ペルソナの微笑

鳳条

第12話(脚本)

ペルソナの微笑

鳳条

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〇教室
  数日後───
  ───放課後、3年A組
凛「───よーし、日誌おーわりっ!」
凛「付き合わせてごめんね 香穂ちゃん、美月ちゃん」
美月「全然いいのよ、凛ちゃん」
香穂「私たちのときも手伝ってくれるもんね」
凛「えへへ、ありがとう〜」
  少しの沈黙の後、凛がふと口を開く。
凛「・・・でもさ、なんか・・・ いろいろあったね、本当に・・・」
「・・・・・・・・・」
凛「立て続けに亡くなるなんてさ・・・ なんでなんだろうね・・・」
凛「なんか、怖くなっちゃうよ────」
美月「───不幸が重なってしまっただけよ」
美月「もうきっと、誰かが死ぬことはないわ」
美月「誰も死なない・・・大丈夫よ」
凛「・・・? 美月ちゃん・・・?」
美月「・・・・・・」

〇美術室
  その後───
  ───美術室
香穂「・・・ねえ、凛ちゃん」
香穂「さっきの美月ちゃん、どうしたんだろうね」
凛「ああ・・・『誰も死なないから大丈夫』って」
凛「なんか、口調がいつもの美月ちゃんっぽくなかった気もするし」
凛「やけに険しい顔してたからびっくりしちゃったよ────」
結衣「───凛ちゃん、香穂ちゃん、お疲れ様」
「結衣ちゃん・・・!」
結衣「・・・ごめんね、来るのが遅くなって」
凛「全然大丈夫だよ!」
香穂「私たちも今来たばかりだから」
結衣「・・・あの、二人とも・・・」
結衣「市村さんのこと・・・聞いた・・・?」
凛「・・・うん、聞いたよ」
香穂「私たちもびっくりして・・・」
結衣「・・・・・・」
結衣「・・・ねえ、二人はどう思う・・・?」
結衣「来栖さんも、市村さんも・・・ 本当に、自殺だと思う・・・?」
香穂「・・・え・・・?」
凛「それ、どういう意味・・・?」
結衣「・・・あのね、最近・・・噂が流れてるの」
結衣「”これは、松山楓ちゃんの呪いだ”・・・って」
凛「・・・え・・・? 楓ちゃんの・・・?」
香穂「・・・楓ちゃんってたしか、美術部の・・・」
結衣「そう・・・1年生の冬に、自殺しちゃった子なんだけど・・・」
凛「・・・なんで? なんで楓ちゃんが、あの二人を呪うの?」
結衣「・・・私も、最初は分からなくて・・・」
結衣「・・・噂の発端は、多分・・・ 三浦さんだったと思うの・・・」
香穂「三浦さん・・・?」
凛「食堂で、市村さんに詰め寄られてた・・・?」
結衣「うん・・・ 三浦さん、市村さんが亡くなったって聞いて」
結衣「『あんなやつ死んで当然だ』って・・・ 教室で、急に笑い出して・・・」
香穂「わ、笑い出した・・・?」
結衣「うん・・・三浦さん、去年から市村さんに嫌がらせされてて・・・」
結衣「教室で悪口言われたり・・・ 荷物隠されたり・・・」
結衣「先生には言わないでって・・・ 我慢出来るってずっと言ってたけど・・・」
結衣「・・・それでも、やっぱり・・・ 辛かったんだろうなって・・・」
結衣「『解放された』って言ってたから・・・」
香穂「・・・・・・・・・」
凛「・・・で、なんで三浦さんが発端なの?」
結衣「・・・その時にね、三浦さんが・・・ こんなこと言ってたの・・・」

〇教室
一花「───あはは・・・そうだ、思い出した」
一花「松山さんも、こんな気持ちだったのかな?」
一花「もしかしたら・・・ 松山さんが呪い殺したのかもね─────」

〇美術室
結衣「───そこから、どんどん噂が広がっていったみたいなの・・・」
結衣「誰かが・・・”あの二人にいじめられてた楓ちゃんが、復讐のために呪ったんだ”って」
凛「・・・いじめられてた・・・? 楓ちゃんが・・・?」
凛「それ、本当なの・・・?」
結衣「・・・私も分からない でも、そういう噂は確かにあって・・・」
香穂「・・・楓ちゃんから、いじめられてるって話を聞いたことはあったの・・・?」
凛「・・・ううん、ないよ・・・ 教室に会いに行っても普通だったし・・・」
凛「部活中も、そんな話一度も────」
凛「───・・・あ、ちょっと待って・・・」
凛「・・・・・・・・・」
結衣「・・・? どうしたの、凛ちゃん・・・」
凛「・・・思い出した 楓ちゃんが亡くなる前・・・」
凛「楓ちゃん・・・急に成績が落ちたらしくて」
凛「頑張って勉強して学年1位を取ってたのに ・・・急に、10位以内にすら入らなくなって」
凛「私、楓ちゃんと話したの覚えてる────」

