コンカフェ嬢の流儀1.5〜異世界から、もえもえてん〜

ぽんたろう

最終話『そして、開店へ』(脚本)

コンカフェ嬢の流儀1.5〜異世界から、もえもえてん〜

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〇ファンタジー世界

〇ファミリーレストランの店内
元勇者アルス「どうも」
「おかえりなさいませ、ご主人様」
魔王四天王サイトー「こちらのお席へどうぞ」
元勇者アルス「はい」
月「みなさん、とっても素晴らしいです」
フレン「あれだけ接客が出来れば キャストも安心ですね」
月「はい」
魔王「まさか、私が コンカフェのオーナーになるとはな」
フレン「本当だね」

〇メイド喫茶
  数日前の出来事
魔王「アイディアとは何だい?」
月「それは・・・・・・」
月「魔王城をコンカフェにしちゃいましょう」
「えっーー!?」
フレン「つまり、パパがコンカフェを 始めるっていうことですね」
月「はい」
月「悪いことができないなら 真面目に稼げばいいんです」
魔王「真面目に働く」
フレン「パパには無理でしょうね」
フレン「年齢、立場、プライドがありますから」
月「だったら、オーナーを やればいいじゃないですか」
魔王「オーナーか」
魔王「悪くない」
フレン「でも、まずはコンカフェについて知らないと」
魔王「確かに」
月「だったら、一度ご主人様として接客しますね」
フレン「じゃあ、一旦外に出て入ってきてね」
魔王「あ、ああ 分かった」
フレン「私はいつも通り裏に行くね」

〇闇の要塞
魔王「まあ、とりあえず、中に入ればいいんだな」
魔王「こんなことは初めてだな」

〇メイド喫茶
魔王「ど、どうも」
月「おかえりなさいませ ご主人様」
魔王「なんだ! この破壊力は!」
月「こちらの席へどうぞ」
魔王「あ、ああ」
月「お飲み物はいかがいたしますか?」
魔王「おすすめを頼む」
月「承知しました」
月「コンカフェは初めてですか?」
魔王「あ、ああ」
月「楽しんでいってくださいね」
魔王「あ、ありがとう」
魔王「そうか、店ではこういう風に 扱ってもらえるのか」
月「そうですよ」
魔王「なるほどな」
月「どうしました?」
魔王「いや、ちょっと過去を思い出していただけだ」
月「過去?」

〇中華料理店
  これは何百年も前の出来事だ
  あの頃の私は魔族といっても
  大した存在じゃなかった
  私の住んでいた地域では食糧難となり
  仕方なく人のいる町へ赴いた
魔王(幼少期)「こ、こんにちは」
店員「いらっしゃ・・・・・・」
店員「お前、魔族だな」
魔王(幼少期)「食べ物を売っていただけませんか?」
店員「魔族に売る食べ物なんかあるか!」
店員「出ていけ!」
魔王(幼少期)「そんなぁ」
  しかし、そこで待ち受けていたのは
  魔族への差別であった

〇怪しげな酒場
魔王(幼少期)「お願いします! お金ならあります!」
魔王(幼少期)「だから、食べ物を! そうしないと餓死してしまいます!」
酒場の店員「ふざけるな! 魔族ごときが図々しい!」
  どこへ行っても同じことの繰り返し

〇荒廃した市街地
魔王(幼少期)「なんでだ、なんでなんだ」
魔王(幼少期)「ただ食べ物を売ってほしかっただけなのに」
魔王(幼少期)「何も悪いことしてないのに 何でこんな仕打ちを受けないといけないんだ」
魔王(幼少期)「・・・・・・」
魔王(幼少期)「絶対に許さないぞ! 人間ども!」
  あのときから、私は人間を恨み
  魔王になるため死ぬ気で努力した
  もしも、あのとき
  私を受け入れてくれていたら
  人間をあれほど憎み、人間と争い
  勇者にボコられることもなかっただろう

〇メイド喫茶
月「そんなことがあったんですね」
魔王「・・・・・・」
魔王「私は作るぞ」
魔王「なに者であろうと 平等に楽しむことができるコンカフェを!」
月「素晴らしいと思います」
魔王「人間と敵対するのではなく 共存の道を選ぼう」
月「素敵です」
魔王「コンカフェを開くために 何が必要か教えてくれ」
月「はい」
  それから、魔王の職場体験が始まった

〇電器街
魔王「コンカフェふれてんです いかがですかー」
マイマイ「チラシを配るときは、もっと笑顔ですよ」
魔王「承知した」
マイマイ(ただの仮装に見えるから 誰も魔王だって思わないよね)

〇広い厨房
フレン「うちのお店では」
フレン「ご主人様とキャスト用のグラスは違うからね」
フレン「あとソフトドリンクにはストロー付けて アルコール系は付けないように」
魔王「分かった」

〇備品倉庫
あみーな「裏ではご主人様たちのお会計を担当します 閉店後はレジ締めして、売上の確認」
あみーな「あとは備品や商品の発注もいろいろあります」
魔王「なるほど、主に経理と雑用か」
あみーな「大事な役目ですよ」

〇メイド喫茶
あみーな「一通り覚えましたね」
魔王「ありがとう 皆さんのおかげだ」
魔王「感謝する」
月「いえいえ」
魔王「キャストはどうするか」
魔王「私はこの見た目だから あまり表には出ないほうがいいだろう」
月「適任が1人いるじゃないですか」
魔王「そういえば、いたな」
魔王「サイトー」
魔王四天王サイトー「何ですか?」
魔王「キャストとして働いてくれないか?」
魔王四天王サイトー「私が!?」
魔王「お前が頼りなんだ」
魔王四天王サイトー「仕方ありませんね」
魔王四天王サイトー(ふふふ これで魔王様に借りを作ったぞ)
月「あと2人ぐらいアテがあるなので 声をかけてみますね」
魔王「すまない」
魔王「とりあえず、キャストは確保できたか」
月「あとはお店ですね」

