episode.3 謎解き好きの彼女(脚本)
〇シンプルな一人暮らしの部屋
俺には3年付き合っている彼女がいる。
だがしかし、顔は好みだが、3年も経てば飽きもくる。それに、最近は束縛が激しい。
飲み会に行く時も、少し返信が遅くなった時も、不在着信が大量に入っていた。
いわゆるメンヘラというやつだったんだ。
そんな彼女の真希に嫌気がさし、ほかの女と浮気してしまった。
その女は口もかたく、束縛もしない。もちろん可愛い。
だが、真希に浮気がバレたかもしれない。
最近不在着信が大量に入っているのだ。他に心当たりがない。
メッセージで「どうして?」「ねぇ、返事ちょうだい」と何度も何度も送られてくるのだ。
そしてついさっき、メッセージで意味不明な文章が送られてきた。
「られは9ずぬかみおんさわすぬうけ」
「えりぐるひよれしにう」
守「はっ、何を言っているんだ。とうとう頭がイカれたか?」
謎解きが大好きな真希だ。きっと、これもそういう類のものだろう。
守「お、また来た。どれどれ・・・・・・」
「みやれすの。ひゆけさわすちう」
「みくらる」
守「は? なんだコレ。あの女、本当に頭どうかしちまったんじゃねーか?」
守「あ! そういや、アイツと一緒に見たクイズ番組で言ってたな。変な文章は、とりあえず1個ずつズラしてみるといい、とか」
守「まずは1番短い「みくらる」ってやつからだ」
守「「みくらる」1つ後にズラすと、「むけりれ」? 意味わかんねーな」
守「逆に「みくらる」を1個ずつ前にズラすと、「まきより」・・・お! できた!」
守「なるほどな。1つずつ前にズラしていけばちゃんとした言葉になるんだな。こういうの大好きなアイツらしいな」
守「どんどん行くか! 「られは9ずぬかみおんさわすぬうけ」は・・・・・・」
守「「よるの9じに」・・・・・・夜の9時に? 何だ、俺に会いたいとかか? 可愛いとこあるじゃん。えーと、続きは・・・・・・」
「おまえをころしにいく」
守「・・・・・・は? なんだよ、コレ。アイツ、何考えてんだ?」
守「次・・・・・・ 「えりぐるひよれしにう」は、」
「うらぎりはゆるさない」
守「あと、「みやれすの。ひゆけさわすちう」は、」
「まもるしね。はやくころしたい」
守「な、なんだよ・・・・・・シャレになんねぇだろコレ。 まさか、マジで・・・・・・?」
守「今は・・・・・・7時58分か。まだ1時間あるし、警察・・・・・・いや、実害が出てないから動かないか」
守「仕方ねぇ。ダチの家に泊めてもらうか。 早速準備して行こう」
守「えーと・・・「彼女に浮気がバレてボコボコにされそう。匿ってくれ」こんなもんでいいか」
守「ま、殺害予告まであと1時間もあるんだ。他にもダチを集めて・・・・・・」
守「・・・・・・ん? あれ、待てよ・・・・・・?」
守「これ、ひらがなだけを1個ずつ前にズラすだけでいいのか?」
守「違う、あのメッセージは・・・・・・」
守「数字も・・・・・・ “9” じゃなくて、“8” になる・・・・・・?」
守「まさか・・・・・・真希が来るのは、9時じゃなくて・・・・・・」
ガチャッ
真希「うふふ、せいかぁい!」
守「なっ・・・ま、真希!?」
真希「まさか謎解きに興味を持たなかった守くんが、気づくなんてね。ま、少し遅かったけど」
守「ま、待て! なんでこんな事・・・・・・」
真希「身に覚えがあるでしょう? さよなら、守くん♪」
守「違うんだ! 誤解なんだ! あの女が全部悪いんだよ! 俺は嵌められたんだ!!」
真希「裏切りは裏切り。“一生君だけを愛すよ”なんてクサイセリフを信じた私が馬鹿だったわ」
真希「さよなら。 ・・・・・・大好きだった守くん」
真希「ぢうせくら。すの」
〇川沿いの原っぱ
セレナ「いかがでしたでしょうか?」
セレナ「最後に彼女が言った「ぢうせくら。すの」」
セレナ「1個ずつ前にズラしてみてください。 なんとまあ、矛盾する言葉が2個続いていますね」
セレナ「浮気はダメですからね? 絶対に!」
セレナ「もちろん男性だけでなく、女性もですよ! 恋人も、そのお相手も、自分自身も傷つける事になりますからね!」
セレナ「もしかしたら、真希さんと守さんのようになってしまうかもしれません」
暗号を使って話をひねってるところが面白いですね!!