ギラ・ラエティティア

隍沸喰(隍沸かゆ/おかゆ喰)

9話 知らない感情(脚本)

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〇簡素な一人部屋
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (幸いスマホは奪われていないが、圏外だ。役に立たないだろう)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (でも出られた時誰かへ連絡することはできる。変な行動をして怪しまれないようにしないと・・・)
  そんなことを考えていたら、蘭龍が薬の乗ったトレイを持って階段を下りてきた。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (もう実験の時間らしい)
  蘭龍は気まぐれに食事や飲み物を運んできたり、実験をしてきたり、話をしに来たりする。
  朝は公園とあの胡散臭い建物に行っているのか滅多に降りて来ない。
朴 蘭龍 バク ランリュウ「そろそろ操られてもいいころなんだけどな・・・」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「いっかいいっかいなおすのはやめるか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「・・・! なおさなくたって俺はお前に操られたりしない!」
  なおしてもらえないと変な薬たちに依存してしまいそうだった
朴 蘭龍 バク ランリュウ「確かに・・・喜びを与えてもいやそうにしている。貴方はなかなか操れない」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「もう諦めてくれ」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「貴方は最上の喜びがいらないのか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「どうしてそこまで喜びにこだわるのか知らないけど・・・俺に喜びを与える必要はない」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「ちゃんと自分で見つけられるから・・・だからここから出してくれ」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「自分で見つけられる? 貴方が?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「お前だってできるだろ」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「ん? 私にそんなことはできないが?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「な、何を言って・・・」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「そんなことより、今日の実験を始めよう」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「ま、待ってくれ・・・! いやだ、もうやめてくれ・・・!」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「今まで喜びを与えて来たのにこのいやがりよう・・・どうしていやがるんだろう?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (こいつは頭がおかしい。こいつも人格崩壊を起こしているんじゃないのか!?)
  数時間後
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「はあ・・・はあ・・・」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「今日はここまでだ」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (体が熱い・・・頭が痛い・・・もうおかしくなりそうだ)
朴 蘭龍 バク ランリュウ「・・・・・・ いつもと様子が違う。どうした? 気分でも悪いのか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (こんなところに閉じ込められて・・・気分なんて悪くになるに決まってる)
  額に温かく包み込むような感触が触れる。目を開けると、蘭龍の手であることが分かった。
朴 蘭龍 バク ランリュウ「熱があるな。薬を持ってこよう」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「もう薬は見たくない・・・」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「安心しろ、ただの解熱剤だ」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (ああ・・・いつになったら俺は外に出られるんだろう・・・)
  ・・・・・・様、甲斐様。起きられるか?
  ゆっくりと首を振ると、蘭龍はヘッドボードに水と薬を置いて、抱き起こしてくれる。
  自分の肩にもたれ掛からせ、水と薬を取る。
  薬を片手で器用に開けて口に含ませようとしてくるが、口を開ける気力も出ない。
朴 蘭龍 バク ランリュウ「・・・仕方がないな」
  蘭龍は自分の口に薬と水を含み、俺の顎を掴んだ。
  俺は何をされるか分かって・・・
  俺は薬を飲むために目を瞑り、蘭龍の唇を受け入れる。
  俺が飲み込むと、蘭龍は唇を離した。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (そう言えば・・・初めて会った時も、こんなことされたな)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (なんで男なんかとキス・・・しかも口移し・・・)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「んむ・・・!」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (何してるんだ・・・? もう薬は飲んだはずじゃ・・・)
朴 蘭龍 バク ランリュウ「・・・・・・」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「・・・・・・」
  蘭龍の手が頭に乗せられ、優しく撫でられる。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「・・・?」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「目を瞑って眠れ」
  俺は蘭龍の手に心地良さを感じながら、ゆっくりと眠りについた。

〇黒
  次の日

〇簡素な一人部屋
  朝
  蘭龍はベッドにもたれ掛かりながら眠っていた。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (ずっとここで看病してくれていたらしい)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (少し頭が重い気がするが、ずいぶん楽になった)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「・・・・・・」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (それにしても・・・)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (俺はいつになったら外に出られるんだろう)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (父さんの敵を討つって決めていたのに・・・)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (ああ、でもその相手は遠火だったんだ)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (俺は遠火を助けると決めたけど・・・許すことはできていない)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (遠火を許してもいいのか・・・父さん)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ (父さんに会いたい・・・)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「う・・・っ、う・・・っ」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「・・・なぜ泣いている?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「そんなの、つらいからに決まってる・・・」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「喜びを与えているのに、どうしてつらいと思う?」
  蘭龍は心底不思議そうに聞いてくる。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「そんな偽りの喜びなんかいらない」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「偽りの・・・喜び・・・?」
  蘭龍はショックを受けたような顔をする。しばらくの間固まっていた。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「お前が・・・ギラを作ったのか?」
  数日一緒に過ごして、確信していた。
  俺はベッドに膝をつき、蘭龍につかみかかる。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「お前が俺の父さんを殺したギラを作ったのか・・・!!」
朴 蘭龍 バク ランリュウ「・・・!」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ 「お前が遠火を追い詰めたのか・・・!」

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