〇闇の要塞
あみーな「外観なんだけど さすがにここだと威圧感ありすぎるから 違うところがいいと思います」
あみーな「あと立地が不便すぎて人が来れませんね」
魔王「まあ、人間が 簡単に辿り着けないところに 作ったからね」
魔王「しかし、その通りだ この城のままでは人が寄りつかないだろう」
魔王「それに、今は、ふれてんが入ってるから 内装は変えられないしな」
月「だったら、お引越しです」
魔王「だったら、うってつけの場所がある」

〇ファンタジー世界
  現・魔王城
あみーな「これが今の魔王城?」
月「妖精さんに追い出されてから どこに行ったのかと思ってましたけど ここにあったんですね」
魔王「前の魔王城のイメージとは まったく違うだろ?」
魔王「だから、困ってたんだよ 下手に移動はできないしね」
あみーな「とってもメルヘンな感じですね」
魔王「恥ずかしいから おおやけにしたくなかったんだよ」
魔王「だって、威厳がないじゃないか」
あみーな「確かに」
月「でも、親近感と立地は素晴らしいです」

〇ファミリーレストランの店内
魔王「内装はこんな感じだな」
フレン「コンカフェっていうよりファミレスだけど 馴染みやすさはあるよね」
月「これで、お店は完成ですね」
フレン「あとはたくさん宣伝しましょう」

〇ヨーロッパの街並み
ファラ「明日オープンするコンカフェでーす」
元勇者アルス「へえ、コンカフェかぁ」
元勇者アルス「新しくオープンってどういうことだ? コンカフェって魔王城のことだろ?」
元勇者アルス「まあ、いいか、行ってみよう」
ミソラ「コンカフェ『マオー』でーす」
ミソラ「明日、オープンするので よろしくお願いしまーす」
兵士「へえ、新しい店がオープンするのか」
ミソラ「よろしくお願いします」
兵士「よし、行ってみるか」
ミソラ「お待ちしてまーす」

〇ファミリーレストランの店内
月「いよいよ、オープンですね」
フレン「あとはお客さんたちが来てくれるかだね」
月「きっと大丈夫です」
魔王「緊張するな」

〇ファミリーレストランの店内
魔王四天王サイトー「♪」
元勇者アルス「♫」
ミソラ「♪」
成金貴族イシー「♫」
ファラ「♪」
兵士「♫」

〇ファミリーレストランの店内
月「大盛況ですね」
フレン「はい」
フレン「魔族、人間なんて関係ありませんね」
魔王「最初はどうなるかと思ったが」
魔王「種族など関係ない理想の店だ」
月「魔王さんの顔が 一般の人に知られてなくて 良かったです」
フレン「いつも魔王城の奥にいて良かったね 勇者さんと一部の人以外に 知られてないもん」
月「ファラさんとミソラさんも 事情を説明したら 協力してくれましたからね」
魔王「勇者の娘よ、ありがとう」
月「いえいえ」
月「大変なのは、これからですよ」
魔王「ああ 困難も乗り越えてみせるさ」
月「それで、魔王さんにお願いがあるんですけど」
魔王「なんだい?」
魔王「私に出来ることなら 何でも協力させてくれ」

〇闇の要塞
魔王「本当にいいのか?」
魔王「確かに、私の魔力なら ふれてんを元に戻すのは可能だ」
月「お願いします」
月「寂しいですけど元に戻してください」
月「みなさんと一緒にいた時間は 楽しかったですけど」
月「やっぱり、お互い干渉するのは 良くない気がするんです」
魔王「その通りだな 我々は己の世界のみで生きるべきだ」
月「新しいご主人様たちが出来たのに お別れは寂しいですけどね」
魔王「確かにな」
魔王「あと、フレンちゃんはどうする?」
フレン「私はふれてんに残るつもり」
月「いいんですか?」
フレン「はい まだまだあっちの世界を楽しみたいので」
フレン「戻ろうと思えば、いつでも戻れますし」
フレン「だから、ごめんね。パパ」
魔王「気にするな。我が娘よ」
魔王「今度帰って来た時は驚くぐらい 店を大繁盛させとくからな」
フレン「楽しみにしとく」
魔王「では、店の中へ」
月「はい」

〇メイド喫茶
月「これで本当にお別れなんですね」
フレン「また行きたい時は私が連れて行きますから」
月「お願いします」
月「でも、何か忘れてる気がするんですよね」
フレン「偶然ですね、私もです」
フレン「でも、思い出せないってことは 大したことじゃないと思うんですよ」
月「だと、いいんですけど」

〇闇の要塞
魔王「行ってしまったか 少し寂しくなるな」
魔王「これから、頑張っていくか」
魔王「よし!」
魔王「店に戻って、みんなを手伝わないとな」

〇メイド喫茶
月「本当に異世界の皆さんと お別れしてしまったんですね」
あみーな「どうせだったら お別れ記念のイベントやっとけばよかった」
月「そうですね」
あみーな「だけど、何か忘れてる気がするんだよね」
月「フレンさんも言ってましたけど 何ですかね」
モンスター石井「こんにちは」
「おかえりなさい、石井さん」

〇闇の要塞
妖精さん(本物)「しもうた!」
妖精さん(本物)「ホストに貢いだら 婚活の資金無くなっちゃったから また働こうと思ったのに!」
妖精さん(本物)「置いていかれたぁぁ」
妖精さん(本物)「はよ、急がないと!」

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