エピソード5(脚本)
〇田舎駅のホーム
「ようこそ龍神村へ!」
〇田舎駅のホーム
奥谷百合「どうも」
山田「私が村長の山——」
「ナイスチューミーチュー」
奥谷百合「何このお爺ちゃん」
桃井繁蔵「わしは——」
桃井太郎「やめてよ、爺ちゃん!」
山田「私、龍神村村長の山——」
奥谷百合「あなた、こないだの?」
桃井太郎「はい」
奥谷百合「こないだのことは、本当に・・・」
桃井太郎「いえ、こちらこそ」
山田「ふん、どうせどうせわしなんか・・・」
奥谷百合「私、事情も知らずにごめんなさい」
桃井太郎「いえ、そんな」
奥谷百合「あなたのお爺ちゃん、そちら?」
桃井太郎「えっ」
桃井繁蔵「チュッ」
百合に向かって投げキッスする繁蔵。
桃井太郎「はい、すみません・・・」
田中次郎「おい、やめろじいさん!」
奥谷百合「という事は、ルミト君のお爺さん!」
「・・・・・・」
桃井太郎「どうしよう田中さん、爺ちゃんはルミト君のこと知らないよ」
田中次郎「そうか、しまった」
笑顔で繁蔵の元に近づく百合。
奥谷百合「初めまして、おじいさん。私——」
田中次郎「ちょっーと、いいかな!」
奥谷百合「なんでよ」
田中次郎「えっと、そのー・・・」
田中次郎「爺さんさ、娘が外人と結婚しちまって、更に可愛い孫まで連れて外国に帰りやがった。悔しいだろ、寂しいだろ?」
奥谷百合「・・・・・・」
奥谷百合「わかります、寂しかったでしょうね」
奥谷百合「分かりました、お爺さんの前でルミト君の話は禁句ですね?」
田中次郎「おっ、おう。 物分かり良いな、あんた」
桃井太郎「だ、大丈夫でしょうか、田中さん」
田中次郎「大丈夫だ、話はまとまった」
奥谷百合「お爺さん、行きましょう」
桃井繁蔵「へへっ」
繁蔵と腕を組んで歩いていく百合。
田中次郎「分かってんのかなぁ」
桃井太郎「爺ちゃんにも、話しておいた方が良さそうですね」
〇田舎駅の改札
大勢の村人たちが、改札を通り村へと戻っていく。
柴山幸之「よし、これで全員かな」
〇田舎駅の待合室
柴山幸之「ふうっ・・・」
窓越しに、黒い影が改札を通っていく。
柴山幸之「んっ? 今誰か通ったような」
小窓から顔を出して、改札の様子を確かめる柴山。
柴山幸之「・・・・・・」
柴山幸之「なんだ、気のせいか」
〇田舎の駅舎
奥谷百合「とりあえず・・・」
奥谷百合「一枚、っと・・・」
〇田舎の役場
〇古い施設の廊下
〇役場の会議室
佐々木「という訳で、過疎化の進む我が村って、人口の流出と観光客の増加が急務な訳でして」
桃井太郎「リリーさんのツイットナーにアップしていただければ、観光客の増加に繋がるのではないかと・・・」
奥谷百合「もちろん影響力はあるわよ」
奥谷百合「私が行ったカフェは、軒並み客数が増えているみたいだし」
「おー!」っと感嘆の声を上げる職員一同。
奥谷百合「ただし、今まで行ってきたのは、都内からちょっと足を伸ばしただけで行けるような所」
奥谷百合「つまり、こことは大違い」
「おー・・・」と落胆の声をあげる一同。
奥谷百合「こんな所まで——」
佐々木「こんな所?」
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