第4話『異世界探訪者』(脚本)
〇男の子の一人部屋
??「よし、勉強して」
??「良い大学に入るぞ」
〇名門の学校
??「これから、大学生だ。 ちゃんと勉強して一流企業に入るぞ」
〇オフィスのフロア
宮田「一流企業には入れた」
宮田「目標は叶えたはずなのに 何なんだ、この満たされない感じは」
〇殺風景な部屋
宮田「また、昔の夢か」
〇ヨーロッパの街並み
私の名前は宮田
最近、交通事故に遭い
異世界に転移してきた者だ
最初は信じられなかったものの
この世界の文化や人間を見て
本当の異世界だと信じるしかなかった
店長「ミヤータ!」
宮田「は、はい!」
店長「休憩中悪いけど、人手が足りなくなったから店手伝ってくれ!」
宮田「承知しました」
〇コンビニの雑誌コーナー
異世界に来ても金は必要だ
だから、私は働くことにした
運良く、気のいい本屋の店主に雇ってもらい
衣食住は確保することができた
しかし、ここで一つの疑問が生まれた
宮田「あのー」
店長「なに?」
宮田「これって、”同人誌”でいいんですよね?」
店長「そうだよ」
そう
この世界には
なぜか”同人誌”が存在するのだ
そして、私が働いている店こそ
”同人誌ショップ”なのだ
店長「いやー、本当に大盛況だよ すぐに仕入れても売り切れちゃうよ」
狂ってる
この世界は狂っている
同人誌がこの国グレーシアでは
ベストセラーとなり
他国に輸出までされているというのだ
行商人シーファ「仕入れに来ました」
宮田「いつもありがとうございます」
店長「毎度どーも」
宮田「用意しておきましたよ」
行商人シーファ「どうもです」
店長「今後とも、ごひいきに」
同人誌の存在感が上回りすぎて
”エルフ”という種族が目の前にきても
霞んでしまう
宮田「ちなみに、この同人誌」
宮田「誰が作ってるんでしたっけ?」
店長「遙か西にある新しい村で作られてるらしいよ」
店長「いやー、凄い器用な人たちもいたもんだ」
その村に一体何があるというのだろう
そこの住人に会えば
もしかしたら
元の世界に戻れるかもしれない
店長「そういえば、話によれば その村の人たちがちょうど この町に来てるらしいぞ」
宮田「本当ですか!?」
店長「ああ 一度会ってみたいものだな」
宮田「今日はそろそろ時間なので 上がらせてもらいます」
宮田(まさに好機 その村の住人に会うしかないだろう)
〇ヨーロッパの街並み
宮田「店を出てきたのはいいものの 全く当てがない」
宮田「この町の人口は数千人の上 旅人の往来も多い」
宮田「果たして見つけられるのか」
岩本「北川氏 そろそろ旅の支度を整えるでござる」
北川「どうしたんですか 岩本さん その話し方」
岩本「日本にいた頃が懐かしくてね」
北川「ハハハハ 確かに」
北川「もう2度と帰れませんけどね」
宮田「おった」
分かりやす過ぎる
絵に描いたようなオタクたちが
目の前にいたではないか
間違いない
宮田「彼らだ」
宮田「早く追いかけないと」
〇市場
宮田「確かこっちの方に来たはずだ」
村田「山田くん、出発の前に いろいろと画材を買い込んでおこう」
山田「そうだね」
村田「そのうち、アニメ作りにも手を出したいね」
山田「うん」
宮田「ここにもいた」
宮田「何人いるんだ」
宮田「追いかけよう」
〇西洋の市場
伊藤「そういえば、上杉さん 今度魔法教えてくださいよ」
上杉「いいわよ」
上杉「最初は難しいかもしれないけど 伊藤ちゃんなら、きっと出来るわ」
宮田(思いっきり、日本人の名前だ)
伊藤「ありがとうございます」
上杉「じゃあ、早速魔導書を買いに行きましょ」
宮田(なかなか真面目なんだな 見習わないとな)
伊藤「はい」
伊藤「今度の本は魔法女装少年同士のイチャラブを描いた作品の参考にしましょう」
上杉「いいわね。採用」
伊藤「今から妄想が捗ります」
上杉「そうと決まれば、早く行くわよ」
伊藤「はい!」
宮田「ここは乙女ロードかよ!」
宮田「しまった。冷静さを失っていた」
宮田「男の娘本が多いのは 彼女たちが原因だったのか」
宮田「この世界は本当にどうなっているんだ」
宮田「海外の観光地並みに日本人だらけじゃないか」
宮田「・・・・・・」
宮田「それにしても、羨ましいものだ」
宮田「おっと」
宮田「そうじゃなかったな 追いかけないと」
〇レトロ喫茶
北川「エルフの里行って、謝った後 どうするんだろうね」
山田「観光ですかね」
村田「歩くのは疲れるけど、楽しいですね」
北川「はじまりの村とラーヒユ村しか 行ったことなかったから新鮮だよね」
北川「ていうか、上杉さんの魔法で エルフの里にひとっ飛び出来ないのかな」
村田「確かに」
山田「魔法で元の世界に戻せるぐらいだからね」
〇レトロ喫茶
宮田「なんだと!?」
宮田「やはり、戻せることが出来るのか!?」
宮田「彼らを追ってきてよかった」
〇レトロ喫茶
山田「さっきから、メガネの人が こっちを見てきてませんか?」
北川「確かに」
村田「なんか用事があるんですかね」
宮田「すみません」
北川「は、はい」
山田「なんでしょう」
宮田「実は私、日本から来たものなんですが」
