ペルソナの微笑

鳳条

第13話(脚本)

ペルソナの微笑

鳳条

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〇おしゃれな食堂
  数日後────
  ───食堂
美月「───今日の日替わりランチはカレーなのね ふふ、美味しいわ」
香穂「ほんとだ、美味しそう〜!」
香穂「私は、今日はきつねうどんにしたんだ」
香穂「凛ちゃんは何にしたの?」
凛「・・・・・・」
香穂「・・・? 凛ちゃん・・・?」
凛「・・・・・・」
美月「ねえ、凛ちゃん!」
凛「へ!? あ、なに・・・!?」
香穂「どうしたの?ぼーっとしちゃって・・・」
美月「具合でも悪いの?」
凛「あ・・・ ごめんごめん、聞いてなかった・・・」
凛「具合が悪いとかではないから大丈夫!」
美月「・・・凛ちゃん、最近様子が変よ?」
美月「話しかけてもどこか上の空だし・・・ 表情もいつもより暗い気がするわ」
美月「何か悩んでるの・・・?」
凛「・・・うーん・・・」
凛「悩んでる・・・っていうか・・・」
  凛は少し周囲を気にするように辺りを見回したあと、小さな声で話し始めた。
凛「・・・香穂ちゃん、覚えてる? この前、部室で結衣ちゃんが話してたこと」
香穂「・・・うん、覚えてるよ」
凛「・・・あの話が、ずっと引っかかってて」
凛「考えないようにしようと思っても、頭から離れないっていうか・・・」
美月「それって・・・どんな話だったの?」
凛「・・・あのね」
凛「一昨年亡くなった・・・松山楓ちゃん」
凛「あの子が、来栖さんと市村さんを呪い殺したんじゃないかっていう話」
美月「松山、楓ちゃん・・・が?」
美月「呪い殺すって・・・なんでそんな」
凛「B組の三浦さんが、そう言ったんだって」
凛「で、もしかしたら楓ちゃんは・・・ あの二人にいじめられてたんじゃないかって」
凛「いじめを苦に、自殺したんじゃないかって」
凛「・・・そんな可能性も、なくはないって、この前同じ部活の子が話してたんだ」
美月「でも松山さんが亡くなったとき、いじめがあったなんて話は聞かなかったわ」
美月「調査の結果も、勉強が上手くいかなくなったことに悩んで自殺してしまったんだろうって」
美月「私たちはそう聞かされたし・・・」
香穂「・・・それって、どこまで本当なのかな」
香穂「もしかしたら、結衣ちゃんが言ってたように 目に見えないところで・・・」
香穂「・・・いじめって、あったのかも」
香穂「いじめていた側が、正直に『いじめてました』って言うとも思えないし・・・」
凛「・・・香穂ちゃんも、そう思うの?」
香穂「・・・うん」
香穂「・・・私ね、自分も昔、いじめられてたんだ」
香穂「小学生の頃だけどね・・・ 誰も助けてくれなくて」
香穂「先生に相談したけど・・・ 先生たちは、大事にしたくなかったみたいで」
香穂「軽く流されちゃって・・・ いじめがあったことも、認めてくれなくて」
香穂「・・・だからね、いじめって・・・ そこにあっても、隠されちゃうんだと思う」
香穂「みんな、巻き込まれたくないし、責任を問われたくない・・・だからなかったことにする」
香穂「・・・そういうものだと思うんだ」
美月「・・・香穂ちゃん・・・」
凛「・・・私もね、結衣ちゃんから話を聞いた時は、考えすぎだって思ったけど」
凛「でも、ゆっくり一人で考えてみたら ・・・ありえない話じゃないなって思って」
凛「もしかしたら楓ちゃんは、誰にも相談できずに一人で悩んでたのかも・・・」
凛「だって、誰かに相談するのだってさ ・・・勇気が、いるよね・・・香穂ちゃん」
香穂「・・・うん」
凛「だからさ、もしかしたら本当に ・・・呪い、なのかもしれない」
凛「楓ちゃんが、自分をいじめていた相手に 復讐しようとして────」
美月「───やめてよ、呪いなんて」
美月「そんなもの、あるわけないわ」
凛「・・・え・・・?」
香穂「美月、ちゃん・・・?」
美月「もしかしたら、来栖さんや市村さん、松山さんとの間には何かあったのかもしれないわ」
美月「でもそれは、私たちが憶測で決めていいことじゃないと思うの」
美月「・・・松山さんに対しても失礼だと思うわ」
「・・・・・・・・・」
美月「・・・それに、大丈夫よ 呪いなんてものは存在しないんだから」
美月「亡くなった人が、生きてる人間をどうにかするなんて、科学的にありえない」
美月「・・・不幸が重なってしまっただけよ」
凛「・・・そっか・・・そうだよね・・・」
美月「・・・あ」
美月「ごめんなさい、ついキツく言ってしまって」
香穂「・・・ううん、大丈夫」
香穂「憶測で決めるべきじゃないっていうのは その通りだと思うし・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
  暫く三人は沈黙してしまう。
美月「・・・ごめんなさい、すっかり暗い雰囲気にしてしまったわ」
美月「・・・とりあえず、食べましょうか 昼休みも終わってしまうし」
凛「・・・うん、そうだね」

