奇譚 0004 見知らぬ子供(脚本)
〇女の子の一人部屋
高校から帰ってきて自分の部屋に行くと見知らぬ子供がベッドの上で私の漫画を読んでいる。
わたし「ちょっと何してんの?」
聞いても子どもは何も答えない
小学校低学年とかもっと小さいかもしれない男の子だけど何だか怖くて私はとりあえず部屋を出る
〇飾りの多い玄関
ちょうど母親が帰ってきた
母親「ただいま〜」
わたし「ちょっとこっちきて!」
母親「どうしたの?」
〇女の子の一人部屋
母親に説明して私の部屋に一緒に行くとまだ男の子はベッドの上で寝転びながらジョジョリオンを読んでいる
母親「ああ、そうかそうか」
母親はそう言うだけで特に気にする様子も男の子を注意する様子もない
わたし「ちょっと誰なのこの子は?」
母親「いいのいいの、夕飯の支度しなきゃね〜」
わたし「どうなってるのよ?」
〇飾りの多い玄関
父親「ただいま」
わたし「ねぇお父さん!」
父親「どうした?」
父親が帰ってきても同じような反応で何かがおかしい
〇おしゃれなリビングダイニング
わたし「私が知らない弟がいたってこと?」
どう言うことなのか両親にいくら聞いてみても
父親「そんな気にする事もないだろう」
母親「そうよそうよ」
両親は本当に気にしていない感じだ
〇女の子の一人部屋
その日から男の子は一緒に生活するようになりご飯を一緒に食べて眠るときは私の部屋でベッドの横に布団を敷いて寝ている
学校には行っていなくて日中はずっと家でテレビを見たり本を読んだりしている
話しかけても何も答えないし何も言わないので最初は不気味だったけれどそのうち私も気にならなくなる
〇女の子の一人部屋
私の部屋で二人で黙って漫画を読んでいる時などはわりと安心感というか弟がいたらこんな感じという気がしてちょっと嬉しい
そして男の子は急速に成長し始める
ここ一週間くらいで背も伸びて私と同じかちょっとお兄さんくらいの美形に成長する
私は急に落ち着かない気分になる
無意識に彼の美しい横顔を眺めていると彼がこちらを見て微笑んだ
それで私は1発で恋に落ちた
わたし(私ってチョロい!)
〇女の子の一人部屋
その夜はドキドキして中々眠れずにいるとベッドの中に彼が入ってきて私のパジャマを脱がして交わる
少し怖かったけれど嬉しさの方が勝って私は彼の腕の中で安心して眠る
〇女の子の一人部屋
朝起きると彼はいなくなっていた
〇おしゃれなリビングダイニング
家のどこにもいない
わたし(出かけたのかな?)
それから彼が帰って来ることはなかった
両親も彼がいなくなったことを全く気にしていない
まるで最初からいなかったみたいだ
〇女の子の一人部屋
それから暫くして私の妊娠が判明する
間違いなく彼の子だ
〇おしゃれなリビングダイニング
ちょっと躊躇したが両親にこの事を話す
母親「あらあら」
父親「なるほどなるほど」
こんなそっけない反応だった
私は産むと決めている
学校を辞めて両親にもサポートしてもらって私は彼の子を産む
〇女の子の一人部屋
産まれたのは彼にそっくりな男の子だった
私は嬉しくて感動してこの子の為に生きていく事を決意した
〇女の子の一人部屋
私の息子は産まれてから1週間ほどで急激に成長した
最初の彼に会った時くらいに成長した
そしていなくなった
私は自分でつけたはずの息子の名前を呼ぼうとして絶句した
息子の名前が思い出せない
〇おしゃれなリビングダイニング
父親「おやおや」
母親「あらあら」
両親に話しても何も気にしていない
私は訳がわからなかった
何かが狂っていた
〇女の子の一人部屋
私は悲しくて名前のわからない彼と名前の思い出せない息子の事を思って毎日泣いている