〇広い廊下
  二年前───
凛「───あれ?珍しい 楓ちゃんが学年1位じゃないなんて」
楓「・・・あー、ほんとだ・・・ やっぱりだめだったかぁ・・・」
凛「どうしたの?なにかあった?」
楓「・・・ううん 特に何かあったわけじゃないんだけど」
楓「最近暑いせいか、あんまり勉強に身が入らないんだよねー」
楓「次頑張るよ、あはは・・・────」

〇美術室
凛「でも・・・結局その後のテストも思うような結果が出せなくて」
凛「ちゃんと勉強してるのかって、久保田に怒られて落ち込んでたよ・・・」
香穂「・・・そうだったんだ・・・」
凛「・・・でも、これってさ」
凛「似てない?─────結衣ちゃんと」
香穂「・・・え・・・」
結衣「・・・うん、私も同じこと考えてた」
結衣「もし、楓ちゃんの成績が落ちたのが───」
結衣「───来栖さんの、嫌がらせのせいなら」
香穂「・・・・・・!」
凛「・・・考えられなくはないよね」
凛「1年生の最初の頃は、ずっと来栖さんが1位だったから・・・」
凛「それを楓ちゃんに取られて、嫌がらせした ・・・ってことはあるよね」
結衣「・・・実はね、市村さんが楓ちゃんのこと嫌いだったって話も、誰かがしてて・・・」
結衣「それが本当なら・・・ もしかしたら、市村さんが楓ちゃんに・・・」
凛「・・・三浦さんにしてることと、同じようなことをしてた可能性はあるよね」
香穂「・・・じゃあ、楓ちゃんは・・・」
香穂「いじめが原因で・・・自殺・・・?」
凛「・・・でもね、楓ちゃんが亡くなったとき」
凛「学校も調査して・・・いじめはなかったって」
凛「楓ちゃんの遺書にも、いじめに関係するようなことは書いてなかったみたいで・・・」
凛「成績が落ちて、悩んだ末の自殺だって・・・ みんなそう思ったの」
結衣「・・・でも、もしかしたら本当に・・・」
結衣「いじめは、あったのかも・・・」
結衣「私たちが、気付かなかっただけで・・・ 知らなかった、だけで・・・」
凛「・・・・・・・・・」
香穂「・・・・・・・・・」
凛「・・・でも、さ」
凛「もし本当にいじめられてたなら・・・ 私たちに話してくれたんじゃないかな」
凛「私、いじめられてるなんて話、楓ちゃんから聞いたことなかったよ」
凛「・・・だから、考えすぎかも」
凛「噂があるってだけで・・・ 全部判断しちゃいけない気がするよ」
香穂「・・・凛ちゃん」
結衣「・・・・・・」

〇広い廊下
  その頃───
小野「────浅川先生」
浅川「・・・あら、小野先生」
小野「・・・すみません、少し聞きたいことが」
浅川「聞きたいこと?なんでしょうか?」
小野「・・・覚えてますか、一年半前のこと」
浅川「一年半前?・・・ああ」
浅川「ええ、それはもちろん・・・覚えてますが」
浅川「あの時のことが、何か・・・?」
小野「・・・あの時」
小野「”彼女”は本当に、大丈夫だったんですよね?」
浅川「・・・? どういう意味でしょう・・・?」

〇広い廊下
小野「───あれからどうですか、彼女の様子は」
浅川「ええ、問題ないですよ」
浅川「私がきちんと解決しましたから もう大丈夫です────」

〇広い廊下
小野「───あの言葉は、本当だったんですよね?」
浅川「ええ、もちろん」
浅川「大丈夫でしたよ、何も問題ありませんでした」
浅川「あのときのことは、解決済みですよ」
小野「・・・・・・」
小野「・・・そうですか、ありがとうございます」
浅川「いきなりそんなこと聞くなんて 一体どうしたんですか、小野先生」
浅川「・・・まあ、今3年生の間で起きていることを考えれば、思い出すのも無理はないですが」
小野「・・・無関係だと、思いますか」
小野「あのときと、今起きていることと」
浅川「ええ、無関係だと思いますよ ・・・悲しい偶然が続いてしまったんです」
浅川「気にするのはやめましょう、小野先生」
小野「・・・・・・・・・」
浅川「それじゃ、私は失礼します」
小野「ええ・・・ありがとうございました」

次のエピソード:第13話

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