〇エレベーターの中
　　同じマンションに住んでいて小学校のクラスも同じ奴ら３人でよく遊んでいた
　　10階にあるケンの家でゲームしようということになってエレベーターに乗った
ユウキ「10階ゲームしようぜ！」
　　そう言ってユウキが５階のボタンを押した
　　10階ゲームとは最近俺らの中で流行ってるエレベーターの階ボタンをそれぞれ押して10階を最後に押したやつが負けというものだ
　　最初の人は５階のボタンを押す
　　次の人は５階に着く前に押さなければいけない
　　もうすでに着いた階のボタンは押せない
　　マルバツゲームみたいな感じもあるけれど
　　エレベーターの上昇するタイミングを見ながらどの階のボタンを押すかという駆け引きによってゲームの勝敗は左右される。
ケン「今日はちょっとルール変えようぜ！」
　　そう言いながらケンが１階のボタンを押した
　　もう着いてる下の階のボタンも押して良いというルールだった
俺（それだとどうなるんだろう？）
　　わからないけど面白そうだったので俺たちはやってみることにした
　　最初にユウキが５階を押した
　　２階に来たあたりでケンが１階を押して
　　３階に来たあたりで俺が４階を押して
　　４階に到着してユウキが３階を押す
　　５階まで来たらケンが４階を押す
　　そこからは下の階しか押されていないのでエレベーターは下へ降りていく
　　４階に着く前に俺は９階を押して３階でユウキが８階、２階でケンが７階、１階で俺が６階を押す
俺「これだとずっと勝負つかないじゃね？」
ケン「おやつ食いたい！」
ユウキ「ケンがルール急に変えたからだろ！」
ユウキ「それじゃあ、ここからは１人２回以上押すルールな！」
　　そう言って２階に着いた段階でユウキが543と押した
ケン「んだよ！ずりーよ!!」
　　その段階で１階と10階しか押せないのでケンの負けが確定
　　ケンが１階と10階のボタンを押して扉が閉まった

〇マンションの共用廊下
　　扉が閉まる瞬間、外に自分たち３人の姿が見えた
　　なぜかこちらをみて笑っている様に見えた

〇エレベーターの中
俺（なんだ？ エレベーターの外に鏡なんてなかったよな・・・）
　　扉が閉まるとエレベーターが大きく揺れた

〇エレベーターの中
　　え？と思っているとエレベーターが止まった

〇エレベーターの中
俺「え？なに？壊れた？」
ケン「俺らのせいか？」
ユウキ「そんなわけないっしょ」
俺「ボタン押しただけだしなぁ・・・」
ケン「地震？」
ユウキ「そんな感じでもなかったけど・・・」
　　階数表示は81になっていた
　　81階なんてないからこれはやっぱり故障だろう。しばらく待ってみたが動く気配はない
ケン「べー、怒られる」
ユウキ「だーから俺らのせいじゃないって！」
俺「でもどうするよ？このまま動かなかったら？」
ケン「しゃーない。これで助け呼ぶしかないか」
　　そう言ってケンが電話の受話器のマークがついた「ひじょう」と書かれたボタンを押した
俺（躊躇なくそのボタンを押せるケンってちょっとすごいな・・・）

〇エレベーターの中
「あじゃきらいけろどそばしけ」
　　エレベーターのスピーカーから意味のわからない言葉で誰かがつぶやていているのが聞こえてきた
　　おばあさんの様でもおじいさんの様でもあった

〇エレベーターの中
　　どこかからか鐘の音が聞こえて、エレベーター内が暗くなった
　　周りが何も見えなくなってエレベーターが動き出す
俺「わぁぁぁぁぁ!!!」
　　怖すぎて思わず叫んでしゃがんだ

〇エレベーターの中
　　気がつくとエレベーターの電気がついていた
俺「あれ？」
　　二人の姿がなかった
　　エレベーターは10階に着いた

〇マンションの共用廊下
俺（何で二人はいないんだ？）
俺（先に降りた？）
俺（でもいつ？）
　　とりあえず10階にあるケンの部屋に行ってみた
　　表札がついていない
　　インターフォンを押しても誰も出てこない
　　ユウキの家がある５階に行ってみた
　　怖いので階段で行った
　　同じ様に誰もいない
俺「何で何で何で何で?????」
　　急いで自分の家がある１階に降りた
　　扉を開けると

〇おしゃれなキッチン（物無し）
母「あら？おかえり」
　　お母さんがいつも通り夕飯の支度をしているのを見て泣きそうになった
俺「お母さん！ケンとユウキがいなくなっちゃったんだよ！」
母「ん？誰のこと？」
俺「え？ケンとユウキだよ？同じマンションに昔から住んでるし何回もうちに来てるじゃん？」
母「さぁ、覚えがないけど、それより買い忘れた物があるからちょっと留守番しててね？」
　　そう言ってお母さんは外へ出て行った
俺「どういうことだ？」
　　ぐらぐらと地面が揺れている様な感じだ
　　気分が悪くなって洗面台にいく

〇白いバスルーム
　　鏡を見ると自分の顔が自分じゃない様な気がした
　　なぜか鏡の中の顔は笑っていた