2話 ネオン街の王(脚本)
〇黒背景
まずは・・・・・・店で働いて情報を集めよう
〇シックなバー
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「いらっしゃいませ」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「久しぶりだな」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「遠火、どうして?」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「店に客が来たらダメなのか? お前の様子が気になってさ」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「・・・ありがとな」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(様子か。遠火には、復讐するために情報を集めてるなんて言いにくいな)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(それに・・・お客さんたちに話を聞いてみたけど、父さんの言っていた常連さんがまだ誰なのか分からない)
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「どうかしたか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「お前が来た日、父さんが常連さんと会ってただろ? その人が怪しいと思ってるんだけど・・・」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「犯人探しでもしてるのか? やめとけ、顔を突っ込むな」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「犯人が捕まらないと父さんが浮かばれないだろ。出禁にするだけだから」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「・・・・・・」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「遠火は顔を見てないか?」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「どうしても知りたいのか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「知ってるのか!?」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「はあ・・・そう身を乗り出すな」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「あいつはネオン街の王の付き人だな。連れて歩いてたのを見たことがある」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「ネオン街の王?」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「お前そんなことも知らないでネオン街に住んでるのか? 心配だな」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「ネオン街の王は・・・いや、関わらない方がいい。諦めろ」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「そう思うならどうして教えてくれたんだ?」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「・・・出禁にするんだろ。ここにそいつが来たらすぐに追い出せよ」
遠火は俺に背を向け、出口へと向かう。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「帰るのか?」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「ああ。仕事中だからな」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「そうか」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(俺も店じまいして町で情報を集めてみよう)
〇黒
〇センター街
ネオン街
ギラ売買者の情報がたくさん集まった。それにくわえ、ネオン街の王の名前も何回か出た。
でもネオン街の王については決まって誰も教えてくれない。詳しく知らないと言う人も多かった。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(ネオン街の王について、もう少し情報を集めてみよう・・・・・・)
そう思った時だった。
通りの奥が騒がしくなる。
若い男「王だ! 王が来たぞ!」
女性「王! 私も付き人にして!」
若い男「身のほどを知れ! 王! こんな奴じゃなく俺を付き人に!」
半狂乱となった人ごみにどんどん流される。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「お、おい・・・! うわ!」
俺は通行人に体当たりされ、王と呼ばれている人の前に倒れ込んでしまった。
遠喜 王 エンキ オウ 「・・・・・・」
顔を上げると、自分を見下ろす男がいた。その顔立ちの美しさに、つい、うっとりと眺めてしまう。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(この人がネオン街の王・・・)
王の付き人「王の道を塞ぐとは、貴様・・・!」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「・・・・・・っ!」
付き人に殴られそうになり、ぎゅっと目を瞑る。
目を開けると付き人の方が地面に倒れ込んでいた。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(な、何が起こってるんだ?)
遠喜 王 エンキ オウ 「勝手に動くな」
王の付き人「も、申し訳ありません!」
どうやら王が付き人を蹴ったらしい。
王は俺の目の前にしゃがみこみ、顔を覗き込んで来る。
遠喜 王 エンキ オウ 「いいな。きみ。ぼくのハーレムに入る気はないか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「は?」
王の付き人「お、王! なんでそんな奴を!」
人ごみからも文句と悲鳴が上がる。
遠喜 王 エンキ オウ 「黙れ。次ぼくの話を遮ったら殺す」
王の付き人「も、申し訳ありません!」
遠喜 王 エンキ オウ 「どうだ?」
王の長い指が俺の顎を撫でた。その瞬間、全身に悪寒が走る。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「い、いえ、結構です!」
後ずされば、王は目を見開いて固まった。
王のハーレムに入れるのに断るなんてありえない!
私だったら即入るわ!
今まで断った奴いるか!?
ネオン街のざわつきは最高潮に達している。
王の付き人「お、王・・・?」
王の付き人「ショックで固まっていらっしゃる・・・」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(ギラ売買者の情報を集めている時、この人の名前も何回か出た)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(このチャンスを逃していいとは思わない)
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「ハーレムは嫌だけど、二人きりで話がしたい」
二人きりですって!?
ハーレムを断ったのは、俺一人を愛せ的な意味だったのか!?
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(やめろ、どんな誤解だ)
なんてやろうだ! やっちまえ!
遠喜 王 エンキ オウ 「待て」
お、王・・・?
遠喜 王 エンキ オウ 「きみの話を聞く。二人きりで」
〇黒
〇繁華な通り
〇ホストクラブのVIPルーム
王の車の中
付き人は外で待っているようだ。
遠喜 王 エンキ オウ 「それで? 話ってなんだ?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「ギラ売買者の話を聞いて回っていたら、お前の名前が出た。ネオン街の王ってどういう意味だ」
遠喜 王 エンキ オウ 「きみ、知らないのか?」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「だから聞いてる」
遠喜 王 エンキ オウ 「きみがハーレムになると約束してくれたら話す」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「そのハーレムってのもよく分かんないんだけど・・・・・・」
遠喜 王 エンキ オウ 「今、教えてやってもいい」
王の顔が急に近づく。仰け反って避ければ、スプリングが軋んだ。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「それ以上顔を近づけるな!」
遠喜 王 エンキ オウ 「選べ、ぼくのハーレムの一人になるか、ぼくのことを知らずにいるか」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「俺はそんな変なのになる気はない!」
遠喜 王 エンキ オウ 「へ、変なの・・・だと・・・」
遠喜 王 エンキ オウ 「きみの了承なんてそもそもいらない。ぼくの決定は絶対だ」
王がゆらりと動く。
〇繁華な通り
ただならぬ何かを感じ取り、俺は車を飛び出していた。
王の付き人「待て!」
王が俺に手を伸ばした時だった・・・
遠喜 王 エンキ オウ 「────ッ!!」
王が横から伸びてきた誰かの拳を避ける。
王の付き人「貴様、王に手を上げるとは何者だ!」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「うるせえ・・・! 王だのなんだの言ってんのはてめえらだけなんだよ!」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「大丈夫か、甲斐!」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「遠火!」
遠火は俺をかばうように立っていたが、俺の腕をつかんで走り出した。
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「逃げるぞ!」
「ま、待て・・・!」
〇黒
〇ビルの裏通り
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「はぁ・・・はぁ・・・」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「ったく、王には関わるなって言ったろ」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「う、うん、ごめん」
「おい、あれって、弥里屋じゃないか?」
「見間違いじゃね? 仕事中だろ?」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「・・・・・・!」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「知り合いか?」
弥里屋 遠火 ヤリヤ トオカ「仕事仲間だ。じゃあ俺は行くわ。気を付けて帰れよ」
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ「あ、ああ」
遠火は仕事仲間だと言うガラの悪そうな男たちと去っていった。
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(散々な目にあったし、帰るか・・・)
喜びの女神よ、我々に祝福を・・・
錦織 甲斐 ニシキオリ カイ(なんだ?)


