好きの在処

夏名果純

第16話 本当の想い(脚本)

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〇通学路
  7月17日(水)
  翌朝になっても、花奈はまだぼんやりしていた。
水杉花奈(修司と付き合おうと決めた過去の自分と、謙弥のことが気になってる今の自分・・・)
水杉花奈「あっ!」
  通学途中、謙弥とバッタリ会った。
川崎謙弥「よ、よう・・・」
水杉花奈「うん・・・」
  謙弥と顔を合わせても、昨日の抱きしめられた一件があって、妙にぎくしゃくしてしまう。

〇階段の踊り場
川崎謙弥「もう、花奈を悲しい目に遭わせたらいけねぇのにな」
川崎謙弥「俺が守らないといけねぇのに・・・」
水杉花奈「謙弥・・・大丈夫だから。ね、もう放して?」
川崎謙弥「嫌だ」
水杉花奈「・・・っ」

〇通学路
水杉花奈(なんだか、謙弥の顔を見るのが恥ずかしい・・・)
川崎謙弥「・・・・・・」
  それは謙弥も同じようで、2人肩を並べたままなんとなく黙って登校したのだった。

〇田舎の学校
  今日は夏休み前に行われる、球技大会の日だった。今年はドッジボール大会だ。しかし──
松木明日香「あー、もう信じられない!  一回戦で即行負けるなんて!」
水杉花奈「本当に速かったよね。 相手のクラスが強かったのと──」
松木明日香「うちのクラスが弱すぎたのと!」
  初戦敗退で手持ち無沙汰になった花奈と明日香は、しばらくグラウンドの隅でだべっていた。けれど、その途中。
松木明日香「あれ? あっちで戦ってるのって、謙弥くんのクラスと修司くんのクラスじゃない?」
水杉花奈「・・・あ、本当だ」
松木明日香「ほら、見に行こっ!」
  明日香に手を引っ張られて、花奈は2人の戦うコートへと近づいていった。

〇田舎の学校
  グラウンドの隅、コンクリートが階段状になっている観客席に花奈と明日香は並んで腰かける。
松木明日香「謙弥くんも修司くんも頑張れー!」
  花奈たちの他にもギャラリーがいて、応援席はそこそこ盛り上がっていた。

〇田舎の学校
川崎謙弥「おりゃっ!」
男子生徒「うわっ!」
  花奈と明日香がコートに目を向けた時、ちょうど謙弥が相手クラスの男子にヒットさせたところだった。

〇田舎の学校
松木明日香「謙弥くん、やっぱり強いね」
水杉花奈「うん・・・」
松木明日香「どう? カッコイイ? カッコイイ?」
水杉花奈「ちょっと、そんな風に聞かないでよ・・・」
松木明日香「あれ? ちょっと顔赤いよ?  もしかして──」
  キャーッ!
  明日香が花奈の顔をのぞき込んだ時、ギャラリーが一層ざわめき立った。
水杉花奈「何?」

〇田舎の学校
  コートを見れば、中央で修司がボールを受け止めていた。
吉岡修司「・・・・・・」

〇田舎の学校
観客席の女子生徒「今の修司くん、ちょーかっこよかったね!」
観客席の女子生徒「ねっ! 吉岡くんってそんなにスポーツできるイメージじゃなかったのに」
松木明日香「くーっ! 見逃した。花奈、ごめん・・・」
水杉花奈「ううん、いいよ・・・」
水杉花奈(修司も頑張ってるんだな・・・)
  修司は受け止めたボールを鋭く相手コートに投げ入れる。
水杉花奈「・・・明日香。私ね、ちょっとずつ自分の気持ちがわかってきたよ」
  試合の行方を見つめながら、花奈はゆっくりと明日香に話し始めた。
松木明日香「そうなんだ。結論は出そう?」
水杉花奈「あのね、日記がようやく読めたの」
松木明日香「えっ? あの例の日記アプリ!?  ってことは・・・」
水杉花奈「うん。階段から落ちる前の、自分の気持ちがわかった」
松木明日香「何て書いてあったの?」
  花奈は明日香に日記の内容を簡単に伝えた。
松木明日香「・・・そっか。 なら、花奈は修司くんと付き合うの?」
水杉花奈「それは・・・」
  花奈が言いよどむと、明日香は小さく微笑んだ。
松木明日香「花奈は今、謙弥くんが気になってるんだね」
水杉花奈「えっ? なんでわかって・・・」
  花奈が目を丸くすると、明日香は笑う。
松木明日香「わかるよ、花奈を見てれば」
松木明日香「さっきだって、謙弥くんを見る目、いつもより優しかったよ?」
水杉花奈「そう? ・・・うん、最近、謙弥のことを考えてる時間が多いんだ」
松木明日香「でも、以前の自分の気持ちを知って、戸惑ってる?」
水杉花奈「うん、そう・・・」

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