ギラ・ラエティティア

隍沸喰(隍沸かゆ/おかゆ喰)

10話 約束(脚本)

ギラ・ラエティティア

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〇簡素な一人部屋
  俺は蘭龍をベッドの上に運んだ。
  俺を看病していた時に使っていたのだろう、傍にあったタオルを取り、汗を拭ってやる。
  蘭龍はずっと苦しそうにうなされている。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (俺が心配する必要はない・・・しばらくしたらおさまるだろ)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「・・・!」
  その時、蘭龍の手が俺の手を掴んだ。俺は戸惑いながらもその手をそっと握り返す。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「蘭龍・・・蘭龍、しっかりしろよ」
  蘭龍は苦しそうに眉間にしわを寄せるだけだ。
朴 蘭龍 バク ランリュウ「最上の・・・喜びを・・・」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「・・・・・・」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (どうしてこんなに苦しんでいるんだろう)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (苦しんでほしいとは言ったけど、本当に苦しむなんて・・・)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「蘭龍・・・ごめんな」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (きっと俺が苦しめばいいなんて言ったから、こんなことに・・・)
朴 蘭龍 バク ランリュウ「甲斐様・・・? どうして貴方が謝るんだ・・・」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「蘭龍、もう平気なのか?」
  どうやら蘭龍は目が覚めたようだ。でも気分は悪そうだ
朴 蘭龍 バク ランリュウ「平気じゃない。私の中でいらない感情が暴れてやがる・・・」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「いらない感情・・・?」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「・・・甲斐様、謝らなければならないのは私なんだろう?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「・・・・・・たとえ謝られたって、お前を許すことはできない・・・」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「・・・貴方に拒絶されると、正体不明の感情が私に攻撃してくるんだ」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「それで苦しんだのか?」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「ああ、とてもいやな気分だ・・・。薬を飲んでも喜びを得られないなんて初めてだ」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「・・・・・・お前はどうして喜びにこだわるんだ?」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「この世界には最上の喜びがある。そう信じているからだ」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (答えてはくれたけど・・・意味がわからない)
朴 蘭龍 バク ランリュウ「貴方を自由にしてやる。ここにいても貴方は喜びを得ることはできないんだろ?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「ああ」
  蘭龍は俺の手を握り、地下室から出て行こうとする。

〇家の階段
朴 蘭龍 バク ランリュウ「・・・・・・」
  階段を上がっている時、蘭龍が急に立ち止まる。
  まさか考えが変わったのか? 早く逃げなければ・・・っ!
  手を振り払おうとした時だった。
朴 蘭龍 バク ランリュウ「貴方とこうしていると・・・喜びを感じられる。どうしてだ?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「な・・・!」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (こいつは何を言ってるんだ!)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「急にそんなこと聞かれても・・・」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「貴方はここから出たら、私に会いに来てくれなくなるのか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (ここで会いに来ないと言ったら出してもらえなくなるかもしれない)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「約束する。たまになら会ってやるし、警察にもお前のことを言わない」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (こいつが警察に捕まったら、ギラ使用者たちを救える薬がもらえなくなるかもしれないし・・・)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (何よりこいつは警察も操れると言っていた。言っても無駄だろう・・・)
朴 蘭龍 バク ランリュウ「私を許してくれるのか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「許してほしいなら、お前の薬で苦しんでいる人たちを救ってくれ。お前ならできるんだろう?」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「それはなおす薬を世に出してほしいと言うお願いか? できないこともないが・・・」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「本当に許してくれるのか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「・・・・・・それは・・・わからない」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「許してもらえなくてもいい。私は貴方のために苦しんでいる人たちを救う」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (こいつを許せる日が来るならそれは、ギラで苦しむ人がいなくなって、こいつがそれ相応の罪を償った時だ)

〇黒
  蘭龍は俺を外に出し、俺の店まで送り届けた。

〇綺麗なダイニング
  俺は自分の部屋に着くと、すぐにスマホを確認した。
  アドレスに新しく追加された『朴蘭龍』という文字を見て複雑な気持ちになる。
  遠火に薬を渡して何かあったら大変だから、一応連絡先を聞き出しただけだ。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (もし掛けることがあっても、緊急の時だけだ)
  着信履歴がいっぱいになっている。全部王からだ。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (心配かけたみたいだな・・・)
  甲斐・・・! 無事だったのか、今までどこに行っていた!
  電話越しに必死な声が聞こえ、少し安心する。
  王に事情を伝えると、心配だから店まで来ると言う。

〇黒
  俺は王が来るまでの間、店の掃除をした。
  ベッドに数日いたせいで動きたい気分だった。

〇シックなバー
  数分後
  俺の店に、王がやって来た。外に付き人を待たせているらしい。
遠喜 王 エンキ オウ 「甲斐、その蘭龍とやらを本当に捕らえなくていいのか? ぼくの力ならそいつも檻に入れられる」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「まだその時じゃない。蘭龍は人々を救うと約束してくれた」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「きっとギラや他の薬を作ったり、誰かに売ったりすることもたぶんなくなる。薬は処分してくれるように頼むつもりだ」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「でも元を断ってもギラはまだ町に残ってる。俺たちはそれを回収して処分していこう」
遠喜 王 エンキ オウ 「わかった。・・・きみの親友のことはどうする? 許すつもりか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「・・・それはできない。やっぱり遠火にも償ってほしいんだ」

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