうなの、わたしの自慢のママ!!」
  二人は無邪気に笑顔を見せあった。

〇広い公園
  その後、二人は並んでブランコを漕ぎだしながら会話に花を咲かせていた。
千咲 マナ「へぇ、れもんちゃんは先月引っ越してきたばかりなんだ」
れもん「そうなの。ママの病気の為についていったの」
千咲 マナ「そうなんだ。お母さん思いだねぇ」
れもん「えへへ、それほどでも・・・」
チーゴ(出会ってまだ数分なのに、もうあそこまで打ち解けてやがる)
チーゴ(マナのお人よしさまの力なのか? ・・・それとも)
千咲 マナ「ところで、れもんちゃんは公園でなにをしていたの?」
れもん「別に、ママの写真を眺めながらあそこのベンチでじっとしてたの」
れもん「そしたらあの黒い服の人がいきなりそこを退けと言ってきて」
千咲 マナ「断ったら写真を盗られたと?」
千咲 マナ「そっか、それじゃああの人たちが悪いね」
れもん「・・・うん」
  マナはれもんの顔に暗い影が下りているのに気づいた。
千咲 マナ「どうかしたの?」
れもん「・・・ママ、もうすぐ家に帰って来るの」
れもん「辛かった病気が治ってね、明日戻って来るんだ」
千咲 マナ「そうなんだ。それは良かったね?」
  マナはここぞとばかりに笑顔を見せると、れもんの乗っているブランコがピタリと止まる。
千咲 マナ「れ、れもんちゃん?」
れもん「私ね、ママが入院している間はあまりママと会ってなかったの」
れもん「だからママが帰って来た時、どう触れ合ったらいいのか解らないの」
千咲 マナ「それで公園で一人思い悩んでいたらさっきの二人に絡まれたと」
  れもんは頷いた。
千咲 マナ「そうだったんだ・・・」
れもん「マナ。私はどうしたら良い? ママに会ったら何をしてあげたらいい?」
千咲 マナ「うーん・・・そうだなぁ」
  マナはブランコを止めて天を見上げた後、スッとれもんの方に顔を合わせる。
千咲 マナ「れもんちゃん、れもんちゃんってママは大好きかな?」
れもん「もちろん!」
千咲 マナ「そっか」
千咲 マナ「じゃあママが帰って来た時、いつもと様子が違ってたらどう思う?」
れもん「あまりいい気持ちにはならない」
千咲 マナ「そうだね」
千咲 マナ「きっとお母さんも同じ気持ちになるんじゃないかな?」
れもん「え?」
千咲 マナ「れもんちゃんのお母さんはありのままのれもんちゃんが好きなんだと思う」
千咲 マナ「だかられもんちゃんが変わろうとする必要は無いよ」
れもん「ほんとかな? マナがそう思ってるだけかもしれないよ」
千咲 マナ「信じてくれなくていいよ。私はただ思った事を言っただけさ」
れもん「それって無責任って言うんじゃないの?」
千咲 マナ「あはは」
れもん「・・・ま、一応お礼は言っとく」
千咲 マナ「ど、どういたしまして?」
  カー、カー
れもん「あ、そろそろ帰らないと」
千咲 マナ「途中まで送るよ?」
れもん「私の家わかるの?」
千咲 マナ「うっ、そう言えば」
れもん「全くもう・・・」
れもん「それじゃあマナ。私はもう行くね」
千咲 マナ「う、うん。・・・・・・バイバイれもんちゃん」
  れもんは手を振った後、一目散に公園を走り去って行った。

〇ゲームセンター
  一方その頃・・・。
不良1「チッ! むかつくぜ」
不良2「兄貴、その辺にした方が」
不良1「五月蠅い。俺は今虫の居所が」
不良1「あ」
機械音声「ざーんねん! また遊んでね?」
不良1「畜生、あと一歩だったてのに!」
不良2「そう言ってもう五回目っすよ。 そろそろ切り上げた方が・・・」
不良1「手前、何か言ったか?」
不良2「い、いえなんでもございません」
不良1(ちっ、なんだか釈然としねぇ)
不良1(公園の餓鬼といい、このクレーンといい。どうして俺の言うことに素直になれねぇんだ?)
不良1(餓鬼の後に来たあの女だってそうだ。俺をとことん見下しやがって・・・くそっ!)
機械音声「ざーんねん! また遊んでね?」
不良1「つーかこいつ全然落ちねぇじゃねぇか!? なにか細工でもしてあんのか?」
店員「お客様、本体を叩かないでください」
不良2「そうですよ兄貴、いい加減諦めて──」
不良1「黙れ!」
「ひっ!」
不良1「許さねぇ、誰も彼も俺を馬鹿にして・・・・・・」
不良怪人「ゼッタイニ許サネェェェ!!」
不良2「うわぁ、怪人化だぁぁ!」

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