〇教室
  ───3年B組
小野「───問題、解き終わったか?」
小野「指名で答えてもらうぞ ・・・それじゃあ・・・」
小野「・・・佐々木、答えてくれ」
生徒「先生、佐々木さんは欠席です」
小野「ああ・・・そうだったか、すまない」
小野「そうか・・・今日も欠席か、佐々木は」
生徒「・・・市村さんが亡くなった日に早退してから、一度も来てなくない?佐々木さん・・・」
生徒「よっぽど具合悪くなっちゃったのかな・・・」
生徒「いつもパシリみたいに使われてたけど・・・やっぱり亡くなったのはショックなんだね」
小野「来られるようになるといいんだが・・・」
小野「・・・他の皆も、心身に不調があればすぐに言うように」
小野「くれぐれも無理はしないこと 誰でもいいから、頼りなさい・・・いいな」
小野「じゃあ、この問題は解説してしまうが──」

〇教室
  授業後───
生徒「───ねえ、そういえばさ」
生徒「来栖さんと市村さんが亡くなったのって ・・・本当に呪いなの?」
生徒「そんな噂あるよねー あれって本当なのかな?」
生徒「市村さんが、松山さんのこといじめてるのを見たことあるって人がいるみたいだよ」
生徒「来栖さんも一緒になってやってたって」
生徒「でもさー、松山さんが自殺したのっていじめが原因なんだっけ?」
生徒「そんな話聞かなかったけどねー」
生徒「私も当時のことはあんまり覚えてないから よく分かんないけどさ」
生徒「でも、本当に松山さんの呪いならさ ・・・今もどこかにいるかもよ、彼女の幽霊」
生徒「次は誰を呪ってやろうかって・・・」
生徒「ちょっとやめてよ! 私そういうのマジ無理なんだから!」
生徒「まあ、次に呪われるとしたら・・・ 佐々木さんかなー?」
生徒「市村といつも一緒にいたし ・・・現に今、学校来れてないし」
生徒「もしかしたら、松山さんの幽霊が見えちゃってて学校来れないのかもね」
生徒「んー、呪いって可能性もあるけど もしくはー・・・」
生徒「一人寂しく学校で死んじゃった松山さんが、友達を連れて行こうとしてるだけとか・・・」
生徒「だとしたら、誰が連れて行かれてもおかしくないよねー」
生徒「ほんとにやめてよ!怖いって!────」
結衣「・・・・・・・・・」
葵「・・・噂、どんどん広がってくね」
結衣「・・・うん・・・」
「・・・・・・・・・」
一花「・・・・・・・・・」

〇可愛い部屋
  その頃───
  ───桃の部屋
桃「──────」
  桃はベッドに横になり、眠っていた。
桃「・・・んん・・・────」

〇黒
???「──────・・・・して・・・・・・」
???「─────・・・どうして・・・」
???「・・・ねぇ、どうして────」
???「────私を、裏切ったの・・・?」

〇可愛い部屋
桃「──────ッ──────!!!!」
  跳ね起きた桃は、全身にぐっしょりと汗をかいていた。
  その顔には、あまり眠れていないのか、クマが目立つ。
桃「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
桃「・・・・・・・・・・・・・・・」
桃「・・・・・・やっぱり、私が・・・・・・」
桃「・・・・・・私の、せいで・・・・・・」
桃「・・・・・・ッ・・・・・・」

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