エピソード3(脚本)
〇お化け屋敷
カリナ「ここね。どこに幽霊が出たの?」
シュン「四角い窓アル」
カリナ「どこ?あ、あれか。正面からは横の丸い窓しか見えない」
カリナ「シュンねえの友だちも、角度的な理由で見えなかったのでは?」
その時。窓のカーテンがふわりと揺れて
真っ暗な部屋に、虚ろな雰囲気をまとった幼女がぼんやりと浮かんだ。
シュン「出たー!」
〇モヤモヤ
ケイコ「おーい!幽霊ー!」
リナ「無反応だね」
タナカ「にゃー!」
ケイコ「タナカ?」
ケイコ「ちょっと!法螺貝で爪研ぎすんなよ!」
ケイコ「何?これで祓えってことか?」
違う!音を出すのだ!
リナ「タナカって意外と過激派だよね~」
察しの悪い人間どもめ!
ケイコ「とりあえず吹いとくか」
カリナ「こっちに気付いた!」
その時。ふと後ろを見ると、そこに
おもちゃ屋で出会った老人が立っていた。
〇お化け屋敷
シュン「出たあ!コレジャナイお化けネー!」
ケイコ「コラ!失礼なことを言うんじゃない!」
リナ「私たち食べても美味しくないです!」
本当にアホな家族だ。
ケイコ「突然押しかけてすみません。さっき気付いたんだけど、あの子・・・」
ケイコ「目が見えないのでは?」
〇壁
老人は悲しげにうなずいた。
ケイコ「法螺貝の大きな音でようやくこっちを見たけど、私たちとは目が合わなかったからな」
老人は1ヶ月前、とあるトンネルの崩落事故で息子夫婦を亡くした。
家族旅行中の不幸な事故だった。
リナ「その交通事故、ニュースで見た。確か‥お子さんだけが生き残ったんですよね‥」
唯一生き残った孫娘。だが女の子は、その事故で視力を失った。
シュン「この屋敷の近くに大きな大学病院ある。確かそこに有名な眼科医オルネ」
カリナ「その病院にお孫さんを通わせるために、この屋敷に引っ越してきたのね」
妻は数年前に他界。孫娘の家族は、この老人しかいなかった。
孫娘に笑ってほしくて、病院の帰り道に見つけたオモチャ屋に通い詰めた。
目が見えない孫娘は、一体何を喜ぶのか。老人にはサッパリ分からない。だが
他人と言葉をかわす気にはなれなかった。
老人は、傷付いていた。家族の突然の死。そして孫娘を襲う不幸が‥辛かった。
リナ「もし良かったら、明日もう一度あのお店に行きませんか?お孫さんも一緒に」
リナ「「これじゃない」って悩まずに、お孫さんに直接、選んでもらいましょ!」
〇ヨーロッパの街並み
翌日。
老人たちと共にウッデントイズを訪れた。
ケイコ「木の香りに癒される~!手触りもいいな!」
カリナ「ねえ、この木製のパズルとかどう?」
シュン「動物の形をしたおもちゃも良いアル!手触りで何の動物か当てるネ!」
リナ「お孫さん、すっごく楽しそう」
孫の笑顔を久し振りに見た。
そう言って老人は、静かに涙を流した。
リナ「目が見えなくても楽しめること。これからたくさん見つかりますように」
リナ「そしていつか、お孫さんの目に光が戻りますように」
結果的に切ないお話でしたね!!
カゲクイという妖怪も切ないですね!
面白い設定なので、そういった妖怪が活躍する話も読んでみたいものです😮
読了しました。
「これじゃない……」と商品を買わずに立ち去るおじいさんは、目が見えない孫娘へのプレゼントで悩んでいたのですね。
万引き犯じゃなくて良かった。