金の斧、銀の斧、それともワタシ(脚本)
〇睡蓮の花園
勇者「なんだよ戦士、急に呼び出して」
戦士「悪いな」
魔法使い「ホントだぞ、全くだ、迷惑だ」
魔法使い「罰として、その辺のミミズでも食ってろ」
戦士「お前は、呼んでない」
魔法使い「なんだと!!」
魔法使い「お前ら二人だと気まずいだろうと思って 来てやったのに」
魔法使い「反省して、その泉で泳いでろ」
魔法使い「デヘヘェ、もちろん服を脱いでな」
勇者「で、用件はなんだ」
戦士「伝説の剣を貸してくれ」
勇者「伝説の剣?良いけど」
勇者「あれ、お前の剣はどうしたんだ?」
戦士「湖の中だ その、盗まれちまってな」
魔法使い「仕方ねーな、このドジっ子め」
魔法使い「取り返すのを手伝ってやる」
勇者「それで、剣をどうするんだ?」
戦士「まず伝説の剣を、湖に投げ入れる」
勇者「水底に沈んでいったぞ 大丈夫なのか?」
戦士「このまま少し待て そうしたらヤツが出て来る」
泉の女神「あなたが落としたのは金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?」
勇者「正直に答えると 金の斧と銀の斧もくれるイベントか──」
戦士「俺が落としたのは そんな価値の低いモノじゃない!!」
戦士「伝説の剣だ!!」
魔法使い「嘘をつかせようと思ったら もっとマシなものを持ってこーい」
泉の女神「えっ、あの・・・金と銀ですよ」
魔法使い「そんなもん、お金を出せば買えるんだよ」
魔法使い「ウチらが落としたのは非売品の伝説の剣」
魔法使い「こいつは、どこへ行ったって買えないぞ!!」
魔法使い「正直以前に、価値のない物と交換させようなんて酷くない?」
魔法使い「詐欺じゃん!!」
勇者「魔法使い、そこまで言わなくても」
泉の女神「でも、ここには 他になにもないですし・・・」
勇者「あぁ良いんですよ、女神様」
勇者「伝説の剣と、戦士が落とした剣を 返してくれたら十分ですから」
泉の女神「いえ、落とした物以上に価値あるものを 提示でき無ければ設定を破ってしまいます」
泉の女神「これでは私も納得できません」
戦士「さすが、真実を愛する女神さま その心意気に入ったぜぇ」
戦士「じゃあ、最初からだ」
戦士「おっと、伝説の剣が手から滑って 湖の中に落ちてしまった」
戦士「あーどうしよう」
泉の女神「どうしましたか旅の者」
勇者「えっと、うっかりと言うか故意というか 伝説の剣を湖に落としてしまって」
泉の女神「それはこの金の斧ですか? それとも銀の斧?」
泉の女神「あと、あの・・・その・・・」
泉の女神「それともア、タ、シ?」
魔法使い「凄い自信だよ、この女神様!!」
魔法使い「自分なら伝説の剣にも 勝る存在だって言ってるよ!」
戦士「勿論、女神さ──」
勇者「伝説の剣です」
勇者「それと可能であれば 彼が落とした剣も返して欲しい」
勇者「他には何もいりません」
魔法使い「えっ、そこは貰っとこうよ お金になるんだし」
泉の女神「貴方は正直ものですね 全部差し上げましょう」
勇者「伝説の剣、確かに返して頂きました」
戦士「おぉ、俺の剣も戻って来たぜ」
魔法使い「えへへ、金の斧に銀の斧 お金がザクザクだぁー」
勇者「ありがとうございました この恩は忘れません」
泉の女神「まだ・・・残ってますわよ はい・・・」
勇者「はい?」
泉の女神「ほら、私」
勇者「えっと、どうしたら良いんですか?」
泉の女神「私も差し上げるリストに入ってました」
泉の女神「この激迷い間違いナシの選択でも アナタは正直に、伝説の剣を選んだ」
魔法使い「伝説の剣に見劣りする存在ってだけだって」
戦士「違うに決まっているだろうが!!」
戦士「うおっー女神様!! 一生、お仕えします!!」
泉の女神「嘘つきは嫌いです」
泉の女神「そこらへんの土を掘って 自分を埋葬する準備でもしていてください」
勇者「冗談ですよね」
泉の女神「私は真実を愛する女神」
泉の女神「その口から出た言葉を違えるような マネはしません」
泉の女神「相手の欲を刺激し、それでもなお 真実を愛するかどうか見たかった」
泉の女神「今回は代償が大きすぎて 私もラインナップに入りましたけど」
泉の女神「それでも貴方は私に誘惑されなかった」
泉の女神「私、貴方になら貰われても良い」
勇者「貰えるものが大きすぎますって 僕じゃ抱えきれませんよ」
泉の女神「大丈夫、こうみえて以外に軽いから」
勇者「そういうことじゃないですよ!!」
魔法使い「貰えるものは貰っておけば良いんだぜ 勇者さま」
戦士「ズルいぞ、勇者 その女神は俺が先に狙っていたのに」
戦士「横取りするとは何事だ!!」
泉の女神「嘘つきで野蛮な人は嫌い」
泉の女神「あの人から守って勇者さま!!」
勇者「仮にも仲間なんだから こんなこと止めないか」
魔法使い「色恋は熱い友情も 冒し狂わせる魔性の毒蛾」
魔法使い「さてさて女神を掛けた戦いは どちらに微笑むのか!!」
勇者「勝手に煽らないでくれる!?」
魔法使い「やだ楽しそうなんだもん」
戦士「うおおおおぉぉぉぉ、行くぞ勇者!!」
魔法使い「あ、湖に落ちた」
男神「そなたが落としたのは 金と銀の斧のどちらかな?」
魔法使い「きゃー――イケオジ!! もちろん金の斧です!!」
男神「嘘つきめ、貴様になにもあげんし 返すつもりもない」
魔法使い「ねぇ、勇者さまー 伝説の剣、貸して欲しいなぁ」
勇者「もう一体、増やすつもりかよ!!」
ちょいちょい辛辣な物言い目立って笑いました🤣🤣
声劇用ならではのさっぱりなボリュームだから、その場のテンションとか抑揚とかで上手く盛り上げられたり、コメントでコミュニケーション取りやすそうで良い題材だと思いました👏
魔法使いの「ミミズでも食ってろ」に不覚にも吹いてしまいました🤣
戦士は邪な心で、勇者は正しい心!
泉の女神は自らを選択肢に身を置く姿勢に、なんだか敬意を払いたくなりました✨
一方で戦士が泉にドボンし、男神が現れて腹筋崩壊しそうになりました😂面白いです!
戦士の行方はいかに…!?