こんな店員は嫌だ

三玉亞実

個性たっぷりの店員でお迎えします(脚本)

こんな店員は嫌だ

三玉亞実

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〇ハチ公前
男「はぁ、緊張するなぁ・・・」
男「今日は待ちに待ったデートの日。 生まれてはじめて女の子と遊べるなんて夢のようだ!」
男「それもこれもこのマッチングアプリのおかげ・・・あぁ、まだかなぁ!」

〇ハチ公前
  〜8時間後〜
男「・・・遅いな」
男「場所間違えたかな?渋谷で合ってるはずだけど・・・」
男「待ち続けていたら喉が渇き過ぎて死にそうだ。 えぇと、この近くにコンビニは・・・」

〇店の入口
男「おっ、こんな所にカフェが。新しくできた奴かな?」
男「メニューも外観も普通だけど入ってみよう!」

〇カフェのレジ
男「・・・あれ?誰もいない」
男「すみませ〜ん!誰かいませんか〜?」
  ???「はい」
男「へ?!何ですか、その格好?!」
こふぃえ「これですか? ・・・普段着ですが?」
男「中華の王様みたいな格好が普段着なわけないでしょうが!  そもそも普段着で働くな!」
こふぃえ「あ、申し遅れました〜! 私 、新人の” こふぃえ”と申します! よろしゅう!」
男「話聞けよ」
こふぃえ「あの、お客様、そんなに叫ばれますと他のお客様のご迷惑となりますので、お静かに・・・」
男「あ、すみません・・・」
こふぃえ「まぁ、誰もいないんですけどね!」
男「いないんかい!  じゃぁ、何で静かにしろと言ったんだ!」
こふぃえ「そんな事よりご注文どうぞ」
男「何で急に冷たくなったんだ。えっと・・・ ん?」
男「あの、すみません」
こふぃえ「はい」
男「カウンターの上に見慣れない物が置いてあるんですが・・・」
こふぃえ「え?」
こふぃえ「ああ、これですか?メニューですけど」
男「いやいや、コックリさんでしょ」
こふぃえ「こ・・・こっくり?」
男「知らないんですか?10円玉を置いて、コックリさんコックリさんって呼んで知りたい事を教えてもらうっていうやつ」
こふぃえ「いや、知ってますけど」
男「え?あれ?違った? ・・・なんか、すみません」
こふぃえ「いえいえ、たまにお客さんによく言われるんですよ〜! これ、コックリさんだろって!」
男「ああ、そうなんですか」
こふぃえ「中には本当に10円玉を置いてやるお客さんもいて〜!」
男「ははは!」
こふぃえ「で、なぜだが知らないですけどお客さんが燃えて黒焦げになっちゃったんですよ〜!」
男「・・・え?」
こふぃえ「その後もこのメニューを使う度に死人や怪我人が多発しちゃって誰も来なくなっちゃったんです〜!」
男「ゴリゴリの本物じゃねえか! 早くしまってください!」
こふぃえ「え?何でですか?」
男「呪われるからでしょうが! これとは別のものないんですか?」
こふぃえ「ああ、ありますよ」
男「あるんかい!だったら出してよ!」
こふぃえ「ええ、可愛いイラストだと思ったんだけどな」
男「鳥居しかないじゃん。 そもそも持ってて何ともないんですか?」
こふぃえ「いえ、全然。むしろお通じが良くなります」
男「どういうシステムしてんだ。 えっと、アイスコーヒーで・・・ん? あの、すみません。これ、ドリンクのサイズですか?」
こふぃえ「はい!飲み物のサイズは大きい方から順に『Y(ワイ)Y(ワイ)W(ダブル)A(エー)』となりますが・・・」
男「Y(ワイ)Y(ワイ)W(ダブル)A(エー)』?  『S(エス)M(エム)L(エル)』じゃなくて?」
こふぃえ「はい!当店では『S(スモール)M(ミィディアム)L(ラージ)』ではなく、」
こふぃえ「『Y(よし)Y(よろし)W(わろし)A(あし)』を採用しておりまして、小さくなればなるほど作り方が雑になっていきます!」
男「飲食店で一番やっちゃいけないでしょ、それ!」
こふぃえ「何にします?」
男「えっと・・・ 『Y(よし)』はどんな感じなの?」
こふぃえ「サイズは二メートル。料金は五千万円です!」
男「デカすぎるし高すぎる! そんなに飲めないし払えないわ!」
男「じゃぁ、『Y(よろし)』は?」
こふぃえ「後ろにあるバカでっかい機械にボタンを押し、そこからじょわーとコーヒーが漏れるのでこぼさないようにコップに入れて渡します」
男「言い方が嫌だな。 でも、普段見かけているようなやつで安心した。 じゃぁ、それで!」
こふぃえ「ありがとうございます! では、今から向かい側にあるコンビニに行って買ってきますね!」
男「何でカフェで頼んでいるのにコンビニのコーヒーを味合わなければならないんだよ!」
こふぃえ「コンビニのコーヒーのうまさをなめるな!」
男「じゃぁ、ここで働くな!」
こふぃえ「お嫌いのようなので、『W(わろし)』にします!」
男「勝手に決めるなよ。 下から二番目だからもしかしてインスタントコーヒーか?」
こふぃえ「いや、当店のコーヒーです」
男「もっと自信持てよ」
こふぃえ「いや、ここのコーヒーは・・・う〜ん・・・」
男「なんか飲みたくなくなってきた・・・ ちなみに『A(あし)』ってどんな感じなの?」
こふぃえ「誰かの飲み残しです」
男「聞かなきゃよかった」
こふぃえ「お客様は先ほどから迷惑をかけているので強制的に『A(あし)』にしますね!」
男「何でだよ! ああ、もう!いい加減にしてくれ!」
男「ちょっとだけ立ち寄るつもりだったのに何でこんな目にあわなくちゃいけないんだ!  大事な日なのに!」
こふぃえ「何かご予定ですか?」
男「あぁ、今日は彼女とデートの待ち合わせをしてるんだ!」
こふぃえ「あ!それで思い出した! 私もデートの約束してたんだ!」
男「・・・もしかして、マッチングアプリですか?」
こふぃえ「え?何で分かったんですか?」
男「・・・ちなみにお相手の名前って」
こふぃえ「確か・・・” にゃんにゃん”でしたっけ」
男「なんてこった。 初めてデートする相手がこいつだったとは・・・」
こふぃえ「あ!そうだったんですね!」
こふぃえ「う〜ん・・・性格が悪そうなのでお断りします」
男「こっちからも願い下げだわ!」
  〜完〜

コメント

  • 会話がすっごくおもしろいですね!
    勢いがよくて、ぐいぐい読めてしまいます!笑
    コーヒーの種類が笑えました。笑
    でも、まさかこの人がマッチングアプリの相手だとは思わなかったです!

  • とってもテンポのいい2人の掛け合いに終始笑わせてもらいました。特に最後までダレないボケのテンションに引きつけられました。

  • ボケとツッコミがとても面白かったです!笑
    しかしマッチングアプリの相手がこの人とは…。
    会う前までの会話は違和感なかったということか?!

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