北川「日本から!?」
山田「まさか、異世界難民!?」
宮田「あ、いや、普通にこの街の本屋で働いてます」
「・・・・・・」
宮田「あなた方にお願いがあって参りました」
北川「あ、お願い?」
宮田「私を元の世界に戻してくれませんか?」
〇教会の控室
宮田「ここは!?」
いのうえ「あ、同人誌をここで描いてます」
宮田「ここでですか?」
岩本「あ、旅の途中でも描かないと 読者に申し訳ないですからね」
宮田「素晴らしい心持ちですね」
いのうえ「あ、いえいえ、そんなことないですよ」
北川「あ、宮田さん、すみません」
北川「あ、魔法使える人 まだ帰ってきてないみたいです」
宮田「そうですか」
宮田「では、お邪魔でなければ 待たせてもらっていいですか?」
宮田「同人誌作るのも見学したいですし」
岩本「あ、もちろん」
〇ダブルベッドの部屋
上杉「帰ってきたことだし、やりますか」
伊藤 「はい」
伊藤 「まずは、何を教えてくれるんですか?」
上杉「そうねぇ、まずは簡単な浮遊魔法なんて どうかしら?」
伊藤 「ぜひ、お願いします」
〇教会の控室
宮田「素晴らしい」
宮田「このようにしてマンガを描いていたんですね」
岩本「あ、はい」
宮田「勉強になります」
北川「あ、大袈裟ですよ」
岩本「あ、良かったら、 宮田さんも描いてみますか?」
宮田「私がですか?」
岩本「あ、教えますよ」
宮田「でも、私は素人ですし」
北川「あ、大丈夫ですよ」
北川「あ、俺も最初絵心なんてなかったですけど 教えてもらって上達しましたから」
宮田「では、ご教授お願いします」
〇ダブルベッドの部屋
伊藤 「やったー! 浮きました!」
上杉「筋いいじゃない」
伊藤 「次は何を教えてくれるんですか?」
上杉「浮遊の次は転移魔法なんてどうかしら?」
伊藤 「転移魔法?」
〇教会の控室
宮田「出来ました!」
宮田「どうでしょうか?」
北川「すご! 上手いじゃないですか!」
岩本「本当だ。凄いですね!」
岩本「絵とか描いてたんですか?」
宮田「あ、いや、たまに息抜きで落書きしてました」
〇男の子の一人部屋
宮田「勉強も疲れたな」
宮田「息抜きに絵でも描くかな」
宮田「上手く描けた」
宮田「絵を描くのは楽しいけど これで食べていくのは無理だろうな」
宮田「やっぱり、勉強だ」
〇オフィスのフロア
宮田「・・・・・・」
部下「部長、お先失礼します」
宮田「ああ、お疲れ様」
宮田「あと少しで資料が完成だ」
宮田「息抜きに絵を描くか」
宮田「ふっ、やっぱり、楽しいもんだな」
宮田「・・・・・・」
〇教会の控室
宮田「・・・・・・」
岩本「宮田さん、どうかしました?」
宮田「いや、楽しいなって思いましてね」
宮田「学生時代は勉強に明け暮れて ろくに青春なんて過ごしたことなかったんで」
北川「だったら、俺たちの村に来ませんか?」
宮田「えっ!?」
岩本「そうですよ」
岩本「同じ日本出身じゃないですか」
宮田「いいんですか?」
岩本「もちろん」
北川「嫌ですか?」
宮田「いえ、ぜひお願いします!」
〇ダブルベッドの部屋
上杉「じゃあ、やってみて」
伊藤 「はい」
伊藤 「てい!」
伊藤 「ん? 何も起きませんね」
上杉「なんで?」
〇教会の控室
宮田「みんなで、描くと楽しいですね」
北川「本当ですね」
岩本「頼もしい仲間が増えて嬉しいです」
宮田「これから、よろしくお願いします」
私はついに本当にやりたいことを
見つけた気がする
まさか、異世界で出会えるなんて
思いもしなかったが
岩本「じゃあ、次の即売会に向けて頑張ろう」
「おーー!」
宮田「なんだ? この光?」
岩本「まさか?」
宮田「ん?」
〇地球
「ん?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
〇病室
宮田「はっ!? ここは!?」
宮田「まさか、日本なのか?」
宮田「戻ってきたのか」
宮田「いや、夢か?」
看護師「宮田さん!?」
看護師「意識を取り戻したんですか!?」
宮田「は、はい」
看護師「すぐに先生を呼んできますね!」
そのあと医者の診察を受け
私は無事に退院を果たすことができた。
〇オフィスのフロア
部下「部長、無事退院できて おめでとうございます」
宮田「ありがとう」
部下「どうしました? 浮かない顔してますけど」
宮田「いや、そんなことないよ」
職場に復帰できたのはいいものの
なぜか、あの頃が懐かしいように感じる
〇屋上の隅
あれから、私は息抜きではなく
マンガを趣味で描くことにした
私のマンガ用SNSのアカウントのフォロワーは今では30万人に達している
宮田「清々しい気分だ」
部下「部長、新作読みましたよ」
部下「すげえ面白かったです」
宮田「ありがとう」
部下「次回も楽しみにしてますよ」
部下「『異世界同人作家問題』」
宮田「ああ」
〇教会の控室
岩本「せっかく、新しい仲間ができたと思ったのに」
北川「そうですよ。見込みあったのに」
伊藤 「すみませんでした」
上杉「ていうかさ」
上杉「何で、あんた達は帰れなかったのよ?」


